| 『阿修羅ガール』 舞城王太郎/新潮社/1470円/★★★☆☆ |
| 好きでもない佐野とやっちゃたアイコ。佐野はそのあと行方不明に・・・。次の日アイコは同級生たちにシメられそうになるけれども、それならやられる前にやっちゃえー!でマキの顔をボコる。近所の調布駅周辺ではグルグル魔人のあぶりだしするためにアルマゲドン。本当は陽治が好きなのに全然振り向いてくれない鈍感陽治なんて知らネーってストーリー。舞城王太郎氏ぽく書いてみました(笑)アイコのとぎれない思考回路のリズムがいい。 いまどきの女子高生、大丈夫?と心配になるけれど、一般常識を知らないだけで、人としての根っこは大丈夫そうなのでま、いいか。少々イッちゃってるけど面白い。スイスイ読める。 |
| 『図書館ねこデューイ』 ヴィッキー・マイロン/早川書房/1600円/★★★☆☆ |
| テレビ番組でも取り上げられていました。真冬の早朝、アイオワ州の図書館の返却ボックスに捨てられていたデューイ。図書館にねこがいて許されるという状況に驚きました。そして、猫であるデューイが不況のどん底であえぐ市民を勇気付け、図書館の危機を救うなんて。よくできた話だと思いましたが、彼を助け、図書館ねことしてともに時を過ごしたヴィッキーが書いたというこの本、早速読んでみました。 すると、悲劇的な出来事と、人の心を癒してくれるデューイと市民とのふれあいの美談ばかりではありませんでした。どちらかといえば、著者のヴィッキーの半生の記録と再生の物語としても読めます。もちろん、それはデューイとの出会いがなければなりませんでしたが。どんな困難にあっても、心を正しくして、思いやりを持って、強く生きていくこと。誰かを一生懸命愛すること、何があってもあきらめないことなどなどいろいろ考えさせられます。そして、生き物はいずれ死を迎えるということ。わかっていても、その瞬間だけは何度でも号泣です。 |
| 『恋愛の解体と北区の滅亡』 前田司郎/講談社/1680円/★★★★☆ |
| フリーター男のひとり言というか、頭の中で繰り返される長い長いながーい思考がつらつらと書かれています。もうダメかと思った。でも、こんなの読めない・・・とあきらめるのはまだ早い。我慢しているとある瞬間から天啓がやってくる。それまでのくだらなさからのギャップがすごくて、とにかくシュールな展開が驚きで面白かった。 2作目の「ウンコに代わる次世代排泄物ファモナ」、もうタイトルからやられてしまう。この作家注目です。”ファモナ”ってウンコの代替物ですよ。そこに男女の恋愛の終末をからめてしまってるからにくい。まあ、それはオーバーだけど。”ファモナ”の実物。単行本の意味深な表紙。フフフ。 |
| 『愛でもない青春でもない旅立たない』 前田司郎/講談社/1365円/★★★☆☆ |
| とくに夢も希望もない大学生。恋人がいて、でもいつも行動する三人組の一人の女の子にも興味を持ってる普通の男。大きく波立つこともなく、平々凡々な毎日。でも、少し悩んだりバカをしたり決断したりする。いっぱい考えてる。不思議な夢に支配されたり支配したり、恋人にちんちんの絵を描かれたりする。ちょっと変わっていたりする。 こんなフツーな男をいとおしく思いました。だって、わたしの隣にいるような男なんだもんね。自分の中にも見つけられそうだし。最後の最後の新しいアートのシーンは現実にみてみたい・・・気がする。きっと衝撃的な空間になるだろう。18歳未満お断り! |
| 『鴨川ホルモー』 万城目学/産業編集センター/1260円/★★★☆☆ |
| 葵祭の帰り道、ビラを渡してのサークル勧誘。なんで大学から離れた上賀茂神社の境内で?京大青竜会?鼻のキレイなかわいこちゃんにひとめぼれの流れで通ってたら、”ホルモー”って!! 大学生のゆるーくも楽しい毎日が思い出されます。なんかバカバカしいけど、本当はマジに怖い?とこも。友情恋愛競争がてんこ盛りで、京都文化にも親しめます。私も”オニ”たちを操ってみたい。 しかーししかし、この主人公、ちょいとムカつくかな。そして哀れ。人付き合いと好きな人のリサーチは欠かしたらいけません。という教訓付き?バカ話は最後まで付き合ってみないと楽しめません。 |
| 『鹿男あをによし』 万城目学/幻冬舎/1575円/★★★★★ |
| 突然、奈良の女子高で非常勤講師を命じられたおれ。神経衰弱をなおしてこい…担当教授にそう言われた(なぜだ!)おれは、奈良で症状が悪化?!してしまうぞ、ここでは。なんで鹿がしゃべるんだ。鹿から命じられた大役をはたせるのか!?日本を救えるのか? クラスに問題児はいるし、”サンカク”とやらをかならず手に入れなければ、日本がどうにかなるらしいし。奇妙で不思議な青春ドラマ。鹿がしゃべるのはおいておいて、(ポッキーが好き!というのがよい)新任教師と女学生の学園ドラマでも充分楽しめる。その上、風呂敷の広げすぎ?的な内容になってきて、大丈夫か心配したが、最後にはちゃんと収拾できてました。すごくおもしろかった。「鴨川ホルモー」より、断然こちらがおもしろい。最後の最後まで楽しめる一冊。本当に大好き。 |
| 『浄土』 町田康/講談社/1680円/★★★☆☆ |
| 全7編の短編集。 町田康の文章のリズムが好きです。そして、内容もないような、ばかっぽいストーリー。なのに、すごくたいそうなことが書いている気がしてしまう。空っぽにみえるものに人は意味を見出そうとするものです。 不条理で破天荒。出てくる人は常識とか理性とかいう、ちゃんとしたものをどっかにおいてきてます。そういう不思議ワールドが魅力。時々意味がわからなくなりますが。他人の感想を読んで町田康の作品の印象は”これだ!”と気づきました。彼の”短編集はアルバム”なのです、パンクロックをやってるだけあります。 |
| 『犬身』 松浦理英子/朝日新聞社/2100円/★★★★☆ |
| あなたの犬になりたい・・・。決してSMプレイじゃないです。正真正銘、人が犬になるお話。 犬好きで、自分は犬になりたい願望のある房恵。タウン誌の取材で知り合った女性陶芸家梓に憧れ、彼女の犬になることを切望するようになる。やがて梓の犬となったフサは、彼女の家族の崩壊を目の当たりにするようになる。 犬好きとしては、”犬がスキスキ”で”犬浴”と称して、散歩時に土手を徘徊する主人公の気持ちはわかります。スーパー前のお留守番犬と仲良くなったり・・・とかね。でも、犬になりたいとは思わない。このあたりからすごい違和感に襲われます。知能を持った犬目線は、すっかり他人の生活のぞき見気分で面白いことは面白いのですが。 房恵を犬に変え、毒舌であおったり抑えたりする朱尾の存在が絶妙。悪魔的であり、アドバイザーであり、規律である。朱尾とフサの会話は、濃厚べったりの飼い主飼い犬のラブラブ関係を、客観的に見る機会となってます。 新しい愛情の形にスポットを当てた話です。種族を超えたプラトニックと素直に認めたくはないけれど。 |
| 『スパイク』 松尾由美/光文社/1785円/★★★★☆ |
| 4歳の牡のビーグル、スパイク。彼はいわゆるレモンカラーという白に薄茶という毛並みの犬。江添緑の飼い犬だ。9月のある週末、下北沢を散歩中になんとスパイクそっくりの犬を連れた男性と出会う。二人は意気投合して来週も会う約束をするのだが・・・。 なんだなんだ普通の恋愛話と思ったいたら!!SFですか。という展開にその後発展します。それは読んでいただいたらわかるのですが、犬がしゃべるという1点が気に入った!あ〜私もしゃべってみたい。犬好きいえ、ペットを飼われている方なら方なら共感していただけそうなところですよね。失踪した幹夫を緑とスパイクが推理していくところも面白いんですけどね。最後は切なく終わってます。盛りだくさんだけれどももたれないそして胸がキュとなる1冊。 |
| 『いつもの道、ちがう角』 松尾由美/光文社文庫/480円/★★★★☆ |
| 不思議な話です。いつもの見慣れた風景がどこか違うく感じる・・・そういったゆがんだ作品が収められています。そして、なによりそれが怖い。キャーというのではなく、ゾクゾクと背中を寒気が走るような。どんな感じか詳しく知りたい方はぜひ読んでみて! |
| 『クワイエットルームへようこそ』 松尾スズキ/文春文庫/470円/★★★★☆ |
| 目が覚めたら精神病院でした。明日香がK精神病院の閉鎖病棟ですごした一週間。 このところ、たてつづけにこの手の話を読んでしまって、自分でも驚きですが、設定こそ似てはいても、こちらの明日香がいちばん気に入りました。そして、全体を漂う真っ白なイメージ(なぜか)が明るくて救われます。 精神病院、しかも閉鎖病棟で目覚めるという最悪の状況ながら、自分はまともだという思い込みがあるからまったくへこたれてない(いらついているけれど)。そして、ここにいながらも、それほど異常性を感じない人たち(もちろん若干のずれはある)は、本当は普通で、ちょっとだけ弱さを抱えているんだなと納得させられます。 最後に読者は勇敢で強いと思っていた明日香の本当の姿を知ります。そして、そのもろさは誰にでもあるものなんだよなと。重いテーマを、ソフトに清々しく共感させる、気づかせない優しさでつづる松尾氏の文章は好感が持てました。 |
| 『同姓同名小説』 松尾スズキ/ロッキングオン/1575円/★★★★☆ |
| いやはや。こんな小説あるんですね。私が気づいてないだけで、世の中には類似の作品があるのかもしれない。そんなことを置いておいても、松尾スズキの才能にはホレちゃう。 タイトルからわかるように、世間で活躍している有名人と同姓同名(だけでなく、外見行動も何となく似てる)のキャラクターが登場し、驚くような奇態を演じている。もちろん、完全フィクションだ。けれど、知ってる人の名前が出てるだけで、物語全体が奇妙に現実とリンクして(ようするに本人がそうしてるのを想像しちゃう)、面白さに拍車をかけている。例えばみのさん、広末涼子、モー娘。などなどが。1ページ読んだらトリコになりました。大笑いです。 |
| 『スズキが覗いた芸能界』 松尾スズキ/新潮文庫/500円/★★★☆☆ |
| 一般人だったスズキ氏が、なーんとなくテレビにかかわる仕事をして体験しちゃった芸能界。仕事歴が長いのにいつまでもよそ者っぽいのは、本人に関係者の自覚がないからなの?私にはしっかり芸能人に思えるのだが。 どこにも属さない方がいろいろ新鮮でいいかもね。「同姓同名小説」が腹抱えるほど面白かったけど、これは普通のエッセイでした。 |
| 『もっとできる男のたしなみ』 松岡宏行・高橋潤/扶桑社/1200円/★★★★☆ |
| 以前出た「男のたしなみ」、気になってましたが、こちらから先に読了。高橋潤氏の独特なイラストタイツくんがたまりません。イラストと短い言葉が頭の中にいろんなことを持ってやってきます。深いです。解説は巻末についているけれど、ある意味ここは読まないほうがよい。おまけとして1巻目の解説書もついてますから、前作を見ていなくてもわかっちゃってなんだかお得。 |
| 『初音怪談』 松嶋初音/★★★☆☆ |
| 『あかちゃんのうた』 松谷みよ子/童心社/840円/★★★☆☆ |
| いわさきちひろさんのイラストと赤ちゃんへ聞かせるお母さんの歌のようなお話のようなそんなほんわかした絵本。いわさきちひろさんのほんわりとしたイラストが心をなごませます。”おつむてんてん”とか、最近のお母さんは歌ってあげてるのかな?愛情が湧いてくるような気分になります。 それはさておき、この絵本は不思議な力があるそうなのです。この本を買うとあかちゃんができるとか。え〜?ホントの話ですが、姉のもんちのとこはこの絵本を買った月にあかちゃんがお腹にやどったとか。その話を聞いて意気込んで買ってみたのですがどうなることやら(笑) |
| 『天国の本屋 恋火』 松久淳+田中渉/小学館文庫/540円/★★☆☆☆ |
| リストラされたピアニストが、ある日アロハシャツのやばいじいちゃんにアルバイトを紹介される、で始まるこの本。地元商店街を活性させようとする香夏子の物語とリンクさせ過去の繋がりを感じさせる面白い設定ながら、なんで”天国の本屋なんだ?”という微妙な疑問は解消してくれない。別に”天国のすし屋”でも”天国のボーリング場”でもいいじゃない、というそれぐらいの意味づけじゃあね。現実と天国界との絡み合いも単純。惜しい。 というか、こういう純粋でわかりやすいラブストーリーを素直に楽しめなくなってる自分が悲しい。 天国の本屋シリーズの三作目なのか。ふーん。 |
| 『点と線』 松本清張/新潮文庫/400円/★★★★☆ |
| 推理小説は大好きな分野だが、最近の作品しか読まないので、自分が生まれるよりも昔の作品は「どうなんだろうか?」と思っていた。 ストーリはネタバレになるので触れないが、ふと見逃してしまいそうなことに疑問をもち、そこから事件のカラクリを探り出していくところは痛快だ。そこには派手な登場人物はいない。鳥飼、三原という、地味で実直な刑事たちがいるだけ。 時代背景や心情については古い感があるが、いつ読んでも新鮮さを感じられる作品だろう。 |
| 『黒い空』 松本清張/角川文庫/620円/★★★☆☆ |
| 切れ者の事業家山内定子が八王子郊外に創った結婚式場「観麗会館」はその高級感がうけて繁盛していた。ある日、小心で経営能力のない婿養子義朗は口論の末定子を殺害してしまう。義朗は従業員の規子とともに、死体を会館の目玉である御朱殿の滝の岸壁に埋め込んでしまう。事件は発覚せずに上手く隠し通せたようにみえたのだが・・。 結婚式場が舞台というのが面白い。思いもよらない人間関係に驚かされ、冒頭の「河越夜戦」のストーリーが最後にカチリとつながるところが小気味よい。 |
| 『砂の器』 松本清張/★★★☆☆ |
| 松本清張の代表作&TVドラマ化でずっと気になってました。しかし、ドラマ化おかげで、何となく犯人も知り、何となくトリックもわかりの先入観あり。楽しめるのか?楽しめない? そんな心配も吹き飛ばされました。この推理小説のおもしろさの根底にあるのは今西という刑事の粘り強い捜査の積み重ねなのです。彼の執念と、時間の積み重ね、無駄足にみえる地道なものこそが魅力。読むものまで犯人逮捕の感慨を充分に味わえるのですから。 とはいえ、トリックにもまんまとはまりましたぞ。作者の思惑通りというか、完璧なミスリード。殺人方法とか、ちょっと現実味に欠けるところはありますが、これも時代の流れなんでしょうね。 推理も楽しめるし、社会的な問題で考えさせもする。読み応えのある作品でした。 |
| 『遺書』 松本人志/朝日新聞社/1000円/★★☆☆☆ |
| お笑いをやってる芸人なんて、とは決してあなどれない。ダウンタウンの松本人志という人間の奥深さが知れました。マッちゃんのお笑いに対する考え方、すごいな。真剣なんだとわかってちょっとびっくり。でも言葉が結構きついし下品なので引いてしまうところも。それが彼のよさでもありますが。 |
| 『壁女』 松山ひろし/イースト・プレス/1260円/★★☆☆☆ |
| 怪奇小話や都市伝説を収集したサイト「現代奇談」の主宰している松山氏の本。さまざまな都市伝説は、日本に限らず、アメリカやロシアのものまで!お国によって怖がらせるアイテムが違うところが面白かった。 書いてる内容よりも、イラストが恐ろしいんですけど・・・。 |
| 『信長の朝ごはん 龍馬のお弁当』 朝日新聞社/俎倶楽部/1400円/★★★☆☆ |
| 日本史に登場する人物と食べ物や料理を結びつけたら面白いのでは?との発想で集められた逸話が神話時代から昭和まで。食は人から切っても切れない関係であるからあるわあるわ。「小野小町が美容のために熊の掌を食べてた」、「伊達政宗はホヤが好きだった」、「平安時代でもダイエットはあった」などなど面白いネタはつきません。料理のために歴史が変わったということも。現代の飽食からは考えられないようなアイデアや、食べ物におどろくことも。そういう俗なものであればあるほど興味は沸きますね。 |
【み】
| 『ひつじが丘』 三浦綾子/講談社文庫/460円/★★★☆☆ |
| 「愛するということは許すこと」誰でも知っているキリスト教の教えのひとつ。しかしながら、実行することはなかなか難しい。 奈緒実、良一、輝子、竹山は悩み、悲しみながら自分たちの生き方を模索する。みんなのひたむきさに少々イライラさせられるが、その真剣さに感動させられてしまう。 牧師である奈緒実の父と母の過去を知らされた時「苦しんでいるのは自分だけではない」と気づかされる。背負っている荷の重さを人も知ってくれている・・・これは結構重要なことだと思いませんか? |
| 『夢のような幸福』 三浦しをん/大和書房/1470円/★★★★☆ |
| 三浦しをん。先日夜中にやっていた爆笑問題の番組を見てからはじめて彼女の作品を手にとって見ることにしました。これはエッセイ。ヴィゴが好きで、胸毛が好きで、マンガが好きで、オタク。ということを一切つつみかくすことなく、しかし、読む相手に不快感をもたせない。なんだかほのぼのとしをんワールドを散策させてもらいました。あれれ?これは私自身もやばいってこと?いや、そんなことない気のせい、気のせい。時々登場する弟としをんさんとの会話が笑えます。 |
| 『格闘する者に○』 三浦しをん/草思社/1470円/★★★★☆ |
| 大学4年生、就職活動に奔走する?いやしてない。の〜んびり活動中の可奈子に二木くんに砂子さん。彼らのこと気に入っちゃいました。会社に入れば幸せ・安泰だったころとは違う現実を突きつけられている現代の若者たちなのに焦燥もあきらめも感じられない。それなのになんとも明るく希望がうっすらと感じるから。最低な態度の面接官にきれそうでも、将来を勝手に決めようとする周りにも、自分の将来にも彼女らなりに立ち向かっているからかな?可南子の「毎日が夏休みになっちゃうかも」というのに、70歳の恋人西園寺さんが答えます。「それも悪くないよ」。それも悪くないと笑ってられる楽天的な気分はいつも忘れないでいたいものです。 |
| 『白蛇島』 三浦しをん/角川書店/1995円/★★★☆☆ |
| 何かありそうな雰囲気がぷんぷんのタイトルですね。島内という狭い空間で、伝統と友情と不思議とが適度に混ざり合っております。ま、何となくそうだと思ったといった結末ですが、登場人物に今後飛躍しそうなキャラもいて心騒ぎました。 三浦しをんの初期3部作の3つめですがなんと、連作なんですね。しかし、ストーリーはまったく関係ないんですよ。じゃ、なにが?といいますと、白の軽トラです。どういうこと?と気になる方はご自分で読んで確かめてみてください。そういえば、以前お勤めをしているとき、会社の同僚の子は青の軽トラで出勤していました。 |
| 『妄想炸裂』 三浦しをん/新書館/1470円/★★★★☆ |
| ふふ。。。ふふふ。三浦しをんの妄想っぷりったら。すごく個人的でマニアックでオタクな世界なのに読む人間を=しをん的人間にさせてしまう吸引力があります。不思議です。私ったらホ○好きでも、胸毛好きでも漫画オタクでも老人的趣味人でもないのになぁ〜。ホント不思議だ。 タイトルにすら仕込みをいれている徹底振り。ちょっと息抜きに読むにはもってこいですよ。しをんさんのお祖父さんが火炎放射器で家を燃やしたと言う話に、非常に不謹慎ですが笑い転げてしまいました。ありえね〜。 |
| 『しをんのしおり』 三浦しをん/新潮社/1470円/★★★★☆ |
| またまた三浦しをんを読んじゃいました。やっぱり良いですなぁ。ついつい三浦しをんワールドに取り込まれ、気がつけばしをん化しそうで怖いです。毎度とことながらオタクでマニアックながら一般人をもマイルドに取り込む語り口。侮れない! 本のこと漫画のこと、盆栽のこと、バイト仲間のこと・・・と身近な笑いを拾ってきては笑わせてくれますが、最後の章、「愛を愛とも知らない間に」というなかで、はまった文章がありました。 予備校の向かいのビルのトイレの窓からいつも手を出してボーっとしている男にチャーハンを取られたシーン。 「それからのことはあまり思い出したくない。業種が謎なその人は、思わず引っ込めた私を一顧だにせず、チャーハンをもがっしりと右手で掴み取った。そしてさらに、後ろの棚に並んでいたワンタンスープ(ユッケジャン味)のカップを器用に口でくわえ、右手で持ったチャーハンの容器の上に乗せると、悠然とレジに歩み去っていったのだ。 いくらなんでもあの人は食べすぎだと思う。」 え?何がとか言わないでくださいよ。 自分がゲットする予定のチャーハンを男に奪われて次にくるセリフが 「いくらなんでもあの人は食べすぎだと思う」 という文なんですよ!面白いじゃないですかこの切り替えし。 その通り!と思っていただいた方も、なんじゃそりゃ?と思われた方も、まだ未読でしたら一度ご体験ください。 |
| 『人生激場』 三浦しをん/新潮社/1470円/★★★★☆ |
| もうどっぷりと三浦しをんに浸かっております。週刊新潮に連載されたエッセイを集めたその名も「人生激場」・・・あら?「しをんのしおり」の巻末タイトル秘話(?)にてこれが使いたかったのに×××というときにあげられていたタイトルじゃないですか。よかったですね。今回は使わせてもらえたんだ。 週刊誌連載だからか、時事ネタ(爺ネタではない 汗)を多めに取り扱っております。ワールドカップ日韓共同開催(2002)された時期でもあり、しをんのスペシャルラブトーク(一方通行&妄想)がイングランドのシーマン、ドイツのカーンに向けて炸裂しております。少々うざいけれども・・・うふ♪ 小さなことを大きく熱くはいつものことですが、なかでもツボだったネタは、おばあちゃま(80代)のお友達に避妊具の取り扱いについて聞き取り調査した話。聞くに聞けないけれども、ちょっと知りたい好奇心を刺激します。そして、子宮防衛軍(腹回りの脂肪)の話。お年頃の女性の悩みの種、お腹周りについてなるほどなお話でした。 |
| 『月魚』 三浦しをん/角川書店/1890円/★★★☆☆ |
| 古書店と古本の卸しをする幼なじみの真志喜と瀬名垣。二人の関係には常に罪の意識がまとわりついている。 古本の裏世界を面白く読ませてくれます。なかでも、「せどり」という、特殊な職業が紹介されていて、へぇぇぇぇでした。 さて、なんといっても三浦しをんさんの小説ですから、どこからか「妄想」臭が・・・。真志喜と瀬名垣の関係はしをんさんの趣味がぷんぷんします。もう同人誌やなぁというこの世界は好きな人は好き、嫌いな人は嫌いとはっきりわかれるでしょうね。 |
| 『まほろ駅前多田便利軒』 三浦しをん/文芸春秋/1680円/★★★☆☆ |
| 過去の三浦しをん作品のようなイヤ汁がでてない点では○。でてくる男たちが、むさいけれど、男前で、なんかかまいたくなる感じなのも○。だけどね、これで直木賞をとったとは思えないんだよね。なんででしょう? 妻と別れ便利屋をする多田、その元に転がり込む高校時代の同級生行天(ぎょうてん)。二人がまほろ市の便利屋家業をしつつ、悩める市民を救っていくというのが大まかなストーリー。ちっちゃな救いだけれどね。途中からやばめな男たちとも関わっちゃって、犯罪に走りそうになったりする。高校時代の二人の確執とか(多田の一方的な思い込みだけど)、多田と妻の確執なんかが後半一気にあらわになる。これからも二人のコンビ芸(?)がおがめそうな感じ。続編あるんでしょうか? |
| 『忍ぶ川』 三浦哲郎/新潮文庫/540円/★★★☆☆ |
| 大学生の”私”が小料理屋で出会った志乃と結ばれ結婚する。兄弟の自殺、失踪という暗い血に苦しむ”私”の静かで確かな愛は心をしんとさせる。 私小説というべき、三浦氏が描き出した静かで強い純愛。純愛ブームの今、若い人にも読んでもらいたいですね(^▽^) 正月、”私”の実家で私の両親と姉の5人だけで行われる結婚式の場面。6人の子らの4人までもが背信をおかし、末の息子にして初めて味わうささやかなよろこびの宴にとり乱す老いた父母の姿は涙を誘います。幸せというのはこういうものなんだな〜としみじみします。表題作「忍ぶ川」、続編というべき「初夜」、「帰郷」、「団欒」他3編収録。 芥川賞受賞。 |
| 『となり町戦争』 三崎亜記/集英社/1470円/★★★☆☆ |
| ある日町の広報紙で「となり町との戦争」がはじまることを知る。開戦が過ぎても戦争の気配はしないが、戦死者の数は増えていく。とうとう自分も敵地偵察を命じられるが。 巻き込まれなければわからない。そういう言葉を思い出す。腑に落ちないながらも、市役所の女性職員とともに”戦争”に加担していくところ、シュールだなと面白がってたけれど、核心に近づくほど恐ろしくなった。なぜなら、戦争とは意義が明確でなくても成立し、むしろ否定できず、その場に放り込まれたら喜んで戦うのではないか・・・と。住民に、戦時の保障の話、戦闘時間だけを説明するし、その意義についてうやむやでも通るというのは、怖いことじゃないだろうか。必要な犠牲ってのもなんだろう。フィクションだけれど、身近な世界が舞台のこの話は考えさせられるところがある。 |
| 『バスジャック』 三崎亜記/集英社/1365円/★★★☆☆ |
| 短編集。不条理でちょっと怖い世界感が特徴。回覧板が題材の「二階扉をつけてください」は、回覧板の文章や見積書を表記してみるという手法で、「となり町戦争」を思い出させる。身近でたいしたことなさそうなところことを”もしかして”、”実は”と深読みし、発展させたらこんな作品になるんですね。潜む恐怖や温かさを感じられます。 |
| 『潮騒』 三島由紀夫/新潮文庫/362円/★★★★☆ |
| 「潮騒」と聞くと映画の1場面が思い出せされる。堀ちえみが初江をやったやつだ。(1985年だから17年前!)薪で火をたいていたその前で、上半身裸の彼女がなにやらセリフを言っているところだ。そのころ(今まで)ストーリを知らなかったから、ものすごいエッチな話かと思ってしまったのだ。 それから何年かたって話の内容を知ると、なんとも純情いっぱいの青春!恋愛!!という、いやらしさもぜんぜんない、さわやかな作品だった。 |
| 『春の雪 豊饒の海(一)』 三島由紀夫/新潮文庫/629円/★★★☆☆ |
| 輪廻転生物語の第一弾。序章だ。 松枝侯爵の息子清顕と友人の本多は、他の学友たちと交わることはなく冷めた学生生活を送っていた。しかし、幼なじみの聡子が宮様へ嫁ぐことが決まったことで、清顕の彼女への愛情を抑えがたくなる。愛し合う二人の行く先には幸せな未来はない。それでも本多は清顕への友情を発揮して彼らの逢瀬を助ける。 非常にまどろっこしい(笑)そして、非常にわかりづらい。そして友人として清顕を助けようとする本多にもかなり問題がある。相手の望みをかなえてあげようと親身になるのは素晴らしいことだが・・・。 三島氏の装飾過多な文章は疲れていると眠気を誘う。横になって読むとなおさらだ。しかし意外に気にいっているシーンがある。それは浜辺に寝転んだ清顕の胸のほくろを本多が凝視するところ。これは今後の物語でとても大切なところだが、それ以上にエロティックで暗示的でそして死のにおいがした。 |
| 『奔走 豊饒の海(二)』 三島由紀夫/新潮文庫/705円/★★★☆☆ |
| 輪廻転生物語第二弾。第1回目の転生。 清顕の死から18年、判事としての基盤を築き上げた本多は、剣道大会でであった飯沼勲が清顕の転生であると気がつく。 ここで清顕の家庭教師だった飯沼のもとに清顕が生まれ変わるという因縁がでてくる。きっと今後もこういう感じで進むのだろう。そして必ず本多がその近くにいる。春の雪よりもずいぶん読みやすい。物語が始まったという感じがする。 しかし、輪廻転生するということは「もう一回人間として修行を積んでこい!」ということでないかと思う。果たして勲を成長しているのか?微妙なところだ。考えや生き方が同じまんまじゃ生まれ変わる意味がないからねー。 |
| 『暁の寺 豊饒の海(三)』 三島由紀夫/新潮文庫/552円/★★★★☆ |
| 輪廻転生物語第三弾。転生2回目。 勲の死から7年。五井物産の招きでタイへと仕事で出かけた本多。かつての級友だったタイの王子の娘ジン・ジャンに清顕と勲の影を見る。自分は日本人の男子の生まれ変わりだと主張する姫を残し帰国した本多は戦争を挟んで美しい娘となったジン・ジャンと再会する。 老いていく本多のその性癖に仰天。そして妻梨枝の変貌。どんどん人間くさくなっていく本多が面白い。そして、清顕の生まれ変わりとしてのジン・ジャン姫のうつくしさ。本多がどんどん手垢がついていくのに比例して、清顕という魂はどんどん照り輝き美しくなっている。三島氏は美しいものと醜いものを徹底的に搾り出そうとしているようだ。 人間いつまでも恋することができるという気分で読めてよかった。 |
| 『天人五衰 豊饒の海(四)』 三島由紀夫/新潮文庫/476円/★★★☆☆ |
| 清顕、勲、ジン・ジャンと転生をみつめてきた本多は、彼らの生まれ変わりと思われる透を見つけ出す。76歳となった本多は悪を内に秘めた透を自らの養子としてむかえる事を決めた。 豊饒の海完結偏。妻、梨恵の死後、本多は慶子とともに老いた日々を楽しみながら過ごしている。その残り少ない日々に見つけた透に本多は何を望んだのか。清顕の恋へささげた情熱の残り火か?勲の正義の熱さか?ジン・ジャンへの秘めた陰湿な愛情か?たぶん自分と同じ冷静な目を、客観的な冷めた心を、秘められた悪を持つ彼に自らを見たからではないか。作中に告白しているように、「美しい肉の入れ物に入り込みたい」という願望のあらわれだったのではないだろうか。 初め従順だったのが、手のひらを返したような態度で特別な人間として暮らす透。息子の暴力おびえる本多。そして月修寺の聡子の言葉で、本多が語ってきた輪廻転生の話が全てが夢物語のように感じた。作中に何度も出てくる「死」への思いがその後の三島の自決へとつながるようで考えさせられる作品だ。 |
| 『金閣寺』 三島由紀夫/新潮文庫/580円/★★★★★ |
| 三島由紀夫はやはり敷居が高い。とにかく修飾的な文が読みにくいなぁと思ってました。この本もずーーーと積読本、ときどきチャレンジのくり返しでした。しかし、先日読んだ吉岡忍氏の『死よりも遠くへ』にて、金閣寺(ただしくは鹿苑寺)の住職についての記述を読んだとき俄然その気になりました。 さて、ざっと内容を説明すると、国宝金閣寺焼失事件を題材に、犯人である学僧のことに至るまでの話をさけられない幻想と狂気な運命が書かれている。悲劇の道を通らざるおえない暗さがつきまといながら、夢の中の話のようなぼんやりとした空気もつきまとう。その夢をふりほどいた結果が金閣寺に火をつけるという行為なのだろう。 やはり印象深いのは金閣寺への異常な執着。はじめは父の話から、そして失望を経て呪縛のようにつきまとう金閣寺と美の妄想。現実との交流を一切拒否して、思い込みだけで突き進んでるんだよね。それから、女性とのかかわりを一切拒絶するところ。チャンスはたくさんあるのに、ことにおよぼうとすると金閣寺が現れてくるって・・・!友人の柏木と恐ろしく正反対だけれど、”私”はそんな思い込みと独りよがりな青年に純粋さを感じる。こういうのが狂気なんだろうね。 |
| 『棺』 水上勉/旺文社文庫/★★★☆☆ |
| 水上さんの作品はどこか悲しさを含んでいる。それでいて、ほっとさせられるのはなぜだろう。 棺でもそうゆう短編が10篇収められている。 本のタイトルになっている「棺」は、戦争で息子を失った年老いた母親が、今度は自分の夫の死を恐れる。村の葬儀屋がつくる棺をみて夫が先立つ妄想が消えない。結局夫を失った彼女は自ら死を選ぶのだ。最後に村人たちの仲のいい夫婦だったから・・という語りで閉じる。 また、案山子(かかし)も気になる話だ。仲睦ましい夫婦が、近所の人間のやっかみによりその生活を暗転させる。 どれも大正や昭和の始めごろが舞台。農村の悲しい昔ばなしのような味わいである。 |
| 『醍醐の櫻』 水上勉/新潮文庫/400円/★★★☆☆ |
| 水上氏が心筋梗塞で倒れた後書かれた作品。 7作の作中に、氏が天安門事件に遭遇し、帰国後すぐに心筋梗塞で心臓の3分の2が壊死してしまったその後を淡々とつづっている。 どれも取り立てて事件があるわけでないが、リハビリセンターに通う間に触れ合った、通い婦のことや、高瀬川で会った女性の話、戦中の思い出話が四季の中に自然に織り込まれている。 心筋梗塞で死の直前から生還し、その後の生の穏やかさ、暖かさがじわりと感じられる作品だ。 特に印象に残ったのは、表題の「醍醐の櫻」で、戦中、輓馬(ばんば)隊の氏の持ち馬が病室のベッド脇にきて女ずわりをし、昔話をするシーンだ。薬のせいか、脳がみせる幻覚か、しかし、目前に浮かんでくるようだった。 |
| 『はなれ瞽女おりん』 水上勉/新潮文庫/360円/★★★★☆ |
| 幼いころに全盲となったおりんは、盲目の旅芸人 瞽女(ごぜ)となった。しかし、男と契りを結んだため、座を追われ1人でさすらうことになる。 水上氏が祖母の思い出を重ねて書いた物語だ。目が見えないというハンデを抱えつつ、身につけた芸で自活していく姿に心打たれる。そして、旅の途中で出会った脱走兵平太郎にたいする愛情を抱えながら、言われるまま「兄、妹」としてすごす。なんとおりんのいじらしいことか。悲しい恋に涙さそわれます。 表題作他4編収録。 |
| 『白蛇抄』 水上勉/集英社文庫/315円/★★★☆☆ |
| 男を欲するのは女の性。でも可愛い女は同姓にも好印象。 |
| 『フライパンの歌』 水上勉/角川文庫/★★★★☆ |
| 終戦後のまもない混乱期に、職を失いながらも文学への道を捨てきれない安田。妻の民江は生活苦を逃れるためにダンサーとなる。子供は田舎に預け、やがて夫婦さえ別居していく。水上氏のデビュー作で私小説。 生活苦にあえぎながらも夢へなんとなくぶらさがって生きているどうしようもない男とあくまでも現実的な女の悲しいすれ違いの話。しびれを切らして働きに出た民江がお金を得るにしたがってでる、夫への気づかいぶった言い訳はまことにたくましく冷めている。はしゃぎに比例して愛情が減っているんですね。印刷所の二階で、別居して安田が住まう蔵の二階で焼かれるパンが素朴で美味しそう。きっと今食べたら美味しくはないんだろうけれど。寂しくもあかるい小説。 |
| 『海の牙』 水上勉/角川文庫/★★★☆☆ |
| 熊本県水潟市の漁師町で恐ろしい奇病が発生する。それを調査にきていた東京の保健所職員が失踪する。 水俣病事件をモチーフに書かれた推理小説。水俣病(作中は水潟病)に関わる、工場、患者、社会の一連の記述とてもよかったので、さりげなく起こる殺人事件(こちらがメイン)なしで、社会派小説として読みたかった。彼の再デビュー作である「霧と影」の次の作品ですが、後の「飢餓海峡」を彷彿とさせます。 |
| 『波影・貴船川』 水上勉/角川文庫/★★★★☆ |
| 小浜の色町にある玉木屋の娘世津子。自家の娼妓としてやってきた雛千代との思い出を追う「波影」他5編収録。どれも花街で暮らす女性を扱ったもので、水上氏の哀愁漂う筆が光っている。特に印象深いのは「波影」の雛千代。世津子の目を通して書かれる彼女はいつも大きく包み込むような温かさが漂う。珠を転がすような笑い声、思いやり深い話し方、故郷の思い出話。自ら志願して娼妓となった彼女だが、ホント気持ちはどうだったろうと想像する。小浜の波間に見え隠れする泊の村が私にも見えるようだった。 |
| 『京の川』 水上勉/新潮文庫/★★★★☆ |
| 京都にはたくさんの川がある。賀茂川、桂川、高野川、今出川、堀川、紙屋川、天神川。古都を流れるそれぞれの川がみせる姿は違う。まるで人の性のように。芸妓静香には庭師である義理の父義姉、義妹がいる。複雑な人間関係、思わぬ絆にしばられとまどいながらも芸の道、女の道を必死で歩んでいる。 女の業、男の寂しさ、親子の絆みせつけられる本性に驚いたり悲しくなったりする。とつとつと書かれる水上文学の哀切がすばらしい作品。 |
| 『コワ〜い土地の話』 三住友郎/宝島SUGOI文庫/500円/★★★☆☆ |
| そろそろ家を手に入れたい・・などと、ようやくその気になってきたこの頃。でも、家にまつわること、何も知らない自分に気がつきます。その時、古本屋でみつけたコイツ。タイトルといい、表紙のイラストといい、そそるではありませんか。 21のケース・スタディで紹介される内容で、家・土地を持つことの難しさ、知識がないと損するということを知らされます。もちろん、そんなこと本を読まなくても知ってるけど。落とし穴にはまらないように勉強しなくちゃ。 |
| 『でかい月だな』 水森サトリ/集英社/1470円/★★★★☆ |
| 友人に蹴落とされて生死のはざ間をさまよい右足を不自由にされてしまったユキ。自分以上に憤慨する周囲に戸惑い、怪我をさせた友の真意もはかれず、自分の心にぽっかりと穴を抱える彼。でも、突然、空を泳ぐ魚の群れなんかが出てきてSFチックになっていく。被害者も加害者も背負うものがある。絶対消せないものもある。でも、友だちっていると楽しいと思える一冊。 特に科学マニアの中川が好き。穏やかで、賢くて、なんか一人で科学室を占領してて、ちょこっと校則破ってて、でも、隠れファンがいて同級生にも認めてもらってる。その年(中2)ですでに悟ってるみたいな超越してるところが。 |
| 『笑う写真』 南伸坊/筑摩書房/819円/★★★☆☆ |
| 「写真とは真実を写すものである」というのはうそだよ〜んって話だ。写真に向き合って、さまざまな実験を行ったというんですね。ご本人もそのようにあとがきで書いてました。お笑いというよりも(タイトルにはそうなってるけど)写真評論に近いらしい。そういわれればそうかしら。それなりに楽しめました。でも、ちょっとキョーレツ。南氏によるコスプレというか変装写真は。ヌード的なところに走ってるもの気になるけどね。 |
| 『仁淀川漁師秘伝 弥太さんの自慢ばなし』宮崎弥太郎・かくまつとむ/小学館/1300円/★★★☆☆ |
| 高知といえば「四万十川」。いえいえ、いい川はもったあるのよ。「仁淀川」て知ってますか?両親の里が高知県のせいで、私にもなじみのある川。遊んだことはないけれど、川はいつも見ていた。水が透明でキレイなんです。5月のこどもの日には川にこいのぼりを泳がせたりしてますね。 で、仁淀川で漁師をしている弥太郎さんが、魚の取り方、習性、自然環境なんかについて語ってます。 うなぎやアユ、ツガニ、アオノリまで。それで料理のことも載ってるので、「あぁどんな味だろう・・・。」と興味深々です。 中にライギョの話がちょこっとだけあるんですが、昔近所の川で友達と取ったことを思い出して、懐かしくなりました。 生活に密着してるから、より自然の大切さがわかる!弥太郎さんの自慢ばなしにもちょこっと耳を傾けてみてください。 |
| 『東南アジア四次元日記』 宮田珠己/旅行人/1365円/★★★★★ |
| 読み出したとたん、当たり!と思いました。とにかくおもしろい。著者は謙虚なのか人をバカにしてるのか・・・独特の妄想含みな語り口、くせになります。突然サラリーマンをやめ、かねてからの希望であった、東南アジアを陸続きに、そしておもしろいものを見てまわる旅。おもしろいのはおまえだー!ですよ。ククク。 東南アジア各国の、仏教的像の匠とも言いたい奇態。これは、宗教が生活と密着しているということの現れでしょうね。旅行記の着眼点?というのは私が愛する(??)いとうせいこう・みうらじゅんによる「見仏記」に通じるものがあります。最近つまらないなーと思う方、どこか遠くに行ってみたい方にどうぞ。 |
| 『ウはウミウシのウ』 宮田珠己/小学館/1365円/★★★☆☆ |
| 前作より読中読後のインパクトは弱し。それは多分、シュノーケルにも変な生き物にも私が興味ないからでしょう。 しかし、不思議なもので、何度も何度もたたみかけるように、シュノーケルの魅力を力説されると、そんなものか→そんなものだ→そうかも、という風に気持ちが変遷していきました。四国の柏島が宮田氏の独断と偏見でAAランクだったというのがうれしい。 |
| 『わたしの旅に何をする。』 宮田珠己/旅行人/1470円/★★★☆☆ |
| やっぱり、”初めて”ほどテンションが上がりません。宮田珠己の魅力はこれまでなのか?ただ、「東南アジア四次元日記」よりも、多種な旅の話はので、へぇ〜という尊敬度が上がりました。とにかくたくさんの旅をされている、たくさんの国を訪れているの。突然サラリーマンをやめ、旅人となり、なんとなくやってみたかった物書きという職業で食べていけるようになってるということから、旅は人の血となり肉となるのかもねと思いました。 |
| 『52%調子のいい旅』 宮田珠己/旅行人/1365円/★★★☆☆ |
| 連載していた旅行とかのエッセイ集。52%というのは、旅行記の割合。宮田珠己は時々読むとおもしろい。適当でも生きていけると思うのだ。彼のエッセイを読むと。 さて、印象的だったのは、サラリーマン時代に仕事で東海村の原子力発電所を見学した時の話。実は当日放射能漏れ事故がそこで起こっていたという、腰が抜けそうな実話が衝撃でした(本人も相当ショッキングなできごとだったと書いてます。そりゃそうか)。 |
| 『錦繍』 宮本輝/新潮文庫/400円/★★★★★ |
| 以前、おすぎさんとピーコさんが出ていた番組、この本の紹介を聞いて興味を持った。購入してからしばらくねかしておいた本だ。 10年前に別れた夫婦が蔵王で再会したことで、手紙のやり取りを始める。男は過去に心中未遂を犯し、女はその理由を教えてくれと書き綴る。それぞれが別々にになって生きてきた10年を、パズルを埋めるように書いていく・・。 互いの書簡だけでつづられる作品を、はじめは「面白いのか?」と疑問に思った。それがこの本をしばらく読まなかった理由だ。 しかし、搾り出すように、過去の傷をなぞるように書いてある書面は、他人の秘密を盗み見たような興奮と、締め付けられるような気持ちを与えてくれた。 そして、蔵王のダリア園からドッコ沼へ登るゴンドラから見えた紅葉の紅さ、心中未遂の時に流れた血の色、火事で燃え上がったコーヒーショップの炎の色、庭に咲いたミモザの黄色とその鮮やかさにも クラクラさせられそうだった。 決してハッピーエンドではない話だが、二人の愛情の色まで見えてきそうな作品だ。大人の恋、いいですね。 |
| 『海辺の扉(上・下)』 宮本輝/角川文庫/各505円/★★★★☆ |
| この本のなかで、2つ好きな言葉がある。 一つは生まれながらに障害を持つ子を持った教師の「再生の時必ずや来たらん」と、ミコノス島であったフランス人が言う「ええ、海と島とを区切っている見えない扉です。ここにはそんな扉がたくさんあります。」というセリフだ。 どちらも、自分さえその気になれば、新しく切り開いていける道があると教えてくれているような気がするからだ。 人間は傷つきやすい。事故で息子を死なせてしまった満典、その元妻の琴美。不意に日本から出て行ってしまった息子を待つ母親。満典の迎えをまつエフィー、盗作の疑いをかけられた日本人の絵描き。ギリシャと日本を舞台に、傷ついたいろんな人々が出てくる。 しかし、やがて人間は乗り越えていく。過去を忘れ去ることはできないが、不幸を幸福へと転換して。 自分の過去を見てばかりいる男の話だが、ちょうど、真っ黒な雨雲の間から光が差し込むように、わだかまりがだんだんと溶けていくところがとてもよかった。 |
| 『螢川』 宮本輝/角川文庫/350円/★★★☆☆ |
| 太宰治賞作『泥の河』、芥川賞受賞作『螢川』を収録。 『泥の川』昭和30年の大阪の街を舞台に食堂の息子、信雄の目線で書かれている。 ところで小さいころ大人の会話を聞くのが好きだった。「お前たちにはまだわからんだろう」と思って話しているのだが、以外と(話の細かいところまではわからなくても)事の真意というのはわかったりした。そうして、少し大人の気分になったのを思い出す。 信雄は近くの川にやってきた、廓舟の姉弟と仲良くなる。同じ年の喜一と友情を育てながらも彼の母親のなまめかしい美しさにも惹かれる。だが姉弟の母親の稼業を偶然目にしてしまったことで、縁が切れてしまう。お化け鯉の話を叫びながら終わるラストはやるせない。 『螢川』では、もう少し大きい少年竜夫が主人公。父と母が昔愛人関係から発展して今に至る・・という少々複雑な家庭だ。父親の死、友人の死、借金、初恋と微妙な年頃の少年を激しく揺さぶっていく。故郷の富山市を離れる前に。心寄せる千代と蛍の群生を見るシーンは「ホー」と声が漏れる。 淡々とした竜夫の心中の暗さにともる光のようだ。その光も冷たいのだが。 |
| 『葡萄と郷愁』 宮本輝/角川文庫/390円/★★★☆☆ |
| 人生の重要な岐路に立たされて悩み、苦しまない人間はいない。だいたい、朝、何を着ていこうか、ランチは何を食べようか、どこで食べようかそれすら悩むのが人なのだ(笑) 東京とブダベストで重大な決心を使用とする二人の女性の苦悩が同時進行する。 純子は結婚し外交官夫人として生きるのか、その承諾後も揺れ動き、アーギは、家族友人恋人も捨ててアメリカへ渡るのかを決断しかねる。本人と周りの人間の思惑とエゴに足をすくわれそうにながら生きる道をみいだそうとする。 ここでわかったこと。決断の理由は他愛のないこと。悩むのはそれを一つ一つ確認する作業だということだ。 |
| 『幻の光』 宮本輝/新潮文庫/380円/★★★★☆ |
| 8年前にこの本を読んだとき、なんとも湿っぽい話だなというように思った記憶がある。若くて、まだまだ青かった私には、死んだ元夫へずっと語りかけるという行為のもどかしさが耐えられなかたんだろう。でも、暗くて潮の香りがして、寒い冬の朝日のようにじんわりとした光の温かさが印象的だった。あれから何年も経って、映画の「幻の光」をみて、もう一度読んでみると、以前よりも言葉が染み込んできてびっくりした。自分が結婚して、歳をとってちょっとは大人になったからかもしれない。 2つの忘れられない場面があった。ひとつは、奥能登へと向かう途中に、近所の朝鮮人の漢さんとの出会い。「力いっぱい股で挟んだったら、男なんていちころや。相手の子供を味方にするのんが、こつやでェ。ほんまやでェ、ほんまにそないするんやでェ」いつもは無愛想で親しくもなかった、子供を3人つれて、男みたいに働く漢さんのセリフ。今にも逃げ出そうと考えている、ゆみ子をしっかりしいや!と後押ししている。もうひとつは、海女のとめのさんが再婚した民雄の前の奥さんの話をするところ。誰もが悲しい辛い思いを抱えているよと言う。突然自殺してしまった夫への、整理のつかないもどかしさと「なんで?」という気持ち、癒されない哀しみ。でも、思いを穏やかに鎮め、ふっきるきっかけを人生はちゃんと用意してる。全部抱えながらも、ちゃんと前へ進ませてくれると思う。 他「夜桜」、「こうもり」、「寝台車」収録。 |
| 『愛の話 幸福の話』 美輪明宏/集英社/1575円/★★★☆☆ |
| 相手を思いやること、礼儀正しく振舞うこと、自分を磨くこと、努力すること。人として生きていくうえで必要で大切なことと知りつつも、心の片隅で埃をかぶらせているような当たり前のことに気づかせてくれます。心がけ次第で生活が一変するというのは本当のこと。1日1日を大切に生きたい人、何かを変えたい人にオススメの一冊です。 |
【む】
| 『父の詫び状』 向田邦子/文春文庫/440円/★★★☆☆ |
| 向田邦子さんのエッセイを初めて読んだのはいつだったか? 学校の教科書でか、テストの問題でかそういったものがきっかけだった。 とにかく向田さんが幼少時の父親像がよく伝わってくる。私の母から聞いた祖父の話と似ていた。躾に厳しい事、酒をじゃんじゃん飲んで、お客を呼ぶ事が好きな事、すぐ怒る事。幼いころそんな祖父に母は腹を立てることも多かったそうだ。私の知っている祖父も、幼い頃は声が大きくて恐い人だと思っていたが、今になって思い出すのは、病気の後お見舞いに行くと手をにぎって泣いていた姿なのだ。 向田さんも記憶を手繰り寄せながら、当時のことをユーモラスの書かれている。24話の短い1つ1つの話から、現代の私たちにも懐かしさを感じさせてくれる作品だ。 |
| 『思いでトランプ』 向田邦子/新潮文庫/400円/★★★☆☆ |
| 向田さんの作品は時々読みたくなる。なんてことない人々のちょっとした人生を覗き見している気分になるからだ。 この本は13話の短編からできている。 特に気に入っているのは「かわうそ」と「犬小屋」だ。 「かわうそ」では定年間際の宅次がある日脳卒中で倒れる。クラス会といって家を出た妻厚子の本心が、宅次の回想からじわりじわりとわかってくるところがちょっぴり恐い。厚子が帰宅する少し前、包丁を持つところがある。「写真機のシャッターがおりるように、庭が急に闇になった。」とこの話は終わっている。 定年間際、気に入っている庭にマンションを建てるかどうかで妻ともめている矢先に、病気で倒れる宅次。妻の気性を愛していながら、心中のどこかで嫉妬し、その言動に不信感ももっている。仕事をしているだけなら気づかなかった事が家で寝ているとどうしても目の前にぶらさがり心の中に波を起す。また、友人からの注進により、妻のうそも知る。そこから昔娘を失った真実に、彼女のうそがあったことを思いだす。包丁を持ち、刺したいのは妻か、それとも自分なのかと判じかねてる時に幕が下りる。テレビドラマか、映画を観ているようだ。 「犬小屋」では身重の身体をいたわりながら席についた達子が前の席に昔の知り合い「カッちゃん」を見つける。彼は学生時代、犬にえさをくれたことで家に出入りするようになった魚屋の兄ちゃんだった。犬の世話を理由に達子の家に出入りするようになったカッちゃんはある日大きな犬小屋をつくる。 達子のことを好きだったであろうカッちゃんのけなげさは犬に向かっている。その様子は、ほほえましくもあり、うっとうしくもある。公認のストーカーのようだ。だが、最後の彼も単なる「いい人」でない様子がゾッとさせる。 人生ドラマの一瞬だけ、テレビかスクリーンで見ている気分になる。向田さんの作品はそんな風にさせてくれて好きだ。 |
| 『男どき女どき』 向田邦子/新潮文庫/362円/★★★☆☆ |
| 向田邦子さんの本を近頃何冊か読んでいる。先日は妹さんの書かれた「向田邦子の青春」も読んだ。彼女の作品は日常のなんでもないものを、じっくりと見つめていて、その作品を読むことで「ハッ」とさせられ、「ジーン」とさせられ、見過ごしてしまいそうなものを大切なものと気付かせてもらえる。だから好きだ。 向田さんは戦中戦後を生きられた方なので、女性のあり方を話すとき「少し古いな」と思ったり、「今はもっともっとひどくなってますよ」と思ったりもしますが、決して無駄に感じません。 彼女が1人暮らしを始め、誰も見てない事をいい事に、だらしない生活をしてしまい、独りの時こそそういうことをしてはいけないということを書かれています。こういう、私たちより前の世代の方が大切にしていただろう、女性としての美学はもう一度取り戻した方がいい事だなと感じます。 後半のエッセイなどはどれも心に沁みてくる、肝に銘じたいような内容です。 |
| 『夜中の薔薇』 向田邦子/講談社文庫/380円/★★★☆☆ |
| 本を読んでいて、その作中にでてくる食べ物は以外と食欲をそそる。そして、そんな文章を書く作家は大好きだ。それが、お茶漬けの一杯だったり、お漬物だったりしても。 「食らわんか」のなかで向田さんが小さい頃、作ってもらった「海苔弁」の話が出てくる。 文中からそのまま抜き出してみる。 (炊き立てのご飯を)十分に蒸らしてから、塗りのお弁当箱にふわりと三分の一ほど平らにつめる。かつお節を醤油でしめらせたものを、うすく敷き、その上に火取って八枚切りにした海苔をのせる。これを三回くりかえし、いちばん上に、蓋がくっつかないよう、ご飯粒をひとならべするようにほんの少し、ご飯をのせてから、蓋をして、五分ほど蒸らしていただく。 これを読むと、今すぐ食べてみたい衝動にかられる。 他にも、「若布の炒め物」や、「豚鍋」など食欲をそそる食べ物が出てくるのだ。じっとしていられない私は、そのまま夕食の献立の一つに加えているのだった。 |
| 『きんぎょの夢』 向田邦子原作/文春文庫/371円/★★★☆☆ |
| 向田邦子氏の放送台本を中野玲子氏が小説化したもの。 『きんぎょの夢』『母の贈り物』『毛糸の指輪』の3作品が収録されている。 3篇とも「結婚」がキーワード。 婚期を逃したおでん屋を経営する砂子、過去に母親に捨てられた秋子、結婚をあきらめている清子を見守る有吾とさつき。 どれも、ふと覗き込んだ隣の人の人生を暖かく見つめているようだ。そして、平凡に生きてきた彼らが、ふと思いがけない過去を抱え込んでいるのを垣間見せて、どきりとさせられます。 |
| 『ホテリアー 公式ガイドブック』 向山昌子/imx/2100円/★★★☆☆ |
| 近頃韓国ドラマ、映画が巷のうわさをさらっているようです。この本は「ホテリアー」というドラマのガイドブック。しばイヌも参加しているrjのプレゼントでもらった本です。なんも考えずに応募したんですが、ドラマをまったく知らない者がもらっていいのかな?という困惑もありましたが、ま、くれるのならなんでも喜んでいただきます(笑) 残念ながら自分は韓国映画は「猟奇的な彼女」しかみたことがありません。しかし、この映画は好きな映画ランキングの上位。そうそう、「ホテリアー」には「猟奇」の時、彼女の父親役立った、ハン・ジニも敵役で出ています。 さて、ソウルホテルを舞台にホテルの買収問題と男女の恋愛の葛藤を描くドラマ。本書は主演のペ・ヨンジュン、ソン・ユンア、キム・スンウ3人のインタビューを中心に、エピソードガイド、撮影がおこなわれたシェラトン・グランデ・ウォーカーヒル・ソウルホテル秘話など見所満載です。写真も豊富なので、ファンの方には秘蔵の1冊となるのではないでしょうか。 実際ドラマは見てないので面白さを「ここ、ここ」という事はできませんが、驚いたのは、ソウルホテルの舞台となったシェラトン・ウォーカーヒル・ソウルホテルの営業中に、すべてドラマの撮影がおこなわれたという事。工事中の部分もうまくドラマに取り込んだり、リニューアルオープンの場面も実際のホテリアーを取り込んで使ったりとリアリティを追及している点。そして、ドラマの進行に視聴者の意見が大部分取り入れられるという韓国ドラマの風習。実際、「ホテリアー」に関しては、監督の意思もあり、そういうことはなかったようですが、TV局側が、ドラマの脚本を事前にHP上で発表するというのは驚きでした。 「ホテリアー」をまだ見たことのない私。このガイドブックを読んでどう思ったかというと、もちろんドラマ見たくなりました。 |
| 『友情』 武者小路実篤/新潮文庫/324円/★★★☆☆ |
| 友情というのは、難しいのもだ。相手を受け入れ、認め、おだててあげる。時には競争やケンカもある。だが、友の好きになった相手を奪うことはできない。 野島は杉子へ強い恋情をいだき、その心のうちを友人の大宮に打ち明けていた。しかし、先に好きになったからといって、相手が自分に応えてくれるなんてことはありえない。かねてより杉子は野島に恋心をもっていたから。 大宮は、最後に友情を守り抜くより自分の心に従う。そして、野島に本当のことを打ち明けるのだ。それも彼を尊敬し、きっと乗り越えて立ち直ってくると信じていたから。 これこそ本当の友情なのだろう。それに応えて野島も大宮に手紙を書くのだ。その後、ようやく彼は心から泣く。自分の孤独を。 下手につくろわず、ストレートに進む話は爽快で、そして悲しくなった。 |
| 『棘まで美し』 武者小路実篤/角川文庫/★★★☆☆ |
| 最後に勝つのは純情人間。ほほえましい作品。 |
| 『トパーズ』 村上龍角川書店/420円/★★☆☆☆ |
| 私には耐えられません。すごい描写。エッチな話たち |
| 『イン ザ・ミソ スープ』 村上龍/幻冬文庫/533円/★★★★☆ |
| フランクと言うアメリカ人に夜の性風俗ガイドを依頼されたケンジ。人工的で奇妙な肌を持つフランクに、前日起きた女子高生のバラバラ死体を思い出すが・・・。神戸の須磨区で猟奇的な事件が起こった時に連載され、そして、この連載が終わる頃に14歳の少年が犯人として捕まった・・・、といういわくつきの作品。 気持ち悪い。惨劇で、猟奇的だ。ゾクゾクというか、胸騒ぎをさせる前ふりがあって、目をむくほどのこわいものをポーンと持ってこられる。なんと村上氏は人間が一番いやだ!と思うようなシーンを書くのがうまいんだろう。大量殺人のシーンを読んだあとはぜったい悪夢をみれる(笑)私も目に注射される夢をみた。ただ、最後まで読むと少し印象が変わった。今まで他人と思っていた人がようやく仲間になったみたいな・・・。 ホラーやスプラッタシーンが苦手な人は読まないほうがいい。だが、そんなにぬくぬくと生きていていいのか!という日本人に対する警告文でもあるこの作品は、一読する価値はあるのではないかと思うんですが・・・。 |
| 『半島を出よ(上下)』 村上龍/幻冬舎/1890・1995円/★★★★☆ |
| 簡単に言っちゃえば、北朝鮮のテロリストたちに福岡市を占拠されるお話。福岡市民の視点、北朝鮮の軍人の視点、日本政府の視点とそれぞれの目線で語られる10日ほどのできごとは濃厚で、村上龍が日本政府と日本人に対して、「このままでいいのか?」という問題提起をしているようだ。 日本の一部を侵略される(それも北朝鮮に)という、なんとなくリアリティあふれる設定に日本政府のあいまいで的外れな態度なども十分深刻なことだけれど、経済的な低迷で、ホームレスの増加、少年たちの犯罪などが過剰に発生しているというどうしようもない状況に陥っている日本という、この物語の下敷きみたいなのがより恐ろしい。近未来の描写がリアルなのだ。あとがきに「書けるわけないが、書かないとはじまらない」と思いながら書いたいきさつがあるが、さすが村上龍だと思いました。ははぁ〜。もちろん、お下品な発言をするイシハラなんかがちゃんといてやっぱり村上龍だなと思わせられるのです。 重いこともごちゃごちゃ書きましたけれど、とにかく楽しめます。 |
| 『村上龍料理小説集』 村上龍/集英社文庫/★★★★☆ |
| 食と恋愛の記憶をむすびつけた短編集。食べ物とロマンチックでオシャレだが、だれもが同調するのは難しそう。食べるものが高級ということもあるし、舞台が海外ということもある。それに、時代を感じる。主人公の職業がCFディレクターで、各地を飛び回ってるというところなんかバブリーな匂いがぷんぷん。嫁と子がいるのに浮気を美しく描くってのもしゃくにさわるところだ。 けれど、だからこそ、食という身近なテーマなのに泥臭くなってないんでしょうね。かっこよくしようとすれば、スノッブになりすぎるし、ありのままってのも当たり前すぎる。そのことを考えたら、この小説はとてもいい塩梅といっていいのでしょう。 |
| 『ワイン1杯だけの真実』 村上龍/幻冬舎文庫/520円/★★★☆☆ |
| 無性にワインを飲みたくなる短編集。 ストーリーはとらえどころがなくて、あいまいでフワフワとしたものだけれど、だからこそワインのあの芳香と口に含んだときに広がる旨味みたいでうっとりするのよ本当に。安いのでもこの本を片手にたのしめました。 |
| 『またたび東方見聞録』 群ようこ/新潮文庫/514円/★★★☆☆ |
| 群ようこさんの本を読むのは少なくとも3年ぶり。 旅行記はその人柄がわかる。まさに十人十色。タイのバンコク、上海、京都と群さんとその仲間たちの珍道中。 中でも群さんとお母さんの2人で旅した京都編が面白い。群母の面白さは過去の作品でよく拝見しているので、久々に笑わせてもらった。まぁどこの母娘も同じようなものでしょうけど。 母の財布と化した群女子のため息が伝わってきた。 関係ないが、知り合いの小学校の先生のところに生徒から年賀状が来ると住所の「〜郡」が「〜群」になってることが多いとか。私自身、漢字を書くことが少なくなったので、これに似た間違いは最近多くなった。 |
| 『交差点で石蹴り』 群ようこ/新潮文庫/476円/★★★☆☆ |
| 群さんのエッセイってかなり辛口。久々に読むと、「なにもそこまで・・・」と思ってしまう。でもその言い口は、そうなんだよねと納得させる力もある。そして、またまた群母登場。彼女は群エッセイには欠かせない登場人物。世間へ辛口でせまる群さんを唯一ぎゃふんと言わせる存在ではないだろうか。10年ほど前の著書だが時代にあせない人間ドラマを感じられます。 |
| 『雀の猫まくら』 群ようこ/新潮文庫/476円/★★★☆☆ |
| 日記形式のエッセイ。母親に搾り取られる娘の姿に涙(笑)家の頭金に着物に旅行・・・。それに自由業の方の税金って大変なんですね。ハワイでのおばあさま、おじいさまガイドのワンマンぶりにはのけぞりましたが、群さんの悟りっぷりにもさすがだなぁと感服しましたよ。でも連日のマージャンはどうだろう?麻雀明けに寝過ごして結婚式に出席できなかったというところを読んで、人事ながら血の気が引きました(笑) |
| 『東洋ごろごろ膝栗毛』 群ようこ/新潮文庫/514円/★★★★☆ |
| 「亜細亜ふむふむ紀行」、「またたび東方見聞録」と続くアジア旅行の第3弾である。3つも続くと・・・と思うが、珍道中ぶりにもより磨きがかかってきて爆笑度がアップしている。今回は台湾の旅、それから北京の旅である。とくに面白かったのは北京編。買い物大好き、毒舌のツルタさん。読者からクレームがくるのでは?もしくは、群さん、オーバーに書きすぎじゃないの?と言うほどの毒舌&爆発ぶりだ。顔がむくんだり、湿疹が出たり、下痢したりする男性陣と同じ物を飲み食いしても平気な胃、飛行機を遅らせてまで買い物する豪胆ぶり、中国人もびっくりの値切り、男性人が「チャオアオ(傲慢)」と陰口するほど彼女に目が離せない(笑) もう一つ私が注目した箇所。それは、同行の男性口車くんが土産に買ったと言う三国志の登場人物の竹のしおり。これは中国しおりによくあるセットものの香木しおりでしょうな。残念ながら私はもってませんが。 |
| 『天使の卵』 村山由佳/集英社文庫/390円/★★★☆☆ |
| “僕”は満員電車で淡い桜色をまとった清冽で凛としたたたずまいの“彼女”に出会った。 特別は人と出会ったとき、特別なことがおこる。「ビビビ」(ちょっと古いか)ときたり、鐘の音が響いたり・・・。残念ながら私にはそんな「ひと目ボレ」な経験はない。でも、もしそんな特別な出会いをした人と、また偶然会えたら、たぶん確実に恋をするだろう。 “僕”こと歩太(あゆた)もその“彼女”がガールフレンドの姉であっても、8つ年上であっても恋をした。 この純愛小説を読むと人を好きになりたくなる。おもいっきり涙を流したくなる。真直ぐに気持ちのまま生きると、周りと衝突することになるだろうが、傷ついても、泣いても、きっと後悔はしないだろう。 |
| 『野生の風』 村山由佳/集英社/1325円/★★★☆☆ |
| 恋愛のせつなさがてんこ盛りになってます。よくも悪い目ばかり出てしまいましたねと同情したくなる。 でも、結局は飛鳥自身が目の前のチャンスを手にしようとしなかったから。自業自得というやつでしょうか。何人もの人が”自分の気持ちに正直に!”とアドバイスをしてくれているのに、聞き入れない頑固さのせいで手放していくのを見るのは歯がゆい気がしました。若いのに、老成しちゃって・・・。もったいない。泣いて「いかないで!」とすがる誘惑に負けてほしかったな。彼女を見ていると、サバンナで孤高にたたずむ1匹の野生動物を思い描きました。 本気で泣ける要素たっぷり。恋する気持ちを思い出したくなったとき、ちょっと泣いてみたいと思ったときにはいいね。 |
【め】
| 『トワイライト』 ステファニー・メイアー/ヴィレッジ・ブックス/★★★★★ |
| 普通の高校生ベラと美しき吸血鬼エドワードとの恋物語。出会いから結末まで、4シーズン出版されてます。 はじめは、ベラがあまりに普通で(勉強はまあまあだけど、運動神経がゼロだとか)つまんない子なのに、転校先ですごいモテモテだったり、ちょっとなにこれ?!だったんですが、だんだん彼女の魅力(エドワードはもちろん、素直に愛することができるところとか)をかわいいと感じるようになりました。 そして、エドワード。ベラの魅力にどんどん引かれ、挙動不審で、避けてたのに結局はつけまわしたりして、こちらも、はじめは(どんだけ男前とはいえ)ストーカーっぷりにドン引き。吸血鬼らしいといえばそうですが。2人が両思いになってからの挙動から目を離せなくなります。どんな危機一髪でも2人(と家族)で切り抜けていくところとか、あまり普通の若い男女の恋愛と変わりません。純愛っぷりが愛らしくて、おねーさん目が離せなくなっちゃいました。 2人の恋愛が見所とはいえ、吸血鬼であるエドワードの苦悩とか、面白い視点だなと思いました。吸血鬼だけれど、”菜食主義”をつらぬくグループという存在として馴染ませるというのも新しいです。そして、吸血鬼という”血”のつながりから派生する家族愛。ティーン向けとはいえ読み応えはありますよ。 私は映画化をきっかけに読み始めましたが、映画だけでは物足りなかったかな。ちょこっと興味をもたれたら、「読むこと」をお勧めします。もちろん、これから公開される第2作目の映画、しっかり見に行こうと思ってます。 |
| 『恐るべきさぬきうどんD』 麺通団/ホットカプセル/★★★☆☆ |
| やーやー、田尾さんのリズムのいいしゃべり言葉(文章だけど)は、いつ読んでもほくそえんでしまう。さぬきうどんの穴場情報本としても面白いけれど、グフフ笑いを楽しむために手に取っちゃうんだよね〜。 |
【も】
| 『神の手』 望月諒子/集英社文庫/680円/★★★★☆ |
| 文芸雑誌の編集長、三村の元に、高岡真紀と名乗る女性からの原稿が届く。しかし、それは失踪した作家志望の女性、来生恭子の初めての原稿と全く同じものだった。 文庫本には「電子出版で圧倒的支持を得た大型新人デビュー作」と帯が付いていた。ミケランジェロの天地創造の画の一部にタイトルという、そっけなさに素通りしてしまいそうだが、本屋店員が書いたPOP、「愛媛県出身の作家」という文字が飛び込んできて購入を決めさせた。 来生恭子の作品を持って、彼女そっくりの会話、しぐさをする女性の登場。あなたの名前を口にする患者がいるのですが、という広瀬という医師からの電話。三村を惹きつけた女性。魅力があり、才能あるその女性の影が見え隠れする前半。盗作問題を言及する中盤。真実が暴かれる後半。連続幼児誘拐事件とも絡めたその謎を追っていくのに興奮して息が詰まりそうだった。これがデビュー作ですか!?3週間で200ページという作品を書き上げる来生恭子という女性が、作品を通して崩壊していく姿が、壊れるというのはこういうことかと生々しく感じさせた。そして、彼女の女としての能力のすごさを。 中盤から登場するフリーのジャーナリスト木部美智子が活躍する第二段、第三弾が出ているという。こちらも楽しみ。 |
| 『いつかパラソルの下で』 森絵都/角川書店/1470円/★★★☆☆ |
| 父親の死後、公になってくる真実。厳格で融通が利かなかった父の真の姿を探すため、それぞれに父親の呪縛から逃れるために三人の兄弟は旅に出る。そこで見つけたのはやっぱり好きになれない父の姿だけだったけれど。 家族は身近にいるから互いによく知っていると思い込んでしまう。でも、一番わからない他人かもしれない。自分の父の過去を手繰っていくというのは、自立した(というか、単に年を重ねて家を出ただけ?)客観性を持った後で、もう一度知りなおすという作業だと思う。そこがよかった。 |
| 『すべてがFになる』 森博嗣/講談社文庫/714円/★★☆☆☆ |
| まず、登場人物の氏名が凝っている。真賀田四季、犀川、西之園。その他大勢になる人たちは普通の名前なのですが。 PC用語が多くて、頭の中がこんがらがりそうになりながらも、以外とスッと最後まで読める内容です。 萌絵ちゃんの、犀川先生ラブラブ光線にはあてられますが、世津子と先生の関係をなかなか聞けないところはかわいいなぁなんて。でもあんまりしつこいと嫌われるよ!と老婆心ですが忠告したくなりました。 この2人のコンビのシリーズはまだまだ続くそうで、これから読んでみたいと思います。 ちなみにアホな私にはトリックの説明を明かされてもしっくりこなかった。根っからの文系人間。 |
| 『明治・大正を食べ歩く』 森まゆみ/PHP新書/998円/★★☆☆☆ |
| 明治・大正から愛され、日本の文化へ馴染んできた食事とお店を紹介。時間の流れが止まったかのようなレトロな雰囲気が、時代をトリップしたような錯覚をさせる。東京の名店を著者が訪れ昔の話を交えて紹介。東京へ行った折にはぜひまわってみたい。文豪の名前もチラホラ出てきて、食欲と読書欲をそそる。 |
| 『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦/角川書店/★★★☆☆ |
| これは、好奇心と素直さに満ち溢れた彼女と、彼女に恋する男の話である。京都のまちを縦横無尽に駆け回って彼女の目にとまろうと努力する男は、はたして間抜けであり、でもかわいくもある。やってみて悪くない努力だったのかな。彼女はおとなしくてかわいい感じだけれど、ずいぶん変な子。でも、彼女たちに関わる奇人変人の方が多いのに驚きながらはまっちゃう。大学生の青春ど真ん中って感じもいい。心温まる恋の話。 |
| 『太陽の塔』 森見登美彦/新潮文庫/420円/★★☆☆☆ |
| 根暗で華がない男の妄想でストーカー生活。京都の街を妄想を抱えた男が疾走します。でも、失恋をしただけで、人の道をはずしちゃぁなりません。 水尾さんという元恋人への恋心を忘れられないまま、いまだ執着したまま生活し続ける男、そんな男を排除しようとする、水尾さんに片思いの男、女性に好きだといわれと奔走してしまう男。きっと彼らは私達女が想像できないほどデリケートでガラスのハートをもつのでしょう。そうした少年の心を持つ青年というのも悪くないけれど、ちょい危険すぎてうさんくさい。正直、女性から倦厭されるべくあるざい男なの。私には楽しめる内容ではありませんでした。なんでファンタジー小説なんでしょうね。 |
| 『美女と竹林』 森見登美彦/光文社/1680円/★★★★★ |
| 世間の評判より、私の森見作品の評価はずっと低いものでした。でも、でも、でも。このエッセイを読んで結構上昇しちゃったかな。★5つ!! この本は森美氏のエッセイです。タイトルのとおり(美女は出てきませんが)、竹林についてのエッセイ。いや、竹林に取り付かれた男が、他人ちの竹林を手入れするという愚行を実行し、疲労したりする話です。 まずは、行間から垣間見えるのは、作品の主人公のように、うじうじ系でおとなしく引きこもりな感じを生き写しにしたような印象の作者でした。マジ悪印象ですが、うんざりしながらも読み進めていたら不思議なことが起こりました。現実の中に完璧妄想が入り込んだバカエッセイが心のそこから笑えちゃったのよ。大きな声ではいえませんが、おすすめです。 |
| 『死亡記事を読む』 諸岡達一/新潮新書/714円/★★☆☆☆ |
| 新聞の片隅に載せられる死亡記事。名前の右に傍線、死亡日・時間、死亡原因、生前の仕事や成果、告別式等の情報が盛り込まれる数行の中のドラマ。なぜ芸能人の死亡記事の扱いは大きいのか、経済人や野球関係者の記事は小さいのか。見出しのつけかたなど思わぬ切り口が面白い。 |