僕には夢も将来の希望も何も無い。14歳の今までなるようになったし、これからもそうだろう。だから、なんかの事故やなんかで死んでしまっても別にかまわないと思ってた。

――てなことを作文に書いたら、案の定「まじめにやれ」と先生に怒られた。

―西暦2015年―
使徒、襲来

水没した都市群。まるでダムの底に沈んだ町のようだ。その、昔都市だったものの上を、巨大な生き物のようなものが進んでいく。全長は40メートル前後、おそらく世界中のあらゆる動物図鑑を探そうとも、こんなものは載っていないだろう。

「正体不明の物体、海面に姿を現しました!」

その正体不明の物体からそう遠くはない所に、この報告はもたらされた。
巨大な兵将図を前に、戦艦の艦橋のまわりを壁で囲ったと言うイメージがぴったりのその場所、ネルフ本部第一発令所は、緊張感にあふれていた。無理もない、彼らはこれが初陣なのだ、長い長い、人類のすべてを賭けた戦いの…。

「15年ぶり、だな。」

「ああ…。間違いない、使徒だ。」

発令所の最上階、上級士官であっても許可なく立ち入ることを許されないその場所で、2人の男が兵将図をじっと見つめていた。大多数のスタッフとは異なり、余裕を持った、言い方をかえればすべてを見越した態度で。だが、それこそ当然だった。特務機関ネルフのアタマ、碇ゲンドウ司令官と、その碇司令の右腕とも言うべき冬月コウゾウ副司令官なのだから。

「来たるべき時がついに来たのだ。人類にとって避けることの出来ない試練の時が。」

『緊急警報、緊急警報―――本日12時30分、東海地方を中心とした関東地方全域に、特別非常事態宣言が発令されました。住民の皆様は速やかに指定のシェルターへ避難して下さい。繰り返します―――』
「ちぇっ…。」

人のいなくなったモノレール駅の構内に、1人の少年がいた。どこかに電話をかけようとしたらしいが、電話線を止められたらしく不通、文字通りどうすることも出来ない。

それにしても少年の容姿は特徴的だ。色の薄い肌は、文字通りの白。髪は日本人ばなれしたプラチナグレー。しかし、最も見る人の印象に残るのは、その瞳だった。青やグレー、グリーンならヨーロッパ系の血が入っていればあり得る。しかし、少年の場合は赤。薄い茶色ではなく、ワインレッドとかシャインレッドなどといわれる色なのだ。

「電話もだめか…。モノレールも止まったし、こんなところでどうしろって言うんだよ…」

少年はその特徴的な外見とは異なり、冴えない印象があった。容姿が普通なら、どこにでもいるごく普通の中学生といったところだろう。実際、プライベートだと言うのに制服を、それもきっちりシャツをズボンに入れて着ているところからも見て取れる(それでもかなり似合っているが)。基本的に自分のやることなすこと全般に、いまいち自信が持てないのだ。

「まいったな、よりによってこんなときに待ち合わせなんて…。」

電話もモノレールもあきらめたのか、少年は駅から出ると石段に腰を下ろした。

「シェルターねぇ、今さら戦争なんてないよな…。」

他にやることもないので、少年はポケットから封筒を取り出した。中身はどこかの研究所か何かで使われるような変な書類。なぜか少年の顔写真まで張ってある。その横には意味不明の0と1を組み合わせた記号、そして『来い』とマジックで大書きされているだけだった。そしてもう一つ、若い変な女の写真が、どういうわけか入っていた。まわりには能天気な落書き。

「ヘンな女……。こいつ親父の何?」

何度みてもヘンな女以上の感想が出てこない。しかし、少年は今から人に会わなければならなかった。この写真のヘンな女に…。

「しょーがないや、あと2駅歩こう。」

観念して少年は歩き始めた。どのみち待ち合わせに遅れるわけにはいかない。

(ゴゴゴゴゴゴ………)

「ん?」

爆音があまりにうるさかったので、少年は顔を上げた。と、そのとき…。

「何だ?あれ。」

正体不明の物体。ネルフ第一発令所でそう呼ばれたものが、少年の目の前に現れた。もちろん、少年にはその正体が分かるはずもないが。

「わっわっわっわっわ!!」

1機の重戦闘機が、不用意に近づきすぎたために正体不明の物体に撃墜される。科学の法則を無視するような、伸縮自在の光るやり(神の槍、とでも名付けよう)によって。

まぁ、それ自体は重戦闘機のパイロットが間抜けなだけですむ。しかし落下地点が多少悪すぎた。少年の頭上に落下しようとしていたのだ。

もう一つの、世界

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