【司馬遼太郎】
| 『竜馬がゆく(一〜八)』 |
| →こちら |
| 『最後の将軍』 |
| →こちら |
| 『項羽と劉邦 上・中・下』 司馬遼太郎/文春文庫/400円/★★★☆☆ |
| 楚の将軍項羽と町のならず者だった劉邦が秦を破る。相対する二人、どちらが天下を制するのか。 中国の漢ができるまでの壮大な歴史ドラマ。実は読中しばらくは三国志と勘違いしてました。バカだな〜。 高校時代は世界史を履修していましたが、中国の歴史はとにかく苦手。殷、周、秦、漢・・・と時代は覚えていても、国を興した人物や流れはすっからかんでした。 しかし、面白いですね。この2人の男たちは。 神がかり的な魅力、戦闘能力と軍隊をもつ項羽とその徳だけでのし上げられたならずものの劉邦。彼らの拮抗する様子はハラハラさせられます。でも民たちが欲するのは優秀な王ではない。時と運とが劉邦に味方するのを見たとき、神がいるんだなって思いました。 |
| 『坂の上の雲(一)』 司馬遼太郎/文春文庫/552円/★★★☆☆ |
| 私の周りにとてもこの本が好きな方がいる。司馬さんの本で一番すばらしい!とおっしゃっていますが、私は「竜馬がゆく」が一番だと思っています。好き好きですよね。 ところで、松山に住んでいながらこの本を読むまで、秋山兄弟について全然知りませんでした。正岡子規や、虚子はもちろん知ってましたけど。地元に有名人?というか偉人がいたというのはちょっと嬉しいことかも。 松山出身の秋山好古、真之、正岡子規や高浜虚子。彼らの少年時代が描かれている。維新があって10年〜20年ごろで何とか西欧列強に追いつこうとする、日本人が猿真似ながら希望に満ちて未来を築こうとしている姿は気持ちがいい。こんな時代に生きてみたいと憧れもします。 一巻では、好古や真之がともに、陸軍、海軍の学校に入り、卒業したあたり。子規は病気が発病するあたりです。特に興味を引かれるのは彼らが、その道の一番になってやろうと思うところ。この時代、一番初めに日本に持ち込んだだけでその道の第一人者となる時代だからこそかもしれません。しかし、やってやるぞ!という気概は今の日本人すっかり忘れちゃってますよね。 |
| 『坂の上の雲(二)』 司馬遼太郎/文春文庫/552円/★★★☆☆ |
| 日清戦争の頃。秋山兄弟がようやく活動を始める。兄の好古は騎兵隊少佐として清国へ、弟真之は巡洋艦にのって戦地へ赴く。その頃正岡子規は病状がうんと進み大喀血をする。今にも死にそうになるが、何とか持ちこたえる。 日本は日清戦争の後、日露戦争への道へとじわじわ進んでいく。 この中で一番気がかりだったのは子規の病状だ。身体が強くないのに、戦地への取材を希望し、そのため身体を壊し大喀血を引き起こす。しかし、彼はその生涯の仕事となった近代俳句、短歌の仕事により執念を燃やす。そして、病床においても友人たちと交流することを忘れない。人に対する愛着とさびしがり屋の性格は彼の徳であろう。 また、真之がアメリカで西米戦争を視察し、艦に打ち込まれた砲弾の数まで数えて分析する姿はすごい。 夢に向かって進む男たちの姿がまぶしく感じられた。 |
| 『吉田松陰を語る』 |
| →こちら |
| 『人斬り以蔵』 |
| →こちら |
| 『翔ぶが如く(一)』 司馬遼太郎/文春文庫/440円/★★☆☆☆ |
| 明治維新後発足した明治政府。内外に問題をはらみながら新しい政府は出発していた。 全10巻ということで読みきれてからとなるといつのことかわからない。今回は1巻づつのレビューを書くことにした。 維新を先導していた男西郷隆盛の切なさと目標達成のための残りの人生のむなしさが伝わる。正直、彼がそういう気持ちを持っていたとは考えたことがなかった。倒幕が成功し、その先には明るい未来、平穏で贅沢な生活を求め得ることは難しくなかったはずだ。しかし、幕末期の変幻自在だった政策方針を一切捨て、新政府の長たちに「お前それはおかしくないか」という如く、清廉潔白に過ごしていたとは・・・。そして、西郷が死よりも選んだのは征韓論。革命後、戦後ともに混乱と不幸はつきまとう。 新しい時代に苦悩するのは西郷だけでない。大久保利通も木戸孝允もそうである。 薩摩人で警察の長である川路がその妻沢子に西郷の印象を問うシーンがある。沢子の指し示した「悲」と言う感じが印象的だ。 木戸孝允たちが外遊中プロシアを訪ねる場面がある。龍馬が日本を守るのは国際公法だといっていたことを思い出し、ビスマルクに質問した。しかし、彼は「大国はつねに武力解決しようとする。小国はあわれなものだ。国際公法は小国を守ってくれない」と答えている。 実際外国の地を踏み彼らのしていることを知れば龍馬がその事実に気がつかなかったはずはないだろうが、時の流れというのを感じて少し悲しい。 |
| 『翔ぶが如く(二)』 司馬遼太郎/文春文庫/400円/★★☆☆☆ |
| 西郷が言い出した遣韓大使の一件は明治政府を混乱に導く。 大久保や木戸は参議としてたつことをこばみ、三条は西郷からの突き上げをおそれ、伊藤と大隈は征韓論つぶしのため奔走する。ついに10月14日廟議は開かれることになる。 まず、伊藤と大隈の水面下工作に驚かされる。若者の力が台頭し、明治維新を支えた大久保や木戸等はもう時代遅れになりつつあること、そして西郷の清く正しく誠を通せば・・・がほとんど熱に浮かされてるのではないかと思わせられること。時代を動かせために必要なものは何かを一番しっている男がこうも変節してしまうとは時代が変わるということは恐ろしいことかもしれない。 |
| 『十一番目の志士(上下)』 司馬遼太郎/文春文庫/514円/★★★★☆ |
| 時代は幕末長州。騎兵隊をつくった高杉晋作にその才能を見出され、刺客へと仕立て上げられた天堂晋助。京、大阪、江戸と彼の進む先には血の雨が降る。 暴力で人を黙らせたり、体制を変えようとするのは無意味でばかげたことだと思う。だが、晋助の魅力はどうだ。まず、剣の腕。下級武士の出身ながら宮本武蔵の養子伊織からの直伝といわれる二天一流という剣法を身につけ、影のように現れ、声も出させぬうちに切り倒す。そして、相手を蛇ににらまれた蛙のようにしてしまう眼力。どんな困難でも切り抜けてしまう運。新撰組の近藤や土方に一目置かれるほどのその腕と運は見ているこちらを興奮させる。 高杉晋作に人斬りとしてのみ用いられながらも冷静に周りを見ている彼は駒でありながら非凡であると思う。途中、桂小五郎、坂本竜馬、西郷隆盛、勝海舟と幕末有名人が総出演なのも見逃せない。 後はネタばれになるので反転してどうぞ。 しかしながら、天堂晋助は司馬さんが創作した架空の人物。読む前に姉から聞かされていたのだが、ところどころにあたかも実在の人物のように、史料をひも解いて書いたかのように、「文久三年六月、桂小五郎の育みという名目で武士になる」とか出てきてすっかりだまされてしまう。だが、奈良本辰也氏の解説でやっぱり実在しないと知りがっかり。どうやら司馬遼太郎のこの手に引っかかる人はたくさんいるよう。やられましたよ〜。 ただ、フィクションといいつつも、幕末の長州の息遣いが聞こえてきそうなこの小説は幕末ファンはぜひ読むべきた。 |
| 『燃えよ剣』 |
| →こちら |
| 『侍はこわい』 司馬遼太郎/光文社文庫/560円/★★★★☆ |
| 人の一生を例えるなら太く短くまたは反対に細く長く。「権平五千石」は武功をおさめつつも褒美をもらえなかった男の話。しかし才走りはしこく生きることがベストでないと知らされる。大きくとりたてられずとも、秀吉の時代から明治まで連綿と家をつなぐことができたのは彼の一族だけなのだから。他7編収録。 どれも本になるのははじめての短編たち。司馬作品の粋を存分に楽しめる。長くなるとどうしても読みづらくなる方にオススメ。 |
| 『世に棲む日日(一)』 司馬遼太郎/文春文庫/480円/★★★★☆ |
| 幕末の騒乱がはじまる少し前。維新の立役者長州藩の志士を育てた吉田松陰がいた。彼の無邪気な挫折のなさに行動、なんだかほほえましい。日本を外国から守るために自分ができること、自分がすべきことを必死に探り出そうとする若者の姿、青春!を感じます。 |
| 『世に棲む日日(二)』 司馬遼太郎/文春文庫/480円/★★★☆☆ |
| 戦うにはまず敵を知るべし。吉田松陰は米艦へ乗り込み、世界をこの目で見ようと決心する。しかし、海外渡航の計画はことごとく失敗。萩にて蟄居を命じられ、松下村塾にて数々の志士予備軍がを育てていく。 久坂玄瑞、高杉晋作と長州藩の攘夷活動をひっぱっていった人物が登場です。なによりも、なによりも!!晋作さんがええ男ですなぁ♪過激攘夷者として名をはせた彼の心情と行動はよどむところがなくて気持ちいい。神は必要な時、必要なところに人材を配置するといいますが、高杉晋作の登場もそれその一つなんですね。 |
| 『世に棲む日日(三)』 司馬遼太郎/文春文庫/480円/★★★☆☆ |
| 火がついたように、藩全体が狂となる長州藩。尊皇攘夷を推し進める彼らはついに薩摩と会津の計略にはまり京を追われる。下関海峡で外国船へ戦闘を仕掛けたりと滅亡のがけっぷちへと走り続ける大衆のなかで、晋作は捕らえられ、また、裏切り者とみられながらも次への動きを起こすため潜伏を続ける。 幕末の動乱の動きの中で、狂乱状態にあった長州の動きにはこういう理由があった!というのを恥ずかしながらようやく納得できました。歴史の大きなうねりの中で、用意された道筋を狂ったように走り、爆発するような動きをみせる大衆という集団の怖さを感じます。日本人の犯す、歴史的な大失態の中に首謀者はいないというのはよくわかる。雰囲気というか、”時流”というあやふやで不確かな存在が一番私達を動かす正体なんですね。 |
| 『世に棲む日日(四)』 司馬遼太郎/文春文庫/580円/★★★☆☆ |
| わずかな兵をつのり晋作らはクーデターを開始。作戦通り、藩内を掌握していきついに成功する。しかし、藩の重役につくことを望まない彼は逐電。大阪、金毘羅と放浪するうちに幕府の役人に捕らえられそうになる。馬関に舞い戻った晋作は幕府軍と熾烈な戦いをくり広げついに維新への光をみいだす。けれども、晋作の寿命の火は消えかかっていた。 動けば雷電の如く、発すれば風雨の如しという高杉晋作の活動も終盤、激し行動する人生を選んだ英雄にもついに終焉の足音が聞こえてきます。人生を成すことに重きを置き、決して平穏さを自らに許さなかった男の悲しさに打たれます。彼の激しすぎる日々を支えたのはおうのですが、愛人と一緒のところへ本妻のお雅、また母親が乗り込んでこられ、晋作が弱りきるところは笑っちゃいました。いつの時代も女性問題をうまく処理しきれないのは男性の性でしょうか(笑) |
| 『功名が辻(全四巻)』 司馬遼太郎/文春文庫/各570円/★★★★☆ |
| 土佐二十四万石の大名山内一豊。妻の千代と共に戦国の世をぬって立身出世する物語。 千代の持参金黄金10枚で名馬を買ったという逸話は有名だが、それだけでは本当に内助の功なのか?と思うほど読むまで、千代について、また、山内一豊について詳しく知らなかった。 織田信長の家中としてはじまった一豊は、千代という妻を得てから出世の道を歩む。もちろん、ゆっくりゆっくりだけれど。千代の、一豊をまるで子供を育てるように、宥め励ましながら男のやる気を引き出すようすは見習うところがあるなぁと食い入るようでした。一豊自身も、自分が凡人であり、妻が賢いということをうすうす知っているけれど、だからこそ人の意見を聞く素直さがあって、二人の力で地位を勝ち取れたというのが納得できます。夫婦が同じ夢を追いかけるというのは気持ちいい。二人の他愛のない会話、司馬さんの時代をするどく洞察した文章の面白さに一気読みです。 ただ、最後の最後、土佐に入国してからの部分が思わぬ暗さをはらんでいて、読了後すごく寂しい気分になりました。 |
| 『夏草の賦(上下)』 司馬遼太郎/文春文庫/各570円/★★★★★ |
| 戦国時代、土佐の地から四国を統一した長曽我部元親の野望と衰退の一代記。私も名前は知ってますが、どういう生涯を送ったかは知らない。高知出身のダンナはそれに驚きまし。高知県では学校でちゃんと習うそうです。 さて、才が長けて、野望も持つ元親。大胆なのにナイーブ。策を施しすぎてくどい。でも、飽きっぽい。なんか、高知県人の気質そのままなんですけど。武力で統一していく豪胆さにぞくぞくさせられたかと思うと、なんてぐちぐちした人間かとあきれさせられる不思議な人です。彼の生き様を見てると人の世のむなしさをおぼえます。華やかな前半とは打って変わる最期は悲しすぎました。 戦国の世は信長やら秀吉やら家康やら題材には事欠かないんですが、メジャーな人じゃなくても人物がいたというのを知ってほしいですね。 |