
「ごきげんよう、真祖」少女の姿をしたものが、一言
「こんばんは、未知なる物」皮肉をこめて、一言
顔色一つ変えずに、少女。
「それで、いったいどんなご用件で?」
「僕を人間に戻してくれ。人喰いはご免だ」強く、言い放つ。
少女は、少し顔を傾げてから、妖艶な女性に変化して
「確かに力の種はあげたけど・・・・」致命的な一言を言い放った。
「どんな形になるかは本人次第なのよ。結局、力の完成形はあなた自身が望んだものなの」
愕然とした。目の前が真っ暗になった。
なんてことだ。この人食いの能力は、僕が作ったというのか・・・・
激しい眩暈がするなか、何とか平常に言葉を紡ぎ出す。
「し・・・しかし・・・とにかく、こんな力は必要ないんだ!戻してくれ!」
最後には、絶叫に変わる。
「僕を…人間に・・・・・!!」
「・・・・・そう」彼女が、呆れたようにため息を漏らした。
「せっかく、貴方の事を思って力をあげたのに、残念ね・・・・」悲しそうな表情を見せたが
一瞬後に、表情が変わる。
「・・・・貴方、私に勝てたら治してあげてもいいわ。
ただし、私って興味を失ったものってどうでもいいから。手加減は一切ないと思って」
狂気の笑みで、こちらを見やる。とてつもない殺気がこちらを圧倒した。
・・・・・やるしか・・・・ない!
『奴』の力を解放、漆黒のマントを翻し
肌を裂くような殺気の中、僕は彼女に飛び掛った・・・・

『食事』を済ませた奴は、満足げに僕の身体の支配を解いた。
途端に左に走る、激痛。
折れてささくれた木の棒のような状態になっている左腕を、顔をしかめながら眺める。
その刹那、ささくれがぐずりと溶けて粘液質になって修復再構築、元の左腕に完治した。
あっけにとられたように手を動かしながら、思う。
(これは・・・奴の能力?)
(まさか・・・)
嫌な考えが頭をよぎる。
(僕と奴が・・・同化している・・・・)
その考えを肯定するものが、2つあった。
1つ目はその背中に出現している、漆黒のマント。
これは『奴』の時にしか、出ていなかったはず・・・・
そして2つ目は、口の中に残る『食事』のかけら
そのものを知っているために起こる、とてつもない嫌悪感、吐き気。
しかし口の中に広がるのは、甘味、旨味、美味、くらくらするほどの快感・・・・・
(このままでは、僕はただの殺人鬼になってしまう)
(その前に何とかしないと・・・・・)
何とかできる心当たりが、1つだけあった。
その方角に向けて歩き始める
(会いに行かないと・・・『不可解な者』に)
東の空が白み始めるなか、僕は歩を進めた。
夜明けの柔らかな朝日は
強く、ちりちりと僕の皮膚を焼いた

目の前の男が、こちらに振り返りました。
闇夜の中にありながら夜より更に暗いマントを翻し、人間ならばあり得ないような赤い瞳。
全身を恐怖に包まれた私は、ただただ震えながら後ずさることしかできませんでした。
男がぽつりと何かをつぶやいて、こちらに近づいて・・・・・
(・・・・殺されるの?わたし、死んじゃうの?)
(いや、こわい・・・・助けて・・・・)
(神様お願いです。わたしを助けて・・・)私は初めて、神様にお願いしました。本当に心の底から願いました。
そんな私のお願いを神様が聞いてくれたのかどうかは解りませんが、私に転機が訪れました。
偶然、警察官が通りかかったのです。
「・・・おい、そこで何をやっている!」警官が声をかけました。
叫びたかった。助けを求めたかった。
しかし私は、声が出せませんでした。恐怖で、何も喋ることができませんでした。
声を出せば、男に殺されてしまうような感じがしたのです。
そのうち、警官が倒れた男に気が付いたのでしょう。ただならぬ気配を感じたのでしょう。
「貴様!その娘から離れろ!」声を荒げ、拳銃を構えました。
男が、警官の方に向き直りました。
(・・・チャンスだ、今なら逃げられる・・・)
私が、脱兎のごとく駆けだしたのと、
「邪マを、すルなァあァァ!!」男が、警官に向かっていったのは、ほぼ同時でした。
私は、止まらずに走りました。
後ろで、パン、パン、という破裂音。
続いて、ぐしゃっという何かの潰れる音。
(ああ、嫌だ考えるなまさかまさかまさかそんなことはない違う違う違う!)
パニックに陥りそうな私を何とか落ち着けながら、夜の闇の中を走り続けました。
後ろからの、信じられないくらいの早さで迫る足音を聞きながら・・・・・・

夜の街に、僕はいた。
薄い月明かりの中、人気のない路地裏に、立ち尽くしていた。
眼下には、中年の男が倒れていた。
・・・いや、中年の男の形をしたモノが、落ちている。
(・・・・僕は、何をしていたんだ・・・?)
(何をした?)
(僕が、彼を・・・・・・殺した?)
「ああああああああああ!!」声が響く。
自分があげる叫び声を、何処か遠くに聞きながら、叫ぶ。叫び続ける。
砕けた左手の痛みも、何処か他人の痛みのよう。
・・・・男が偶然持っていたロザリー。
神も信仰してないような男が持つ物でも、十分な破壊力を持って僕の左手を砕いていた。
(僕は、人間じゃない。人間じゃない。人間じゃない。)
(・・・・バケモノ・・・・なんだ・・・・)
(自分を制御できない、獣なんだ)
今の僕を支配するのは、限りない、絶望・・・・
「ヒッ・・・・・・!!」
背後で、小さな女の悲鳴。
その瞬間、僕の中で『奴』が目覚めた。
(やめろ!止めるんだ!)
(これ以上犠牲は増やさない!)
(やめてくれ!早く、早く逃げてくれ!)
(逃げ・・・・・るんだ・・・・・・)僕の意識は、暗い闇に堕ちていった・・・
夜の闇より濃い闇色のマントに、紅い眼を輝かせ、ゆっくりと『俺』は振り返った。
眼前には、恐怖に全身を震わせる、少女。
「俺の・・・・エモノだ・・・」
一言ぽつりと呟いて、俺は少女に歩み寄った。

胸から急速に広がっていく、真っ赤な鮮血の染み。
上着を濡らしズボンを汚し、床には紅い水たまり
左胸から全身へ、高熱が浸食を始める。
熱い、熱い、熱いあついアツイあツいあツイ
がくがくと視界が揺れる。世界が廻る、歪む、霞む。そして白く白く白く・・・・
自分の身体と彼女の腕からつたい落ちる熱い液体を感じ、何かが身体に流れ込むのを感じながら
僕の意識は薄れていった。
そして、人の姿をしたまま、僕はニンゲンであることをを捨てた

「それにしても・・・・」そう言いながら、「彼」の像が揺らいで、掻き消えた。
「あたし、貴方のことが気に入っちゃった」声とともに、ふわりと後ろから抱きしめられた。
後ろにいるのは黒髪の女性、見た目二十歳すぎだろうか
柔らかな感触、女性特有の香りが僕の鼻腔をくすぐった。
「お友達になりません?貴方に良い物をあげちゃうわよ」
「良い物?」僕は聞き返した。振り解いて逃げることが出来なかった。
それをしてはいけないような気がしていた。
ひょっとすると「彼(女)」のことを気に入ってしまったのかも知れない。
「貴方に、力をあげる。世界を変えることも、壊すことも出来る力」耳元で彼女が囁く。
「力・・・」まるで魅了されたかのように、僕は何も出来なかった。何も考えられなかった。
「そう、貴方の思い通りに世界を創る、そんな力」直接脳内に響く、甘い声。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕は何も考えられないまま、頷いていた。
「そう、嬉しいわ」そう言った彼女は、そのまま・・・・
右手で、僕の心臓を、貫いた。

「君が、ユン・K・ノーウェンなのか?」
そう言った僕の目の前には、年端もいかない少女が一人。
彼女は悲しそうに目を伏せて呟いた。
「・・・・貴方も、他の人と同じ事を言うのですね・・・・」
「え・・・?」
「私の名前はユン・ノーウェン。ユン・K・ノーウェンっていうのは私を畏れた誰かが言ったことなの」
「どういうことだ・・・?」そう呟いた僕の前には少女の姿はなかった。
「ユン・ノーウェンを・・・・」突然背後から声が響いた。
「ユン・ノーウェンをスペリングするとUN・NOWN。これに”K”を加えると・・・・・」重く響く、男の声。
驚き振り向いた僕の眼前に、一人の青年が立っていた。
「”Unknown”つまり不可解な者。ということだ」淡々と青年が語る。
「き・・・・君は・・・・?」
「おや?自己紹介はすんだはずですが?まあいいです。」
そういって、青年は優雅に一礼をして、一言。
「私の名前は、ユン・ノーウェン・・・・どうぞ、よしなに」

ユン・K・ノーウェンのことを知りたいと言われても、それは出来ない相談だな。
何故って言われても、あいつのことは誰も判っちゃいないのさ。
男なのか、女なのか
子供なのか、老人なのか
もしくは、青年なのかもしれない
出会ったことが無い訳じゃない
分からない理由というのは、あいつは常に流転するんだ
一つだけ、解ることと言うのは
・・・・・・あいつは、人間じゃない・・・・・

神様なんていやしねぇよ
居たとしてもどうしようもないものぐさ野郎だ
もし居るんだとして、今現在の世界の危機を見ちゃいねぇ
そんな奴が「神」だなんて笑わせる
なに?お前が神ならどうするかだって?決まってる
そこのものぐさ野郎を粛清してやるさ

子供の頃と何ら変わりない風景
そんな中で僕たちは大人になっていく
たったそれだけのことが辛く苦しく感じられる
「どうやったら大人になれるの」
幼いときボクは両親に聞いた
両親は笑いながらボクをなでてくれて
「もっと時間を過ごして色々なことを知ったら大人になれるよ」
と答えを返してくれた
ボクはその答えを信じた
でも、
その時期が近づくにつれ
ボクの中で
「大人に何かなりたくない」
という思いが生まれだした
その当時のボクは"大人になる"ということがはっきりと見えていなかった
自分の中に勝手に大人のイメージを作っていた
でも、
時がたつにつれ
時間が過ぎるにつれ
ボクは大人になるということを理解していった
汚く醜い大人たちの思考
ボクはそれを目の当たりにした
その瞬間ボクの心は少年の頃に引き戻された
まだ何も知らなかった
純粋無垢だったあのころへと・・・・
戻りたかった
でも、
引き戻されるボクの心は大人へ近づいていく身体につなぎ止められた
一瞬の中で起こった出来事
それをどうするのかは僕たち次第だ
できるならボクは目をつむり続けていたい そうしてこの世をすべて拒絶してしまいたい
そうしなければボクは壊れてしまいそうだから・・・・
提供:ヴァレッタ氏


ここには主に詩と言うか小説を
取り扱おうかと思ってマス
更新があるかどうかは
管理人の精神状態次第w