CARAVAN

ネパールの部族の話。いつの時代かはわからない。

この部族は、キャラバンによって生計をたてている。遠くの町まで塩を売りに行き、食物などと交換して帰ってくるのだ。

10年もキャラバンに出ていなかったはずのティルイがカルマに負けまいと、老体の身でヤクを連れて出る。幼い孫のパサンと、修行僧の息子も一緒に。
とにかくすごくスケールの大きな話だった。

大陸の民、という気がした。めちゃめちゃ厳しい自然。それはもう、まじで「自然と共に生きる」なんて生易しいもんじゃなくって、人間が入ることすら既に間違っているような厳しさ。母なる自然の面影はない。父性だ。

その中で自分の勘と、神託とをうまく調和させ、ティルイは時間をよみ、天候を占う。それを澄んだ瞳で見つめるパサン。カルマは神託や伝統、しきたりに反発しつつも、それらを受け入れて長老になる。

本当に、老人は知恵者なのだろう。老賢者だ。長年の経験からヤクを操り天候を読み、道を見つけ出すのだから。

年を取るのが降りてゆくことではなく、昇りつめてゆくことにつながる時代だったのだ。死ぬ瞬間までティルイは山と供にいた。もうあと少しでふもとの村だとう時に、ティルイは力尽きる。「山がわしの場所だ」とティルイが静かに言い、「ここが彼の場所だ」と仲間の老人が叫ぶ。彼が目を閉じた時、パサンは、「おじいちゃんは天の国へ行ったんだ」と静かに言う。出発する時には何もわかっていなかったこんな小さな子どもにも、自然とうものは、人の命と自然のことを教えるのだ。

彼は未来の長老、という設定らしいが、きっといい長老になるだろう。時代の波が押し寄せすぎなければ、だけれども。

すごくいいものを見たと思った。

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