僕が父であるために  著者:松本康治



 
ゼミの先生推薦図書だったから、(しかも作者が研究室助手さんの知り合い)半分ギリで買ったけど、とてもよかった。あっという間に読み終わった。
 作者が、父親として、息子ができたことによって感じたこと、発見したこと、感動したことを素直にありのままに書いている。それがとても素朴に胸に響く。そこには、1人の男が父親になってゆく過程がそのまま焼き付けられているようだった。自分のポリシーの通りに、自分の人生だけを生きていればよかった(というと語弊があるかな)時と違う、責任感。それからおそらく今まで感じたことがない種類の愛情。それがどのように生まれてゆくかが記されているようだった。そこに介在する、小さなひと。丘ちゃんが一生懸命生きている姿が目に浮かんだ。働く両親。だからなんだ。そういうメッセージが伝わる。少し考え方が偏っているような気がしないでもないなーと思えるところも合ったけど、ある意味、そのくらいのポリシーとがんこさがあった方が、味のある父親なのかもしれないな。

 楽しくほほえましく読み進めていく一方で、だんだん子育て、というものに対しての不安が高まってきてしまったことも確かで。

 難しい世の中。子どもが「自由にのびのびと」育つには少し厳しすぎる都市生活。そこで、例えば私は自分以外の人間のためにどのくらい闘える強さを持てるのだろう。未熟な私を見て子どもはどんな風に育ってしまうんだろう。
なんてことを少し具体的に考えて頭を抱えてしまう時もありながら読んだ。もちろん完璧になってしまってから親になったんじゃ、逆に子どもがひねくれるかもしれないし、第一いつまでたっても子どもなんか産めないだろう。
だから子どもと一緒に成長して行くんだとは思うけど

 作者の姿は、私が理想とする「子どもと一緒に成長する親」の姿そのものといってもいいような姿だったので読んでいて、すごく嬉しかった。こういう人が本すぐに住んでいるっていうことが(灘区とか、岡本とか、六甲アイランド、とか言う地名がどんどん出てくる!)なんだかすごく素敵なことのように思えた。

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