―やだ…あたしったら何を考えてるんだろう…チョークだなんて…、友哉くんに告るなんて出来るはずないじゃない!!なんか、気が重いな…今日は友哉くんとあんまり会えないし、沖…いや…慶介くんとは同じ競技だし…

 あたしは教室に戻ると、静かに席についた。
なんか視線が痛い…。ゆかりんと慶介くんがこちらに視線を
送っているのが見なくてもわかった。
やっぱりちゃんと断るべきだった。
何を迷うことがあったんだろう…雰囲気に流されやすい性格とはいえ
友哉くんのこと好きな気持ちは絶対だったはずなのに。
胸に去来するさまざまな気持ちに、頭が混乱しそうだった。
 ふと、もう一つ視線を感じて振り向くとそこに友哉くんの姿があった。

―そういえば昨日いろいろ気にしててくれたっけ…―

 相談なんて出来るわけない…気持ちはとっても嬉しかったけど、
告白された事、友哉くんにはなんだか知られたくなかった。
なにより、好きなことがバレるかもしれないし、
あたしの気持ちがグラグラしてることも知られたくなかった。
友哉くんが好きなことをゆかりんに話せないうちは、
たぶん気持ちは伝えられない。
ずっと友哉くんのことが好きだったとゆかりんに話したら
優しい彼女のことだからなんて言うかはなんとなくわかる。
いえない辛さと、言いたい辛さ…それにまだ注がれている視線が、
あたしには痛かった……。

 

 気が付くと俺は彼女を見ていた…。
 昨日から何か悩んでる様子なのはわかってた。
だから「気軽にメールでもしてよ!」って言った。

―やっぱ俺じゃ相談乗れないのかな…―
 
はるかが悩んでる様子なのは一向に変わってない。
メールも来なかった。ということは俺じゃ頼りにならないのかな。
と思ってしまった。前から悩みを人に相談しない子だとは聞いていた。
紫と付き合っていたときに、紫に相談されたことがあったからだ。

   「ねえ友哉…はるちゃん…何かずっと悩んでるみたい
    なんだけど、何も話してくれないんだよね。どうしたら
    いいと思う?聞いても悩んでないって言うし…」

 まさに今そのとおりのような気がした。
その時は、「無理に聞かないでいいんじゃない?はるかが話すまで
待ってあげれば?」といった。我ながら無責任なことを言ったと思う。
今、俺には待つなんてきっと出来ない。
話してくれないことにさえもやもやしてる。
何でもひとりで溜め込んで解決できずに沈んでる彼女を見るのは辛かった。さらに今日はスポーツ大会で、競技は違うし、はるかの顔を見る時間が少ない。
なんでこんなにもやもやするのか…、自分ではわからなかった。

 

 HRが終わってあたしは同じ競技の子達と一緒に、体育館へ行った。
出番まで壁によっかかってぼーっと試合をみていた。
沈んだ気持ちはどうにもならない。思わずため息が出る。
「どうした?ため息の分だけ幸せが逃げてくって言うだろ?」
 気が付いたら慶介くんが隣にいた。
彼も同じバスケだからいても不思議ではないのだけど。
笑顔で言った彼に何て言っていいか判らずあたしは曖昧に返事した。
好意を寄せてくれる人にむやみやたらに冷たく出来ない……
そういう性分だと、改めて気づいた。
だからあんな返事をしてしまったのかもしれない。
「……榎本のこと考えてる…?」
 ふいにかけられた言葉にドキッとした。
―この人は全く何を考えているんだろう…―
やっぱり慶介くんの思考は全然読めない。
「そんな顔すんなよ。別に詮索しようとか思ってる訳じゃないからさ。」
 慶介くんが笑ってそう言った。
見透かされてるのかと思ってドキッとした。
「はるかの気持ちをこっちに向けたいとは思ってるけど。」
 軽く笑って慶介くんが言った。
これにも何て答えていいのかわからない。
あたしの気持ちは友哉くんにしか向いてなくて。
今あるのは、慶介くんに対する罪悪感。彼は笑って言ったものの、
その意志の強さが言葉の中に見え隠れして、
あたしはだんだん申し訳ない気持ちになった。
「ごめん……その……やっぱり前向きに考えられない……」
 慶介くんの気持ちが真剣すぎて、やっぱりちゃんと断ろうと思った。
中途半端な気持ちではいけないと思った。自分で思っていたよりも、
想われてることに今、気づいた。
「友達でいいんだ…これで終わるのは耐えられない……」
 また思ってもみないことを言われてあたしは困った。
―ずるいよ…そんなこと言われたら断れない…―
「いきなりだったと思うけど、こういう風にしか言えないんだ…」
 困った表情をして彼がそう言った。いつも無表情であまり感情を
見せない彼の本心に触れたような気がしていた。

 

 

はじめてのあとがきです(爆)
とりあえず無理やり(爆)はるかの性格を
戻してみました。いったいこれから
どうなるのやら…(笑)まだ登場してない、
浩嗣も気になるところです(笑)
ていうかスポーツ大会が全然進まん!(泣)
ということで第5話お届けしました。
(by,いずみ)

 

ホームへ           第4話へ戻る           第6話へ