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【ら】

『夜明けのヴァンパイア』   アン・ライス/早川文庫/720円/★★★☆☆
吸血鬼が出てくる映画が好きで、映画化された「インタビュー ウィズ ヴァンパイア」を見に行き、映画にはまった私はもちろん原作であるこの本も読んだ。そしてアン・ライスが書き出す「人間の心」を持ち悩むヴァンパイアたちに魅了されてしまった。
傷つきやすい心を持ったルイの告白を一人の若者が聞き取るという形で進められる物語は、ジットリするような暗さが感じられる。まるで救いようのない底なし沼にはまったようだ。
永遠に生きるということ、人の命を奪うことで生きながらえるということ、人間の命を奪うことに罪悪を持ちながらも、魂の火が消えかかるまで彼らから血を吸いだすことでエクスタシーを得られることに魅了されている。そこには怪物としての吸血鬼ではなくて、同じ人間としての彼らが浮き彫りになっている。
『ヴァンパイア・レスタト(上)(下)』   アン・ライス/扶桑社ミステリー/各680円/★★★☆☆
『夜明けのヴァンパイア』の続編。
ルイをヴァンパイアに変えた金髪の美青年レスタト。子供たちの裏切りのため、地中深くで回復を待っていた彼は20世紀のロックに見せられてまた帰ってきた!

ヴァンパイアとロック?不思議な組み合わせだが、何十年も眠りについていたものを目覚めさせる力があるようだ。
前作のルイの告白に対抗する(?)ように、今作はヴァンパイアレスタトがいかにして出来上がったか、レスタトによる自伝として書かれている。破天荒で、狂人的な彼がどうしてできたのかがわかって、ファンとしてはうれしい作品だ。
レスタト自身はアウトローで何者にもとらわれないが、吸血鬼とはどうやら人間よりもずっと保守的で頭の固い生き物のようだ。
今回の見せ場は血と血の交換シーンではないだろうか。ヴァンパイアが食料として人間から血をいただくとき、また古く力を持った仲間の血をもらうとき、愛し、エクスタシーを感じるらしい。その場面は非常に官能的だ。ヴァンパイアの母であるアカシャとの血と血の交換シーンは美しく恐ろしい。
「クィーン オブ ヴァンパイア」として映画化されたが、非常に端折っていて物足りなかった。この作品と次の「呪われし者の女王」を読んで不満はぜひ解消してもらいたい。
『呪われし者の女王(上)(下)』   アン・ライス/扶桑社ミステリー/640円・650円/★★★☆☆
『ヴァンパイア・レスタト』その後を書いたヴァンパイア・クロニクルズシリーズ第3弾。
読んだ読んだと思っていたが、前回はどうやら途中でタイヤしていたみたい。ひとつも覚えているシーンがなかった!
前回ロックコンサート後、<母>アカシャに連れ去られたレスタト。そして、次々に破壊されるカヴンと不死の者たち。女王アカシャに対抗するために集まった、マリウス、マハレ、ケイマン、ルイ、ガブリエル、アルマンたち。人里はなれた山奥で双子の悲劇についての謎を知る。

レスタトとアカシャの艶かシーンは前作以上(笑)
年上の彼女に調教してもらっている年下の男の子となっているレスタトが、いつもの傲慢で高慢な彼らしくなくてかわいい♪
そして、どんなに愛するものに対しても自分の信じる物を曲げない強情さと勇気に拍手。絶対だめなことを絶対だめって言うのはものすごい力が必要だから。
ヴァンパイアが生まれた本当の歴史と、不死よりも生きていることが何倍もいいということ、しかし生きていることに大層な意味も理由もないってことが永遠と語られて、結構疲れた。ヴァンパイアたちの討論会&告白会ってのもねぇ。でも今作の一番の魅力は今まで出てきたキャラが一同に会したということだから、一癖も二癖もある連中がいつまでもしゃべってしまうのは仕方がないことなのか。

アカシャが「お前も私の味方ではないのですね」っていうセリフが孤独の中で悲鳴をあげているようでつらかった。
しかし、打ちひしがれて引きこもりに成っているヴァンパイア・レスタトよりもむちゃくちゃをやっている彼の方が何倍も魅力的!
やはり映画の方ではメインの双子の魔女の話を削ってるので膨らみがなかったんだなと納得した。

『恋文』   連城三紀彦/新潮文庫/420円/★★★☆☆
大切な人を大切にすることは時に自分自身を深く傷つける。年下の夫が置手紙とともに家出した。しっかりものの妻のとまどい。初めてできた女友達は夫の走った女だった。表題の「恋文」他4編収録。

でてくる男性が弱くすぐ泣いてしまいそうなイメージをまずもった。そして、強い女性。でも、けっして折れてしまわない柔軟性もある。てこでも動かない強情さもあったり。女性はしっかりしてて、でも包み込むような母のような包容力がある。逆転した性の表現ながら、現代に通じる部分が多い。こんな理想的な男女はあまりいないけれど。そして、こんな切ない恋愛も実際ないでしょうね。泣きました。
どれも男女の機微、あからさまには見えないけれど二人の切れない糸が見えるようでドキドキ。推理小説?恋愛小説?とどちらにもとれるミステリアスさがいい。
直木賞受賞作。


【ろ】

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』   J.K.ローリング/青山社/3990円/★★★☆☆
シリーズ第4巻。
復活したヴォルデモード。これからどうなっていくの?
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』   J.K.ローリング/青山社/4200円/★★★★☆
シリーズ第5巻。
ハリーもとうとう5年生で15歳。すっかりおっきくなっちゃて・・・とおばさん的発言をしたくなるように成長してます。もちろん、ロンやハーマイオニーも。一番おっきくなったと思ったのはネビルかな♪
彼らの成長に従って、ぶつからなければならない壁が高く厚くなってます。有名人であるが故の悩み、注目と批判。その上に命の危険まで。でも、絶対屈さないハリーはえらい。思春期真っ只中のハリーの反抗ぶりが昔の自分を思い出してほほえましくなりました。
とうとう、ハリーに隠されていた秘密が明らかになり、深刻になるストーリー、手に汗握る冒険。そして、人のことを思いやれる心、恋する心をちらりと見せている。彼らはどんな大人になるんでしょうね。これからが楽しみです。
もちろん、スネイプ先生にも注目(笑)
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』   J.K.ローリング/青山社/3990円/★★★★☆
シリーズ第6巻。
暗い。暗いです。ヴォルデモートの過去を探りつつ彼を打ち負かすために動き出したハリーとダンブルドアに悲劇が訪れます。ラストは即最終巻が読みたくなるような展開。思いもよらなかったというか、思ったとおりというか。とにかく涙があふれてきました。
それでも楽しい事もあるのです。ロンとハーマーオニーの関係、ハリーの新しい恋人♪若いっていいなぁなのです。辛い展開のなかにも笑いがあって、愛があって、ハリーも大人になってきて。強くなっているのです。自分の運命に立ち向かう力と仲間との結束を身につけたかれらの今後が楽しみです。
『ハリーポッターと死の秘宝』   J.K.ローリング/青山社/3990円/★★★★★
シリーズ第7巻。最終章。
引き続き暗いです。でも、ハリポタのスタートはこの暗さがなくては。大人の階段は狭いし暗いしきつい。まずは、ハリーとロンとのいざこざがあって、でも、結局はわかりあえて結びつきが強くなる。いいじゃないか青春。
とはいえ、前巻から引き続き、とても重要な局面を迎えるハリーと魔法界の人たち。そう、とうとうヴォルデモードとの最終対決です。詳しいことは読んでください。とにかく読め!(笑)
長丁場ながら、最後まで読み続けてよかったという気持ちでいっぱいです。素敵な作品をありがとう。胸が熱くなって号泣しました。みんな泣いちゃってください。

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