
| かっ、買ってしまいました!50g2080円のお茶をーっ!!まずい、お茶で身代潰したらお先真っ暗だ……(^^;) 高松は茶狂です。オールラウンドに茶狂です。紅茶日本茶中国茶、何でもござれ。本当は中国茶、興味なかったのよ。中二のとき紅茶にはまりだしたころ、買ってきたインスタントのジャスミンティーが、トイレの芳香剤と見紛うばかりの臭いだったもので。お陰で、ジャスミンティーは東京に出てきて二年目、中華街で両親と重慶飯店で食事したとき出されるまで拒否反応が出ました。(笑)美味しいジャスミンティーはすごくいいです♪あの重慶飯店のジャスミンティーがなかったら、茉莉の話もなかったんだろうなあ……。 で、高松を中国茶に嵌めたのもやはり横浜中華街でした。 始めはね、みょーなものとか、花茶を買ってたわけ。淘茶(ティー・ボールとでも言ったほうがいいのでは…茶っ葉が団子状になっている。うちでの通称は『バクダン』。)とか桂花(私は金木犀というより、桂花と呼ぶほうが好きだ)とか。あとはバラとかキーマン(元々中国茶の紅茶なの。本場もんなんで、下手な紅茶屋より安く美味しいのが買える)あたりだな。道を踏み外したのは…宋のせいだ。 始めは徽宗だった。徽宗の飲んでた『君山銀針』を追い求め、当時はまだ中国茶がメジャーでなかったこともあって、発見したときに絶句。 「ひゃっ、百グラム二万円だーっ?んなもんが高卒の薄給の図書館員に買えると思っているのかーっ!!」 いや、その身空で徽宗の追っかけをしようというほうに土台無理があるのだが……。 運命の出会いは、別なほうからやって来た。南宋の状元閣下である。 その日も中華街でお茶をあさっていた高松。安いお茶をしこたま買い込み、君山銀針を探すべくして別の棚を見たときに……。 「!!」 そこにあったのは『文山包種』。 中国茶通の方にはどってことないでしょうが、どしろーとの高松には、邪道な運命の出会いだったのです。さあ、思い出そう。南宋の状元宰相、文天祥閣下。号は何でした?そう、『文山』。で、何故文山なのでしょう。そう、自分の別荘に『文山』って名前つけたから。 …つまり、「宋瑞の住んでた地域でお茶を作っていても不思議ではないし、宋瑞にあやかって土地の人々がその名前をつけていたって不思議はない!!」 と一気に妄想がハイスピードで駆け巡り、気付いたときにはその袋をレジへ……。(笑) こういういきさつで買ったものです。外れても仕方あるまいな、と思ったのだが、お茶屋のおじ様が一言。 「ああ、いいお茶を選んだね。」 え?いいお茶なの?(ににーっ♪)ふふふ……。 そうして家に帰り、早速入れた文山包種。 まず、驚きました。烏龍茶の茶色を予測していたら、綺麗な黄緑色。加えて、爽やかなお茶の香り。初めて嗅ぐ香りに、高松の五感は完全ノックアウト。お茶に酔うって、こういうことか……。くらくら。 ちなみに、昔より少し詳しくなった今、物の本を読みますと、『蘭の香り』と形容されるそうです。私の知ってる蘭の香りには似てません。(断言)言い回し的に、芳しい香りはみんな蘭の香りで括るお国なので、形容詞的に使っているのかも、と自分を納得させています。後、屈原が『離騒』で形容した香り草の中に蘭も入っているので、そういう古代種の鑑賞品種でないものにはそういう甘くない爽やかな香りがあるのかもしれません。 そう、『文山包種』は甘くないのです。きりっとした、背を正させるような香りと味。でも舌の上で転がすと、爽やかで、後味がほのかに甘い。ハードボイルド二枚目路線を突き進み、最後に伝説のロマンスに似た甘さを残す状元閣下の後姿のように。 文山包種が台湾の文山で取れると知ってからも(当然名前はここから来たものでした)、私の中でこれは状元閣下のお茶としてインプットされてしまったようです。何かいいことがあったら開ける、という別格扱いの位置を我家でキープしている文山包種。この感動をわかってくれない人には出したくないので、うちに来た人の中でも文山包種を出された人は一人二人です。そこらのお茶と一緒にされたかないわ、このお茶は。 台湾茶では最高を謳われる凍頂烏龍を調達した後でも、またリーズナブルな君山銀針を買った後でも、この不動の地位は揺るぎませんでした。(笑)凍頂烏龍は上品なお味です。少し甘みがあります。味、香りとも。君山銀針は対極。淡白です。ゆっくり飲むお茶。さすが徽宗、と感嘆しました。あれは通が好きそうだなあ……。私は通ではないので、職場のマグでがぶ飲みしてましたが。(笑)リラックスできてなかなか良いですぞ。 その高松、流行りの中国茶の店にはあまり行ってません。行ったのは二度。渋谷にある茶館は、お茶を頼んだらお湯はお代わりし放題=お茶飲み放題でよいのだが、お茶だけで八百円か…渋谷だし…と、リピートはしていません。(笑)もう一つは新宿にある方なんだが、スタイリッシュすぎる!!点心とお茶のセットを頼んだら、お茶がガラスのカップに既に出された状態で入っていた!!せめて急須でサーブして欲しい…おまけにお食事の点心と来ては、小鳥のような分量で、高松は泣きました……。ちなみに、似たような理由で一人で紅茶屋に入ることも余りありません。私は少食スカーレット・オハラにあらざる大食い士大夫蘇東坡に同調する手合いでして。 というわけで、百グラム800円前後の文山包種が我家で天下を誇ってしばらく経っていたのでした。そしたら。 近頃新宿に寄ったら、中国茶器を売る店が出来ていたのね。赤札商品をつらつら見ていたら、見てってくださいとお店の人が言うので、珍しく見てました。普段は売り子さんに声を掛けられるとそそくさと消えるほうなのですが。(笑)買ってってもいいなという気分だったので。で、半端物の茶杓でも買うかなと思っていたら。 「あ、お茶の葉も売ってるんだ…二千円前後か、高いなあ………!!?」 高松の目の前には『宋種単叢(←字が出ないから以下代用。この字に木偏がついてます)』の四文字……!(またか、と思ったろう……)「宋って、宋って、まさか南宋北宋のあの宋?!」どきどき。 色々ありますよ、と先程のおにーさんがやってきたので、 「あの、この宋種単叢ってどういうお茶ですか!」 「青茶の一種ですね。いいですよ。」 青茶!文山包種と一緒だ! 「文山包種と似たような感じですか?」 つい、ポロリと……。(笑) 「いやあ、あれは台湾のお茶でしてね(身に染みて知ってますがな(^^;))。こっちは大陸のお茶です。(ほほう)宋代からある茶の種類を使ってましてね(!)、日本でいうなればエド種単叢(いや、それをやるなら鎌倉だ!←換算するなよ、高松……)、カマ種単叢(鎌倉はやっぱし出たか……)ってとこですね。」 「…そうですか。」 なんぞとクールに言った高松だが、既に頭の中は「買いだっ!♪」とオークション入札状態になっていたのだった。(笑)だって、宋の種類よーっ♪宋瑞だって存中だって東坡だって飲んだかもしんないじゃーんっ♪ミーハー宋代史マニア加えて茶狂としては垂涎ものだっ!! 「飲んでみますか?」 「いっ…いいんですか?」 わーい、ばんざーい!そしておにーさんは巧夫茶器で上手にお茶を入れてくれたのだった。「二煎目だから美味しいよ」と言いながら……。わお、ラッキー! ちなみに、何杯でも味がなくなるまで入れられる中国茶ですが、番茶と同じく二煎目・三煎目が飲みどころです。二煎目から葉っぱも程よく開いているので、葉っぱパワーが一煎目より引き出されてくるのでした。 冷たいのがあるから、と熱いのを入れている間頂いた味は……。 これ、好み!! 宋種単叢も甘くはありません。きりりとした上品な味で、後味が甘い。そう、文山包種に似ているのです。文山よりエレガントに、そうだなあ…全てに紗のヴェールが掛かったように柔らかくまとまっているけれど、中身は文山包種に極めて近い…こんな言い方が適切なのかは分からないのだが。 温かいのが入ると聞香杯も使わせていただき、(ちなみに高松は始めて使いました。普段は気まま勝手邪道に飲んでます)うん!やはり宋種単叢の名前はある! 宋代士大夫のイメージにぴったりの味と香りです。ほんと。あ、不良の賈似道おじさんには似合わないですけどね。(笑)陸君実とか子容、存中さんや司馬君実辺りに似合います。子瞻さんは酒ですな。(笑) そのままお茶の説明を聞いたり茶器を眺めたり、(宋種単叢、ばこばこ飲ませてくれるのだ。本当に茶館にいる気分になったわね)他のお客さんの相手をする間もお茶を飲ませてくれていて、結局…「これください」と高松が言えるまでには六七杯飲んでいたのです。宋種単叢。(笑)で、包んでくれてお金を払ってから、 「他に何か飲みたいのはありますか?入れますよ。」 何―っ?!…入れていただきました。(笑)三十分近くいたぞ、あそこに……。また行こう☆ こうして、我家で一番高いお茶は『宋種単叢』になったのでした。文山包種と並ぶおとっとき♪で、高松の中国茶を選ぶ変な基準は……。 『宋代に関係する高松の直感がはまったお茶にはずれはない!』 …絶対他人に勧められない選別基準だ……。(大体、宋代のなんとマイナーなことよ…うるうる)まあ、他人に勧めるつもりもないけどさ。これは、一人でにたにたしながら宜興紫器の急須で密やかにたしなむものです♪ 徽宗の君山銀針、宋瑞の文山包種、士大夫達の宋種単叢、と続いた高松の邪道中国茶遍歴、次なるターゲットは…あるのです。どっかに置いてないかなあ、と虎視眈々狙っているブランドが。そう、味ではなく名前!(おいおい……) 産地は江西。(ここで気付いた人は偉い!)名前は『文公銀毫』!つまりは……。 「宋瑞の出身地で『文公』の名を冠するとは、宋瑞がらみに決まってる!」 追っかけ昂じての中国茶探訪は、まだまだ続きそうな気配です。(笑) |
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