ばよりんがうちにやってきた!
−提琴を習いませうおじゃうさま!−


あやしげな練習道具とは、こはいかに。

着物です。(大笑い)

いやー、去年の十月、旧友明島女史に突貫着付け講座を受けてからというものの、着物にはまりまして、自力で着られるようになるため日々を着物で過ごすというのにチャレンジしてみたのですよ。無論、気が向いた時のオフタイム。外出の用があったときには嬉々として(というより人の迷惑かえりみず実験台として)安着物着用に及び、てぽてぽと出かけるということを…被害に遭った人はよく知っている。

んで何かってーと、着物を着ててもばよりんの練習はせにゃならんということです。うん。

そんでまた、ここに挙動不審の一因をなしたるは、明治だか大正だかの大衆小説、その名も『貴公子』(笑)。
何で見つけたかは忘れたんだが、オンラインで発見し、あまりにわかりやすい源氏物語のぱくり明治置き換え版に、けらけら笑いながら完読したのですよ。室町公爵(室町幕府を宮中に見立てた先行源氏パロディの流れを主張したいのやら)家の光さんは(笑)、妾腹の次男坊で放蕩に身をやつしていたのだが、

実はそれは自分の美貌と才能を溺愛して長幼の序を乱し自分に家督を譲ろうとする父の心を傷つけず、正嫡である兄上を当主に据えるための涙ぐましい道化芝居だった

というオチで終わる、ある意味最後に仰天の逆転(笑)を食らわされる小説でございました。うっひゃー…ある意味、源氏物語で孝行話を書こうと思いついた明治文士、渾身の力技。いや、それなり面白かったですよ。
桐壺の女御+藤壺の女御らしき光のお母さんは死なないし(病弱という設定ですが。名前は藤子(笑))、弘徽殿の女御と思しき父上の正妻弘子どのは、女中いじめに精を出しているし。原作では泣いてばかりいて何の役にも立たない朱雀帝が、ここでは母に直諫食らわせる芯の通ったしっかり者の長男だし。
桐壺帝こと室町公爵の頭の中をとても疑います。原作以上に。

っと、で。
この女中いびりの好きな弘子様、実はモダンでハイカラな西洋かぶれという設定がなぜかついていて、ぴやのとばよりんをお弾きになるのですよ。で、旧藩臣の古風な娘が琴が上手いというのを聞き、それを誉めるふりをしてそれなら洋物も〜という流れでいびり倒すというシーンがあるのですが。

そーかそーいえばこの時代は着物でばよりんなんだよなあ。

と変な方向に感心した奴が一人。私です。

じゃあ折角着物の着付け練習をしてるんだから、着終わってからばよりん練習しようかなあ。
発想が飛びすぎですが、止める者がいなければ人はどこまでも暴走する。

やりましたよ、着物で提琴!
すると、腕が変に動いているかがものすごくチェックしやすいことが判明。
キーポイントは袂です。

袂がぶらーんとぶら下がっているので、必然的にそこにおもりがかかっているわけなのですが、肩が動くと袂も揺れるので袖の重心が移動するのですね。なので、袂を上下だけさせるように、左右にぶれさせぬように、用心用心……。

こうして一石二鳥を狙って、とらいでぃしょなるに練習を続けていたわけでございます。去年の秋から年末にかけて。

そしてリュリのガボットを卒業し、次はリーディングの『ロマンス』。

ろまんす。

それっておいしいのかな?←しぼ化

この曲、聞いている分には明朗快活少しメランコリック、牧歌的少年少女の淡いロマンスってな曲で大層いいのですよ。
聞いているだけならね!(笑)
付点音符と相性が悪いと思い知ったときには時すでに遅し。
気が付けば、拍と拍子が全く取れておりませんでした。

「音はちゃんと取れてるんですけどねー。ちょーっと音符がカットされぎみですよねー♪」

わかってます…明らかに何か違います…ロマンスじゃなくてハイキング行進曲になってます(笑)。
しかしまた、この拍子に苦しむのも私だけではないそうで。同志が沢山いるらしいとわかり、ほっとした人。

よーしっ、そんじゃーリーディング征服に向けてぼちぼち頑張るかー♪と呑気なことを考えていた高松が墓穴に足を突っ込むのはもうすぐのことでした。


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