留学生ジプシー

大学で,台湾から来た女性と知り合った。他の大学で心理学を修めようと二年間頑張っていたが, それに必要な英語力を習得できないまま,今の大学に転校してきたという。専攻もビジネスに変更した。 あまりに分野が異なるのでは,と思ったのだが,今のところ彼女は意欲的に取り組んでいる。
今,彼女はビジネス関連のクラスの他に,英語準備クラスも受けている。これを修了すれば,全学生必修である 正規の英語クラスを受ける事ができる。3年目で,やっと英語を母国語とする人達と同じスタートラインに 立つ見込みが出来たのだ。「今頑張らないと,いつまでたっても卒業できない」と彼女は焦っている。

日本人の女の子。アメリカの大学に来て3年目だが,これまでに3回転校を繰り返している。
彼女の専攻は一般教養。志を持って学んでいるというよりも,日本が嫌になって とりあえず飛び出してきたとのこと。米国内のあちこちの大学を転々とし,それぞれの大学が気に入らず, 転校を繰り返してきた。既に程々の英語力が身についているように見えるが,今の大学でも 結局ESLクラスを受けさせられている。授業にはあまり身が入らない様子だ。 一般教養とESLを2年間続けていれば飽きも来るだろうな。時々,「日本の大学に入りなおしたい」と溜息をついている。

大学に入って最初の説明会の時,「アメリカの教育システムでは,大学も専攻も自由に 変えられます」と説明があった。「今の専攻が自分に合っていないと感じたら,そして他に学びたい事ができたら, どんどん専攻や大学を変えるように」と,積極的に針路変更を推奨していた。

専攻や大学を変える自由があるということは,逆に言えば,道半ばで安易に 進路を変えてしまいがちにもなるという事だ。しっかりと目標にコミットしていないと, 卒業できないままあちこちの大学を放浪するはめになる。留学生は特にその 危険がある。何年もESLクラスを終えられず,いつになったら卒業できるのかと 焦り,「他の大学に行けば少しは状況が変わるかも」と思って,転校する。 また,一学期で必要以上の単位を取得できなければ,強制退学・国外退去になる。 それを防ぐには転校するか,一旦自国に帰り,そこから新規に他の大学に入りなおすしかない。 そういう手段を講じながら米国の大学に在籍を続け,やっと卒業する頃には既に 20代後半に差し掛かっている。

入るのが容易だからと安易に米国の大学に来てしまうと,後で辛くなる。 「今時英語くらい出来ないと」と考えて米国に学びに来るのは良いと思うけれど(私もその一人だが), カレッジの最終目標は英語訓練ではない。英語での読み書きディスカッションが出来て初めて 学位取得に向けたスタートラインに立てる。 強力な目的意識がないと,英語力も容易には伸びない。 ただでさえ日本人の英語のハンディは大きい。他の留学生と比べて, その英語力の低さはどうしようもなく歴然としている。このハンディを克服した上で学問を修めることができるのかどうか。

自信の無い人は,せめて自国で学士くらいは取得してから 留学したほうが良いんじゃないか,と思う。

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