Nordhausen
-のるとはうぜん!-


ノルトハウゼン歌劇場管弦楽団の『アイーダ』に行ってきました。まともに全幕見たのはこれが初めて。東大歌劇団の時には過激な遅刻を仕出かして、『清きアイーダ』も『勝ちて帰れ』も『凱旋行進曲』すら聴いていなかったという。演出が綺麗だったなあ…という程度しか印象のなかったあれを聞きに行ったのは何あろう、チケットのディスカウントがあったからで、近頃行ってないし、いいかなあと。
で、行ったらさ。すさまじく空いている!海を越えてはるばる日本くんだりまでやってきたオーケストラさんがお気の毒になるくらい空いている!うーむ、これは確かにディスカウントしてでも客を入れてやらないと演奏する方が気の毒だ…だって、『隣に人が座っていない』のよ?両脇ともよ?隣の人は三つ離れた椅子とか二つ離れた椅子に座っているわけですよ?それが一列のみならず、全体的に……。で、高松、「あ、これは疲れて寝るかもしんないな…まあいいか、どうせディスカウントだったし(笑)」と失敬な感想を。そう、期待皆無。だって、


  ・ そのオーケストラの存在すら知らなかった
  ・ 演奏会形式であることすら知らなくて、行って舞台装置がないのでやっと気付いた
    (初めに知ってたら多分行ってない)
  ・ キャストが誰かも知らなかった(笑)


という、最悪の鑑賞態度。定価の半額でアイーダだったら、そこそこは楽しんで帰れるだろうという発想だし、チラシじゃなくメルマガで知った公演だったもんでキャスティング見てなかったんだもん。
…行ってみるもんでした。残り物には何とやら。
聴覚いじめ寸前の(笑)圧倒的ど迫力な演奏をするオーケストラで、鳴り物好きの私には相当ツボ。かなり疲れていたんですが結局寝ませんでした。(それでも四幕一場のアムネリスとラダメスがど迫力で怒鳴りあっているのを前列一桁の位置で聞きながらまぶたが落ちかけたから、相当疲れていたのだと思う。そのたびアムネリスに叩き起こされた)その上バルコニー席の両翼にトランペッターを配置して、凱旋行進曲のときは頭の上からラッパが鳴っていたし。生の楽器の音だと、大きな音でもそれなりいいです。某劇団のミュージカルを観に行ったとき、頭の上からスピーカーで音楽と電子音が大音量で降ってきた時とはえらい違い。ちなみにその時付き合っていたうちの母上は、あれが原因でしばらくミュージカルに拒否反応を出していた(笑)。
アムネリスは出てきたときからオーケストラをねじ伏せる勢いで歌ってましたね。いや、もう、圧倒的な声量でした。割れてないし。ラダメスもお腹が出てないし、アイーダはチャーミングだったし☆なまじセットがないだけ男性陣は変な衣装を着ずにすんで却って良かったか?なぞと失敬なことを考えていたのが約一名。あ、でもお腹が出ててもアモナスロさん、良かったです。漢文世界の中に出てきても生き残れるのはアモナスロさんだけでしょう。その割にはあっさり戦死してますが。傾国の(?)アイーダにあっさり引っかかるラダメスは論外として。
で、一幕終わったから休憩だとお弁当を食べる意欲満々(笑)だったんだが…客席のライトがつかない。
「まっ、まさか、演奏会形式=舞台の配置転換がいらない=休みなし、なのかっ?!」
ええ、そのまま二幕になだれ込みました(笑)。空き腹を抱えつつ、まあ早く帰れるからそれもいいかなぞと、圧倒的迫力でアイーダをいじめる(笑)アムネリスを聞いていた。しかし、あのド迫力で「貴方は奴隷じゃないわ♪私の妹よ♪」と言われても、武則天にお姉さま♪と言われて後に消された王皇后程度のリアリティにしかなりません!おーわらい。ちなみにファラオったら仁君の上に、なんて影が薄いんだ。まるでトゥーランドットのアルトゥム陛下そっくし。これを背の高い金髪の典型的ゲルマン紳士のおじさまがやっていた☆
で、やっとこ劇場近くのデパートで調達してきたお弁当(笑。だって劇場の飲食物って不条理なほど高くありません?!そんなら私は好物を調達してロビーの片隅でにやりと笑いながらぱくついてやるっ☆)を立ったままぱくつき、三幕へ。それにしてもオペラに行くたび思うのだが、談笑スペースに椅子が少ないのは何故だ?!立ったままワインを飲み下すのが洒落ているのか?!お年寄りが(笑)多いから、椅子は歓迎されると思うんだが、どーなんだろう。それでもこないだのとこは窓際がずっとテーブルになっているだけ、椅子がなくともまだ親切。物置けるもん。
さて、三幕。ナイルの川辺で堂々と(?)脱走を持ちかけるアモナスロさん。いい度胸というのか無謀というのか。それにしても二国の安全保障のため『奴隷の』アイーダの父なんて人質にとって何かいいことあるのか?エジプト。(大笑い)その上、人質を捕まえた直後からこんな野放しにしていいのか?アイーダに「ラダメスから機密を聞きだせ」と言うアモナスロさんだけが、うん、定番の展開だよな…と見ていられます(笑)。だって、警備いい加減すぎるよ、エジプト。おまけにラダメス、一回すねられただけであっさり駆け落ちを決意しちゃいかんよ。それじゃあまるで妲妃に袖を引かれた紂さんだよ…でなきゃ陳円円『奪回』のために山海関を開けちまった呉三桂だよ……。(これでラダメスの顔が普通の二倍近く大顔に見えるよーなメーキャップだったら本当に呉三桂になってしまう…ノルトハウゼンのテノールさんがダンディであって良かった……)おまけにその直後アムネリスに見つかるというのーてんき!こんなぽやぽや君を最高司令官にしていいのか、エジプト!(笑)このままじゃ若くて美形の張飛状態だぞ!(だんだん暴言が飛び始めているなあ)そこであっさり捕まるところがやはりぽやぽや君で、間違ってもどこぞの公子のように「危ない食客に消してもらい、そのまま逃走」(笑。信陵君です)なんてことはしません。アイーダは可愛かったです。はい。これなら一度顧みて国の一つもひっくり返すかと(笑)。これでエチオピアに寝返ったラダメスが祖国に反旗を翻し(笑)次期エチオピア王になって見事下克上(笑)という五胡十六国か五代十国かみたいな展開になっても愉快ですが。あっさり生き埋めになっちゃうんだよなあ……超スピード裁判に引っかかり。そしてアムネリスだけが残った……。
そう、アムネリスだけが残ったんだ。(笑)だって。
フィオレンツァ・コッソットだったんだもの!(笑)
帰り、珍しくプログラムが安かったので買ってみたら、載ってたんだ。大笑い。前から六番目で欠伸をかみ殺しながら(退屈だったわけではなくて、滅茶苦茶に疲れていたのだ)半額でフィオレンツァ・コッソット!(笑)もうお得感満喫。
なんだかチケットの値段と世間様の前評判なるものに疑問を持ってしまうような公演でした。でも『アイーダ』はやっぱりはまるほどではなかったなあ。凱旋行進曲が一番のツボな私は、やっぱりシロートオペラファンです。精進するつもり全くなし。

未整理のお部屋に戻る