『OPENING』

原作;四條 薫




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 戦火が治まり、安定した生活を回復しようと住民が動き出した頃。

 私が居る場所は、恐怖に溢れていた。
無邪気に駆け回る子供達は何も無い広い平野で遊ぶ。
 その何も無い平野の下には無差別に人の命を奪う地雷が仕掛けられている。
不発もあるが、僅かな振動でその地雷は子供達の命を奪う。
 敵味方関係無く、その土地に埋め込まれた地雷の撤去作業は遅れていた。
一言に撤去と言ってもそれはかなりの重労働の上、撤去する者も命懸けの作業だった。

 軍と政府がその場所を立入禁止にし、バラセンを張り巡らせても・・・
遊びたい盛りの子供にはその危険が理解出来ない。
 大人の心配をよそに子供達は大人の目を盗んでは平野へと遊びに出る。
駄目だと言われると、駄目なことをしてみたい好奇心に駆られるらしい。


 その頃、私の元に運ばれてくるのは大半が地雷の被害者だった。
五体満足の生まれ持った体の一部が地雷の被害により吹っ飛ぶ。
 失った不自由さとの戦い。
戦争が終った後の惨事である。

 幼い子供の被害も多い。
本来・・・有り得ないはずの場所にまで地雷は埋め込まれていた。

 親子での散歩中に不幸にもその被害あった幼子達は数知れず・・・。
地雷で体の一部が失われても生きているの者はある意味幸運だとまで言われた。
一般市民の戦後の被害は私が見た限りでは、戦争中よりも数を増しているように見えた。

 軍と政府が、やっとこの地の地雷撤去作業をする気になったらしく。
視察に来た若い軍人が私の元へ立ち寄った。

 それが・・・彼との最初の出会いだった。

「初めまして、ドクター。
自分はこの地の地雷撤去作業の指揮をとります、伊吹 郭と言います。」
郭と名乗った青年が私に向け最敬礼をした。
「そうですか、無事に作業が終ることを祈ってますよ。」
私がそう言うと彼は笑みを称え口を開いた。
「一日も早く、この地を安全にするのが私の努めです。
そうすれば、子供たちも我慢をしなくて済みますから・・・」
外見の若さのわりに彼の思いは確りとしているように思えた。

 その日から彼らの部隊とこの土地の住民達との共同生活が始まった。
今はまだ、目に見える成果は無いが・・・
 後にこの彼が『大戦の英雄』とばれる者になるとは・・・
誰も思っては居なかっただろう。

 そして、この青年との出会いが無ければ、後に私が生きていたかは定かではない。
私の人生の中で彼が居たからこそ、後の私が存在するのだと・・・確信している。

 僅かな安息な時間を過ごした中での出来事であり。
これが始まりだった。





END


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最終更新日:2003年8月22日(金)