フランスに住んで気がついたこと
フランスに住むようになって、最初の夏を迎えた私は、 自分の中で起きたある変化に気がついていた。
何故か、冷たい飲み物を欲しない自分がいることに。
フランスの夏は、どこも涼しい。その当時、リヨンからパリに移ったばかりの私は、冷蔵庫を持っていなかっ た。日本にいたなら当然不自由を感じて当たり前の事実だが、学食やセルフで食事を済ませ、慣れない
異国を好奇心に駆られるままにかっ歩していた私の頭に、この便利な文明の利器と清涼飲料水の類は
無いに等しかった。そのかわりに私が愛飲していたのが、発泡性ミネラル・ウオーター「ヴァドア」だった。
余談になるが、日本でも知られた「ぺリエ」は硬質系で、その向こうを張るのがこの「ヴァドア」である。
そして、フランスのスーパーは、通常、冷えたミネラル・ウオーターは取り扱わず、通りで見かける「ブラン
ジュリー」日本語でパン屋さんが、店内に冷蔵庫を置いて、これらのミネラル・ウオーターやコーラの類を
冷やしては販売している。(話がそれた)
さて、冷たいジュース無しでひと夏が過ぎ、やがて秋が来た。もはや、冷たいコーラなど必要ともしない。
そして、問題の冬が来た。
ここに来て、初めて自分の中に起きているある変化に気がついた。体が、普段よりも軽くて調子が
良いことに。
日本にいた頃、蒸し風呂とも形容される暑い夏を、冷たいジュースの類無しで済ませるのは非常に
辛いことである。私にしても、人並みに飲んでいた。ええ、飲んでいました。毎日でも飲みましたよ。
そして、やがて冬を迎え、また夏が来る。そして手にするのは甘くて口に美味しい清涼飲料水の類と
なる。このサイクルの中にいれば、自分の体の不調に気がつく間などなかったのだろう。パリに住んで、
いざこの生活が変化すると、違いは明らかとなった。
つまらない事のようにも思えるが、いざ一冬過ごしてみると、この差は大きい。そして、これが積もり
積もると、もっと大きいのではと思う。フランス人は、私達日本人より愉快に冬を過ごしているのは明ら
かだ。
しかし、その事実を知った私でも、日本に戻った今、冷たいジュースを愛飲している。