小さな空      









      小さな空



   幼いあの日
   見上げていた小さな空

   あの日わたしは何を見ていただろう

   シャボン玉のゆくえをたどっていたのか
   飛行雲の解けていくさまに見とれていたのか
   それとも空のそのまた向こうか

   火星の色だって知っている大人になってしまったけど
   あのこゆい青色の小さな空を
   見つめていた頃のわたしのほうが
   ずっとずっとわかっていた
   ずっとずっとかしこかった

   小さな空はどこに行ったのだろう
   小さな空はあの時の色のままどこかにあるのかしら

   大好きだった公園のあの滑り台のように
   がっかりするほど、ちっぽけなものなのだろうか


   左のポケットの中でずうっと
   にぎりしめて居たはずなのに

   気づくとポケットの底は
   ざらざら湿った
   少しばかりの砂だけ