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廊下を教室に向かって歩きながら、ふと私は我に返って愕然とした。
何「はい」、とか答えているんだ私は?あれじゃあまるきり、まんまと彼のペースに乗せられているんじゃあないか。元々雰囲気に流されやすい(特に校舎裏とか、夕暮れとかいうシチュエーションは最悪だ。理性より先に気分が反応する)性格だ、と自分でも辟易していたが、それにしてもあの沖という奴には人を煙に巻くというか、自分のペースに人を引っ張り込む才能があるらしい。
―あの野郎ぉ!
というか、何やってるんだ私!
あれであいつがすっかりその気になって、早速今日からでも彼氏面して私の回りをうろつく、なんてことになったら面倒だ。ただでさえ友哉といまいちうまく話せてなくてやばいのに、これで沖と私が付き合ってる、なんて噂が立ったらどうする?
悶々としながら廊下を歩いているうちに、私は教室を通り越して購買の前まで行ってしまった。おっ、私の好きな林檎紅茶がまだ売り切れてないぞ。これは買っておかねば。
「おばちゃん、これください!」
「あらはるかちゃん、猫なで声だしたってまけないわよ。はい百円!」
購買のおばちゃんは相変わらず手ごわい。私はしぶしぶポケットからお金を出し、おばちゃんに渡した。財布を持ち歩くのは私の主義ではないのだ。
そうだ、これにチョークの粉でも入れてあいつに飲ませれば、何日かは静かになるかも。その間に友哉にアタック(死語)して…。よし!
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