『確信犯』
今日は、亜弥ちゃんの部屋にお泊まり。
この前、亜弥ちゃんの誕生日に泊まりに来たから、そんなに日は経っていない。
いつものように、部屋でのんびり。
二人で仲良くTVを見てる。
「あ…」
さっきから頻繁に流れる亜弥ちゃんの新しいCM。
そう、あのピンクの浴衣を着て、汗を掻きながらジョッキでゴクゴク飲んでいるヤツだ。
美貴、アレ見ると、ちょっと…ね……。て言うか………。
その表情はヤバイでしょ。
「美貴タン、このCMどう? なかなか色っぽいでしょ?」
そう言って、チラっと美貴を見る亜弥ちゃん。
え? 美貴にわざわざ聞くの? 確信犯だよ亜弥ちゃん…。
だって…色っぽいっていうより絶対にエロっぽいもん。
そう思う美貴がおかしいのかな?
「あ、亜弥ちゃんも結構汗っかきだよね。美貴には負けるけどさ」
あははと笑って誤魔化す。
だって美貴のライブビデオ、もう最後はメイクどころか汗で眉毛まで…。
亜弥ちゃんも美貴のライブビデオ見てくれたんだけど
「なんだか、まろみたいだね」なんて言ってくれちゃって…。
まろってなんだよ、まろって! マロティ!? ハァ?
「綾小路美貴麻呂とかね…」
なんて自分で言っててバカみたいだよ美貴。
でも亜弥ちゃんも、ちゃんと返してくれるんだ。
「美貴麻呂さまぁ〜♪」
なんてね。美貴は亜弥ちゃんの事が大好きだよ。
って話がそれた。
気づけば、亜弥ちゃんが、じーっと美貴の事を見ている。
「なに? 美貴の顔になんかついてる?」
行ったそばから、美貴の額には、うっすらと汗が滲み始めてる。
「あの汗は本物じゃないじゃん。それに、美貴タンは知ってるよね?」
そう言って薄ら笑みを浮かべると亜弥ちゃんは美貴の肩にしなだれかかってきた。
「え?」
「美貴タンだけは知ってるもんね。私と……」
「……」
ヤダ、そんな目で見つめないでよ。美貴我慢してるのに…。
そして、またTVの映像は、亜弥ちゃんのCMが流れ始める。
って言うか、さっきから頻繁に流れすぎなんだけど。
目の前にいる亜弥ちゃんよりも、どうしてもあのCMの亜弥ちゃんに
目が行ってしまう。
そんな顔は、美貴だけの前でしてよ!
ちょっとCMにジェラシー。いや、かなりね! 実際!
そんな事を思っていたら、急に視界が遮られた。
くちびるに柔らかい感触。亜弥ちゃんの匂い。
「もぅ目の前に、本物がいるのに、どうしてCMばっかり見るの?」
「ぁ。いや。別に…」
焦る美貴に、亜弥ちゃんは躙り寄って、美貴の上に乗っかってきた。
ちょっと怒ってる?
「美貴タン…」
「ハイ…」
凄く近い至近距離で見つめられて、いつもの事だけど、焦点が合わないくらい
亜弥ちゃんの顔が近くて、美貴寄り目になりそう。
いつの間にか、亜弥ちゃんの腕が私の首に回っていた。
そして、また流れる亜弥ちゃんのCM。
あの歌が頭から離れないよ。
「ん…っ」
もう一回亜弥ちゃんにキスされて、美貴はやっと気づいた。
さっきから流れるCMが、実はビデオテープで繰り返し流れてたって事。
気づくの遅すぎって話もあるけど。
亜弥ちゃん…やっぱり確信犯ですか?
でも…美貴も亜弥ちゃんの事、大好きだから全然OK。
美貴からもキスで返してあげる。
あ、キスだけじゃ物足りなくなりそうだけど…。
「亜弥ちゃんってば!」
美貴は急にそう言うと、亜弥にキスの雨を降らせた。
〜〜おしまい〜〜