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午前10時に現地集合だった。
家にいても落ち着かない紫は、少し早めに家を出た。
家にると悪い方にばかり考えてしまって、
外に出れば少しは気持ちが晴れるかなって思ったから。
玄関を出ると、外は真っ青な空が広がる快晴で、
上を見上げると太陽の光が少し眩しかった。 「せっかくのタダ券なんだし今日は楽しまないと。」 そう、自分に言い聞かせて少し早めの集合場所に向かった。 集合場所に着くと、案の定まだ誰の姿も見えなくて、 紫は遊園地の前にあるちょっとした広場のベンチに座った。 土曜日ってこともあって、まだ開園前だっていうのに、 楽しそうな家族連れやカップルであふれている。 紫は少し不安な気持ちになって遊園地の入り口から目をそらした。 ふと、駅の方に目を向けると友哉の姿が目に入った。 時計を見て確認しても、まだ約束の30分前。 「よっ。今日、紫もはるかに誘われたんだ?」 「当たり前じゃ〜ん。ってことは、今日は4人なのかなぁ。なんか変なメンバーだよね。」 紫は久しぶりに見る友哉の私服姿に少し懐かしささえ感じた。 でも、どことなく自分と同じような雰囲気を感じるのは気のせい? いつもの友哉スマイルだけど、 でも、時々笑顔が曇って見える気がする。 「紫さ、遊園地とか来て彼氏は大丈夫なの?」 「あー、行くこと言ったら機嫌悪くなってたみたいだけど、別に大丈夫じゃな〜い?」 「いいのか?てゆーか、行くこと言わなきゃいいのに。」 少しの間、二人の間に沈黙が流れた。 ――進歩してないな・・・―― 二人は同じ事を考えていたけど、あえて二人とも口には出さなかった。 「浩嗣には隠し事とかしたくないし。 私は友哉みたいに一人で全部背負うこととかしないから。」 言葉を吐き出してから”しまった”って思ったけど、気づいた時には遅くて。 紫は恐る恐る友哉の顔を見た。 でも、全然怒ってる様子もなくて、逆に笑っていた。 「あはは。紫らしいや。」 紫は友哉のこういうところが好きだった。 もちろんそれは今も変わってないし、 こうやって普通に話せるのも友哉の人柄だからなのかもしれない。 友哉は顔ではいつも笑っているんだ・・・ 「まぁ、いいけどね。なーんか、友哉とはるかって似てるよね。」 「えっ!?」 友哉の驚いた顔の後ろに見えたのは・・・ 「あっ、はるか!」 目に入ったのは、はるかと・・・慶介だった。 はるかは友哉と紫の楽しそうな姿を見て、声をかけらないでいた。 どこか自分が入っていける隙間のないような・・・ そんな雰囲気を感じていたから。 そして、昨日の友哉との会話を思い出していた。 「はるか、おはよう。二人がうらやましい?」 振り返ると慶介が立っていた。 「あ、慶介くんおはよ・・・」 なんとなく目を合わせられなくて視線を下に向けてしまった。 「あの二人って前に付き合ってたんだろ?今も仲がいいんだな。」 「今も仲がいいっていいことだと思うよ?」 はるかは慶介が言いたいことがよく分からなかった。 紫と友哉を誘ったのは、自分が一緒にいて楽しいと思うから。 「今日さ・・・自分で誘っておいてなんだけど、 本当は来てくれるか心配だったんだ。来てくれて嬉しいよ。本当に。」 慶介くんはなんでこんなに素直に自分の気持ちを伝えられるんだろう。 はるかは、そう感じていた。 そして、気持ちを伝えられないでい自分に少し嫌悪感を抱いていた。 「本当は来てくれるだけでいいって思っていたけど・・・」 慶介は静かに言った。 「今日、あとで二人だけで回ろうな。」 そう言ってはるかにニッコリ笑った。 ふとベンチを見ると紫と目が合ってしまい、 なんとなく罪悪感を目をそらしてしまった。 慶介は二人の方に歩いていったけど、 はるかは動くことができなかった・・・ そして、問題は4人で遊園地に入ってからだった・・・ |