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ほろ酔いでキャロル・キング
**************************** 桃戸 千
本日は土曜日と言うのに仕事がありました。
子供たちはどうしているかな、と主人に電話を入れると、
「ああ、子供たちは実家でバーベキューを楽しんだよ。あんたは好きにすれば」
みんなでバーベキューなの? わたし抜きで? なんで?
渋滞の国道を愛車のオデッセイで走りながら、わたしはなんとなく寂しくなった。
主人の実家でバーベキューを囲む主人の父と兄弟たち。
その中で嬉しそうにはしゃぐわたしの二人の子供・・・。
そのサークルは間違いなく濃い血でつながれていて、わたしは一人蚊帳の外だった。
普段ならここで思い切り落ち込んで、家に帰って不貞寝でもしてしまうのだが、今日のわたしは前向きだった!
「なーんだ、じゃあ一人の夜を楽しめばいいやん!」
と開き直ってしまったのだ。
そうだな。じゃあ夕食は子供たちがいると食べられないものにしよう!
うう〜〜ん、おもいっきりパンチのきいたぺペロンチーニにしよう!
じゃあ、やっぱりワインやね!
そだ、帰りにブックオフに寄ってCDでも買って帰ろ!
ようやくたどり着いたブックオフは相変わらず盛況で、
わたしはやっと見つけた駐車場の狭いスペースにオデッセイのでかい図体をねじ込んだ。
中古CDのお目当ては「キャロル・キング」。
先日からわたしは「キャロル・キングモード」なのだ。
変えたばかりの携帯の着メロも
「I FEEL THE EARTH MOVE」
にしていた。
「キ」のコーナーに「CAROLE KING CONCERT」を見つけた私は 、
しばらく悩んだのち、レジに走りCDをゲットした。
ブックオフからスーパーへと移動し、食材を選んでいると、体力をかなり消耗していることに気づいた 。
「なにしろ一日タチッパナやったもんな」
しかたなく、麺をゆでるというめんどくさい作業は断念することにする。
しばらく物色すると、鯛の刺身を発見する。
「そうだ、これでカルパッチョにしよう」
鯛の刺身とトマトをカゴに入れ、パスタはレトルトの明太子スパでがまんすることにした。
「あとは、ワインワイン」
スーパーのワインコーナーに並ぶワインの中から、わたしは迷わずチリ産のワインをセレクトした。
チリ産のワインは安いものでも結構いけるのだ。
家に帰り、ワインと簡単に作った「タイのカルパッチョ」を冷蔵庫に冷やす。
その後シャワーを浴びて、パスタの用意をしながら買って来たCDをかけた 。
「HARD ROCK CAFE」。
レトルトのパスタには、のりと青ねぎをたくさんいれる。
冷やしておいた鯛のカルパッチョには、ポン酢とバージンオイルにゆず胡椒のドレッシングをかけた。
そのあとあまり聞かない曲が2曲続く。
チリ産のメルローは思ったとおり結構いける。
レトルトの明太子スパもたくさん入れた青ねぎのお蔭でレトルトとは思えない仕上り。
鯛のカルパッチョは良く冷えていてポン酢とゆず胡椒のドレッシングがとても良く合っていた。
「WILL YUO LOVE ME TOMORROW」。
この曲がかかる頃にはわたしはほろ酔いで、
けだるいアレンジの「YOU’VE GOT A FRIEND」がかかると、
ぶるぶるっと鳥肌がたった。
あと1時間もしないうちに子供と主人が帰ってくる 。
そうすれば、オーディオの音は無残に消され、TVの音が家中を支配する。
悲劇のヒロインでなくても、この短い時間に永遠を求めたくなる時があるのですね・・・。
終わり