エヴァと使徒、二対の巨人が、対峙している。どちらも動こうとしない。お互いの出方をうかがっているのだ。
『カヲル君!?とりあえず、歩いて!』
「あっ、歩くったって、どうすれば…。」
パニックでカヲルの思考は低下している。戦闘においては非常に危険な状態だ。
『意識を集中して、頭で考えるだけでいいのよ。』
リツコが答える。少し苛立ち気味だ。レクチュアしたはずなのに……。
(歩く、歩く、歩く――)
グググッと初号機の足が動き始める。しかし動きはぎこちない。やはり、初出撃では荷が重かったのか。
「うわっ!」
足が一気に上がる。例えるならおもちゃの兵隊。しかし結果はどうあれ、まずは第一歩。
『――あ、歩いた。』
リツコが感激してそう言う。技術者としての喜びだ。
(とっ、止まれ――)
歩いたのはいいが、今度は止まらない。どんどん使途に向かって進んでいく。
「とっ、とま…。くそっ!そのまま行けぇ!」
ついに走り出す初号機。無鉄砲に目標に突っ込んでいく。
「!」
使途がピクンとなる。
『あ、ダメ!カヲル君待ちなさい!』
ミサトの制止もカヲルの耳には入らない。完全に我を忘れた。
「おああああああああああああ!」
両腕を顔の前でクロスし、タックルの体勢に入るカヲル。初号機もその動きに連動する。が…。
(スカッ)
使途もバカではない。突っ込んでくる初号機に敵性を感じたのか、左ステップでタックルをかわす。
「くっ……。」
よけた使徒を確認しようと、首だけ振り向くカヲル。しかし、初号機はまだタックル体勢のまま。おまけに進行線上には兵装ビル。
『カヲル君、前!』
時速100を超える速度で兵装ビルに突っ込む初号機。兵装ビルは倒壊し、倒れた初号機の頭に落下する。
「ぐああっ!」
カヲルが頭を押さえて絶叫する。シンクロ式操縦システムの欠点の一つ、痛みを操縦者も感じるということ。
『カヲル君?聞こえる?早く立ち上がって!カヲル君?聞こえる?カヲル君!?』
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