Prologue
頭の中を走馬灯のように駆けていく映像。
大きな―とても大きな―蟲から剣を引き抜き、それを放り出したままこっちに走ってくる必死な顔。
風景が穏やかに揺らぐ。
伸ばした手は空を掴み、ゆっくり景色が姿を消して・・・。
(これは、夢?私の知らない光景)
(夢じゃない、これは、あたしの知っている・・・)
目を閉じる前、端に映ったのは太陽の輝きをそのまま映したような金色の髪。
意識を放す前、耳に届いたのは彼女を呼ぶ声。
その声が再び耳元で聞こえた気がして、
少女はゆっくり瞼を上げた。
心配そうに覗き込んでいる顔。
その緑柱石(エメラルド)の瞳がふっと緩み、彼は彼女の名を紡ぐ。
「クリスタル」
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