その2.”火噴いたら教えてあげる”
さかのぼる事かなり前(18才)
我が家にいつの頃からか古い50ccバイクがあった。
その名は”昌子のユーディーミニ”である(昌子とはそう森昌子のことである)
当時でもかなりの年代物で、(他の人が乗ってるのを見たことが無い程)
そのころ世間の流行では”タクト”が一番人気だった。
私も、足を揃えて優雅に乗るあのカッコイイ”タクト”が欲しかったものだ。
それに比べて”昌子のユーディーミニ”は旧式のまたがって乗るタイプで
配色も紺色と朱色、あまり美しいとはいえない。(はっきり言えばカッコ悪い)
そのころJR宇野線に乗って岡山まで通う為、
家から駅まで10kmの道のりを、そのバイクに乗るのが日課だった。
電車に乗ると、中学時代の同級生達とよく出会う。同窓会の様でとても楽しい。
帰り道が同じ方向だとバイク数台で一緒に帰っる。
一緒に帰るのはいいのだが、父から
「スピードだすな!30km以上出すな!」って言われていたので
皆について行くのは至難の業。(良い子だからスピード出さないのではない。)
その日も数人に出会い。「一緒に帰ろ〜!」ってことになった。
「ちぃーちゃん(管理人ハンドルネーム)いつも後ろだから、今日は先頭行って!」と言われた。
「な、なんとまずい!!」ちょっとまずい事になった。
何せ私のバイクはスピードが出ない。
いや、出ないと言うより正確には”出せないのである”
皆のバイクは最新式!50〜60kmは軽く出るであろう・・・
いつも皆と帰る時は最後尾からついて行き、小さくなってゆく友の背に心の中で「バイバーイ」
いつのまにか輪から抜けているのであった。
それなのに今日は先頭!それはちょっと・・・
「いいよ〜 後からついていくよ〜」と頑張ってみた。
「大丈夫!ゆっくりでいいから!どうぞ!どうぞ!」
皆にそう言われ「まっいいか!」言われるままに先頭を切った。
しかし、いつものようには行かない。今日は父の言い付けを破り
ユーディーミニにひとふん張りしてもらうとしよう。
「ウ〜〜ン!バリバリバリバリ〜〜」けたたましい爆音、空中分解しそうだ。
それでもまだ頑張った。
爆音の中、後ろから祐ちゃんの呼ぶ声が・・・
「なに〜?」
「ちぃーちゃん!すっごい煙〜!」
「え〜!そんなに凄い?」
「うん すっご〜い!」
「じゃあ変って 祐ちゃん前行って!」
「大丈夫!大丈夫!ちぃーちゃん前行って!
火〜噴いたら教えてあげる〜〜・・・(笑顔)」
火!火〜噴いたらだなんて・・・あんまりだ・・・(涙)
な、なんともまあ凄い友である。
皆さん分相応にあまり無理はしない様に!