BOOK-2002




「最後の記憶」


綾辻行人  角川書店  2002年8月

痴呆により、ほとんどの記憶を失っていく母・千鶴。彼 女の最後に残っているのは、幼い頃に体験したという恐 怖の記憶だけだった。主人公は己も母と同じ症状に至る のではないかという恐れを抱きながら、母の恐怖の正体 を突き止めようと・・・。

久々の綾辻氏の長編を読ませていただきました。一応、ホ ラーということになるのかな?でも終盤までホラーだとい うことを忘れていました(^^;やはりミステリ色の方が 強いですね。帯に本格ホラーと本格ミステリの融合、と書 いてあるのですが。内容は淡々としていて、前半はちょっ と退屈だなぁ、と思ってしまいました。でもさすが綾辻氏 というか、後半の吸引力はさすがです。幾分パワーが落ち ている感は否めませんが。主人公の恐怖を冷ややかに眺め てしまう人には不向きかも。どこまで同調できるかが、好 き嫌いの分かれ目かと思います。・・・勝手に思っただけ ですけど(-"-;A



「GOTH」


乙一  角川書店  2002年7月

GOTH−GOTHICの略。殺人、処刑、拷問・・・そんな人間 の暗黒部分に惹かれる者。僕と クラスメートの森野夜。2人はそんな暗黒を好み、様々 な事件の渦中へと呑み込まれていく・・・。

乙一氏の小説では2番目に読んだ作品です。発売から約 4ヶ月経過しましたが、発売直後に読みました。内容は 確かに鮮烈で、話の作り方の上手い方だと、つくづく思 います。作り方、というか発想かな。しかし「暗いとこ ろで待ち合わせ」を読んだ時にも思ったのですが、やは り文章が若い。どうにも合わないようです。でも面白い から読みたい。困ってしまう。そんな魅力のある本でし た。ここからちょっとネタバレなので伏せます。

僕の名前が終盤で明らかにされますが、途中名前を呼ばれ る時に「**君」というような表記があったのが引っかか り。どうせなら最後まで完璧にこなして欲しかった・・・ というのは我がままかしら?


とにもかくにも、面白い作品であることに変わりはなし。 あ、「暗いところ〜」も面白かったですよ。今作でAYA は、森野夜がお気に入りです(^^)



「リカ」


五十嵐貴久  幻冬舎  2002年2月

ごく平凡なサラリーマンの本間隆雄。彼は遊び半分の「出会いサイト」 でリカという女性と出会う。初めは楽しんでいたメール交換も、しだい にリカの言動が常軌を脱していき・・・。

第2回ホラーサスペンス大賞を受賞した作品。「ホラー」と名のつく 物は結構好きです(^^)「黒い家」といい、表紙が怖い・・・。作品に ついてですが、前半、だんだんとメールの内容が変化していく様は、 主人公本人の気持ちになると恐怖を味わえます。妻子ある男の好奇心 を後ろめたさの描写が秀逸で、この物語を支える基盤になっていたと 思います。さて、ここからまもやネタバレ(^^;

展開としては、非常にわかりやすい物語だったと思います。でも、そ れをどんな風に描いてくれるのか、という方が重要でした。もう少し 追われる恐怖を味わいたかったのですが、どちらかというと化け物化 したリカそのものの恐怖、のような・・・映画の特殊メイクに怯える 、ような・・・そんな感じになってました。ベスト、というよりベタ ーなお話。

・・・などと偉そうなこと言ってますが、あくまで個人的感想なので。 あしからず☆



「池袋ウエストゲートパーク」


石田衣良  文春文庫  2001年7月

<池袋ウエストゲートパーク>・・・ 池袋西口公園を彼らはそう呼ぶ。 真島誠を中心に、様々な少年少女が池袋を舞台に奔走する。刺す少年、 失踪する少女、ぶつかり合い潰し合うギャング団。同名ドラマの原作。

古い小説ですみませぬ(-"-;A今年になって初めて読みました。しかも ドラマを観た方が先・・・。これは文庫版なので昨年発行ですが、98年 発行が本当。若さ故の無茶も彼らにとってはなんでもないこと。むしろ 当然のこと。それがどれだけ魅力的なことなのか、本人たちは解らない。 ただその時その時に、彼らなりに一生懸命走っているだけ。・・・なん とも羨ましい限りです。青春と一口に言うのは簡単だけれど、そうでは ない、単純に見えて複雑な彼らの心の動きや思いがワクワクさせてくれ ました。楽しかったです。この頃に戻りたい、と思わせてくれる。戻っ たところで変わらないけれど、それでも同じ視点に立ちたい。石田衣良 氏の文章から溢れる生き生きとした躍動感がとても面白かったです。 この他にもシリーズがありますので、順次読んで行きます。ドラマでも そうでしたけど、キング・・・格好いいですな(笑)若いを連呼して、 ちょっぴり寂しくなったAYAでした。



「フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人」


佐藤友哉  講談社ノベルス  2001年7月

妹が自殺してしまった公彦。連続殺人犯と同じ視点を体感する明日美。 2人は幼馴染。それぞれに展開する事件、犯罪。それらは何処へ向かい どんな世界へと辿り着くのか。

お、同じ年月だ・・・。これもまた一昔前な印象ですね。でも今更読 みました(^^;この方も若い。必然的に文章も若い。乙一氏ほどで ないにしろ、やはりどこか引っかかる所があるんですよねぇ・・・。 西尾維新氏も文章が若いし・・・最近の小説にはこういった傾向があ るのでしょうか?単に私が変なだけという噂もありますが(苦笑)とり あえず事件のとっかかりがレイプ・・・言いたくもない言葉だ・・・。 私はこういう事件がちょっとでも出てきた物は、どれほど面白くても 受け付けなくなってしまうのです。ドラマだったら観ないし、小説な ら最後まで読みますが、釈然としない気持ちになったり・・・。本当 に許せないテーマなのです。だから、話半分でお願いします。って、 それなら感想書くなよ、とお思いでしょうが注目すべき作家だと思い ましたので。

「see more glass」とは、サリンジャーの「バナナフィッシュにうって つけの日」に出てくる言葉です。シーモア・グラスという人間に対して の言葉なのですが、グラス家=鏡家ということでしょう。佐藤友哉氏は サリンジャーが好きだと友人から聞きまして。今、サリンジャーを読ん でいる最中です。これを読んだら「エナメルを塗った魂の比重」を読も うと思っています。え?全然感想じゃない?そうです、感想はありませ ん。評価し難いと思っています。何故なら先述の通り、釈然としないか らです。「エナメル〜」に期待。