(1時の方向。距離、600。さっきの身体能力から見て、2秒で詰められる。)
エントリープラグの中、カヲルは意外と冷静だった。
(ダンッ!)
地面を蹴り、高くジャンプする初号機。あまりに美しかった。
「とっ、跳んだ……。」
またもどよめく発令所。とてもカヲルが初陣だとは思えない。
使徒は残った右手を持ち上げると、光の槍で反撃を試みる。傷ついていたとはいえ、まだまだ戦闘不能には程遠い。
(予想通り!)
カヲルがニッと笑った。頭を狙ってきた槍を、首をかたむけてかわす。使徒の動きを予測し切った動きだった。
「シンクロ率、100を突破。ゲイン、さらに上がります!」
「ヘフリック、正常位置で安定。マギはベストエフェクトと判断。」
「いける……、いけるわ!ミサト!」
興奮を隠せないリツコ。しかし攻撃はこれだけで終わらなかった。
「はああああああ!!」
カヲルは気合を入れると、使徒の顔面に拳を叩きつけた。一発で顔面を貫通する。
「痛!」
A10神経を通じて鋭く感じる痛みに、カヲル自身のゲインはさらに上がった。
「ああああああああああああ!」
ぼこっ、ぼこっ、とスピーカーを通じて伝わる耳障りな音。使徒の胸部は文字通り蜂の巣だった。
「うっ…!」
オペレーターの伊吹マヤが口に手を当て、不快感をあらわにする。
「……………………」
使徒は戦意を喪失したのか、ぐったりとしている。
やがて胸部を破壊しつくし、初号機の攻撃は腹部にある、赤い光球に集中していた。
「……フっ。」
碇ゲンドウが、顔の前で組んだ両手の下で、にやりと笑った。
ご意見ご感想は
掲示板へどうぞ。