恋の手習い
ここでは、本文中に登場した恋愛作法の予備知識をご紹介します。
◆和歌
1・三輪山を しかも隠すか 春霞 人に知られぬ 花や咲くらむ
(巻ノ2 雅光→千秋)
意訳: 春霞よ、どうして三輪山を隠すのだ。
人に見せたくない花でも隠しているのかい?
解説: 橋姫の噂を聞きつけた雅光が「会わせてよ」と言ってます
(返し)
2・神風に 心安くぞ まかせつる 桜の宮は 花の盛りを
(巻ノ2 千秋→雅光)
意訳: この社に咲く満開の桜は神風の為すままに心置きなくお任せしよう
解説: 千秋は雅光の家柄等を鑑み、「年ごろの姫君ですが、あなたになら
安心して後見をお願いできます」と応えています
3・留むべき ものとはなしに 儚くも 散る花ごとに たぐふ心か
(巻ノ2 雅光→橋姫)
意訳: 花が散るのは止められないとわかっていても、冷たくはしないでほしい。
そのすべてにわたしの心が託されているのだよ
解説: 花びらを風に乗せてプレゼントしながらの光大将の演出。
一方では花びらを女性にたぐえて、「すべての恋人たちを平等に
愛しているよ」という意味にもとれますが・・・
(返し)
4・咲く花は いずれおとらず 徒なれど 誰かは春を 恨みはてたる
(巻ノ2 橋姫→雅光)
意訳: 花は必ず散ってしまうものですが、だからといって
そんな花を咲かせてくれる春を誰が恨みましょう?
解説: 「他でも同じことを言っているのでしょうけど、
こんな風にしてくれるあなたに悪い感情を抱くなんて
ことはありません」と応えている
◆添え物
文には花などの小物を添えて贈るのがおしゃれ。
さらにその小道具がうまく和歌の内容に合致していたり、
季節感のあるものだと○。
◆紙
文を書きつける紙にも注意を払いましょう。
彩りに季節感は大切です。
時には、葉や衣を紙の代わりにして文を書きつけることもあります。
◆薫香
紙に香が焚き染めてあるのはおくゆかしいもの。
相手の好みを考慮して香りを添えましょう。
◆手蹟(て)
字のうまさも教養を表すポイントです。