第八話o『友情なんて所詮、…だよo』
7月25日
突然聞かれたら、どう想うだろう?
『キミは、友情と愛情、どっちとる?』ってo
友達の彼氏とか好きになっても、コイゴコロは理性じゃ歯止め利かないしo
でも、友達との仲は壊したくないしo
そうだよねoこんな風に本気で好きなら、彼、譲ってもいいよo
もし遊びならきっと、あたしはあなたを殺しにいくからo
そのくらい、あたしも彼が大切なんだからねo覚悟してねo

あすかちゃんは遊び人だoただ、一人になるのが寂しいらしいo
その儚さを、男は放ってはおかなかったo
当時あたし達は、男女含めて10人くらいの仲良しグループだったo
女が4人、男が6人oすっごくすっごく楽しかったo毎日が天国でo
でも、ある日知ってしまったo
そのグループのなかで、フリーの男のコはみんな、あすかちゃん狙いだったo
グループの面々はこうだったo
あすかちゃん、あすかちゃんの彼氏・千葉くん、さなちゃん、さなちゃんの
彼氏・松生くん、かきちゃん、奈良くん、吉井くん、そしてあたしと、野村君o
この中で、あすかちゃんを好きなのが、まず彼氏さんの千葉くんo
奈良くん、吉井くん、そして、悲しいコトに、今では野村君もo
あたしはどんどん、あすかちゃんが嫌いになったo
だって、野村くんのコトも、誘惑するからo
人の知らないところで、弱み見せたり、かわいこぶったり、
時に泣いてみせたりして、誘惑o
野村君はどんどん惹かれていき、あたしはどんどん痩せていったo
神経性の胃炎も、進行していった…o

綺麗な友情が欲しいoあんな汚い女なら、友達にいらないよo
店で働いて、客でも誘惑していればいいのにo
仮面の笑顔を貼りつけたまま生きていたあの頃o
口癖は、『友情なんて所詮…o』だったo


第七話oいちばん簡単、いちばん難儀o
7月24日
この世で一番簡単で、この世で一番難しいものoなんだろう?
あたしは想うo
それは、『コトバ』だとo

あたしはもういい加減、うんざりしてたo
毎晩泣いて、毎晩苦しんで、毎晩毎晩毎晩毎晩
友達のあすかちゃんを、殺したいほど憎んで…oもうそんなのうんざりだったo
学校に行けば一日中、隣の席であすかちゃんが笑ってるo
授業中もメールしてるo野村くんとo
授業内容は、全然聞いていなかったo聞こえなかったo
メールを打つときの、『カチカチ』っていう音に、いちいち反応したo
顔は笑いながら、心はノイローゼ気味だったo
野村君は、相変わらずあたしに乗っかってくるo
嘘の愛情を携えた作業に、いったい何の意味があるの?
って、言えるものならいいたかったo
でも本当に本当に大好きだったからo本気で好きだったからo
一人になるのが、野村君を失うのが、こわかったから…o
あたしも、たくさんの嘘を携えて、防衛線をはったo
肝心な言葉だけは、いつも言えずにo

言葉は、難しすぎるo
それがなければ、人々は出会うこともできないのに、
あれば、邪魔で仕方ないときさえあるo
ねえ、野村君oなんでもいい、別れでもいい、本当の言葉をくれれば
あたしも、サヨナラ、できたんだよo


第六話o愛と性欲の境界線:下巻
7月19日
ある歌手が、あたしに問い掛けてきたo
『ずっと続く嘘の愛してる』と『いつかは終わるホントの愛してる』はどっちが
幸せなんだろう?ってo
野村くんと付き合ってたときのあたしは、当然前者でしょうoって思ってたんだo
だって、どうしてもそばに居て欲しかったo
たとえ、自分の大嫌いな『作業』を繰り返したとしてもo

野村君は、あたしの『初めてのヒト』だったo生まれて初めての行為o
緊張したけれど、野村君が優しかったから、なんとかなったo
でもね、全部嘘なのo
『愛してるよ』『大好きだよ』って、作業の途中で何回も言ってくれるんだけど、
目を見ると鉄なのoどうしようもなく濁っていて、焦点が合ってないo
あたしと作業をしながら、別の人を愛してるのが、
仮面の隙間から色濃く出ていたo
知ってるよoその『誰か』っていうのは、あすかちゃんなんだよね?
あたしは必死で、涙を我慢していた…o

やっぱり、いつか終わってもイイから、本気で愛されたいなぁ…o
恋が終わる悲しみよりも、自分が本気で好きなのを利用して、
大好きなヒトが、虚ろな目でのっかってくる悲しみのほうが何倍も痛いって
知ってしまったからo


第五話o愛と性欲の境界線:上巻
7月17日
性欲の少ないヒトにとって、愛のないセックスは、作業だo
ただ、しなくてはいけないからする、事務的な『作業』o
この世で一位二位を争うほど、せつない『作業』…o

野村くんと、初めて『作業』をしたのは、別れる一ヶ月前のことだったo
この時は、もう、野村君が完璧に冷めていることも知っていたo
でも、自分から離れるなんてできなかったo
また一人になるのが、この世でもっとも必要のない人間に戻るのが、
怖かったからo
それが嘘でもイイ、ただ、愛情をくれるひとが
一人でもそばに居れば生きていけたo
逆を言えばそれは、『その人がいないと生きてはいけない』っていうことだけどo

第五話に続くo


第四話o誤魔化せないモノ
7月15日
どんなに上手な顔で、上手に嘘をついたって、誤魔化せないモノはあるo
『目』o辛いこと、悲しいこと、どんなに隠したって、
目に出るそれは、仮面なんかじゃ隠せないo
前が見えないと困る、だから、仮面の眼の部分だけは、穴があいてるでしょ?
仮面の中、そこだけがただひとつの素顔…o

あすかちゃんと野村くんが、あの花火の後から、メールしていること、知ってたo
内容が気になって、しつこく聞いた事だってあるo泣いたこともあるo
こんな汚い気持ちだらけで、明日も仮面かぶって学校に行って
みんなに会うのか、っていうくらい、嫉妬したこともo
でもoだってo好きってそういうことじゃない?
そのヒトの為に、綺麗になったり、強くなったり、優しくなったりo
イイ事だってたくさんあるケド、そのヒトを奪いそうな人間に嘘をついてみたり、
嫉妬したり、普段の自分からは考えられないくらい憎悪に落ちたりo
人間とはそういうものだ、思っていたけれど、汚い自分はいやだったo
『よし、野村君に会いに行こう』
自分が汚れてどうしようもない日は、会いに行ったo
あの、優しさに触れていれば、すごく落ち着くo汚いものも消えていくo
いつしかあたしは、野村君がいないと、生きていけない人間になっていたo
その日も、野村君は、笑顔であたしを迎えてくれたo
『どうした?なんかあったか?』そのコトバに、あたしは爆発したo
『野村くんと、あすかちゃんがメールしてるのがイヤなの!』
『あすかちゃんのほうが、あたしより野村君を知ってるとか…、イヤだよ…』
泣いたoひたすら泣いたo
『大丈夫だよ〜!』
野村君は笑っていたo間違いなく、あたしにo
『そんなこと、絶対にありえないからぁ!』
そして、このヒトコトで言葉を結んだo
『オレは沙霧一筋だからoね?』

じゃあ、今日の昼間、あすかちゃんに向けた笑顔はなんだった…?
その答えを一番よく知っているのは、他でもないoあたしだったo


第三話o統計なんて、ないo
7月14日
男のヒトと女のヒトは、違うようで同じだとおもうo
性欲いっぱいの女のコo性欲の弱い男のコo
サッパリしていて、泣かない女のコo泣き虫で弱い男のコoいるよねっ?
結局人間には、どっかのエライ先生が言ってるみたいに、
『女だからなんとかだ』、とか『男だからこうだ』、なんていう統計は無意味だo
とおもうo

野村君とは、だんだんギクシャクしていったo
何をしていても、自分を見ていない、っていうのに初めて気がついたのは、
付き合い始めてから3ヶ月もたたない時だったo
授業が終わって、『次は移動教室だね〜』なんて言いながら、友達と一緒に
科学の教科書持って、教室を出たo
前に、野村君も誘っていっしょに花火をした友達とo
そして、廊下をゆっくり歩いていたら、前から野村君が歩いてきたo
『あっ、野村くんだv』
学校では、二人のことは秘密にしていたから、ドキドキしながら顔を見たo
…あれ?『目が合わない』oいつもなら、合うのになぁ…o
でも、顔はこっちのほうを向いて、笑ってるのo
『何を見てるのかなぁ?』
『あたしの後ろに、(野村くんの)友達でもいるのかなぁ?』
なんて、ちょっと疑問符あたまにくっつけながら、野村君との距離は近づくo
そのとき、隣に居た友達、あすかちゃんが『バーカバーカ!』って言ったo
一瞬、何がおきたのかわからなかったけど、次の瞬間、理解したo
数メートル先の野村くんの笑顔が、今も焼き付いて離れないo
だってその顔は、付き合いはじめの頃にあたしに向けられていたものと
まったく同じだったからo
あたしはただただ、心の中で祈ったo
あすかちゃんの彼氏さん、どうか一生、あすかちゃんを離さないで…oってo

年頃の男の子は、すぐにヤラせてくれそうな女によってくるo
あたしは、急に眩暈がしたo
だってあすかちゃんは、クラスでも有名な『性欲いっぱいの女のコ』だったからo


第二話o恋の教科書
7月12日
最初の恋っていうのは、すっごく難しいo
だって、誰も恋のし方なんて教えてくれないからo
正しい恋のし方なんて、誰も知らないはずo
きっと恋には正しいもなにもないからねo

あたしにとっての、初の恋愛は野村君だったo
中学校の頃してた、純粋な片想いとは違う、駆け引きの必要な『恋』o
『どうしたら10年先も20年先も、ずっと一緒にいられるのかなぁ?』
『野村君は、ホントにあたしのことスキかな…o』とにかく、四六時中かけひきo
ちょっと電話しないで待ってみたり、泣いて困らせたりo
そのときの反応で、愛をいちいち確認してたo
自分がもしいらない人間なら、いつでもいなくなるo傷つく前にo
そんなこと考えながらする恋は、当然すごく疲れたのo
でもねoでも、でもね?野村君がとにかく本当に大好きだったから、
苦痛にはならなくてoむしろ、その苦しみさえ心地よかったo
疲れたら、抱きしめてもらおうo泣きたいときも、もう一人じゃないんだo
彼があたしの前で、1秒でも笑っていれば、あたしは強くなったo

ねえ、本当に1秒でも笑ってくれれば、強くなれるの?
今の自分には、聞けないけれどo


第一話o糸の話
7月11日
きっと、小指から出てる運命の糸って、すっごく長いんだとおもうo
だから、たどり着くまでにこんがらがって
絡まって、別の人を『運命だ』と想っては失恋を繰り返していくんだろうなぁ…o

その日、野村くんとあたしは、花火をしに行ったo
あたしの友達もいっぱい誘って、野村くんの親友も来てo
近所の公園で、大騒ぎしながら、楽しく花火をしてたo
その帰り際、みんなでケータイのメールアドレスを交換したo
野村くんとその親友は、あたしの友達とは初対面だったからねo
ケータイを持ってなかったあたしは、それを見て、ちょっとヤキモチo
PHSを解約したばっかりだったあたしは、同じく持ってない野村くんの親友と、
なんとなくその光景、見てたo
みんなの楽しそうな顔は、今でも忘れられずにいるよo

PHSを解約して、野村君との夜の電話は全然できなくなったo
野村君は、とっても寂しがり屋だったから、電話のかわりに
逢瀬を重ねて、お話をいっぱいしたoいっぱいいっぱいしたo
家のコト、将来のユメ、二人の未来についてo楽しかったo時間なんて忘れたo
『もっと一緒に居たいo』
純粋な想いだけが、あたしの原動力だったo
でも、野村君は違った…o

この時あたしははまだ幼くて、赤い糸の絡まった先に
夢ばかりを見てたo果敢ないユメoいつかは消える、ユメ…o