夏の甲子園、地区予選準決勝
ひびきの高校野球部は、1−0で敗退した。
完全な投手戦で、勝負は意外とあっけない結末を迎えたのである。
9回裏、ランナー2塁で、2アウト2ストライク3ボール
公ニが投げたカーブを、打者が引っ掛けた。
誰もが延長戦突入と思った次の瞬間、打ち取ったはずのゴロがセカンドとファーストの間をスルリと抜けていった。
ライトがボールを拾い上げて、キャッチャーに矢のような送球を返す。
エラーで出塁していた俊足ランナーがホームベースに滑り込む。
完全なクロスプレーであった。
舞い上がった砂ぼこりがおさまると、審判のセーフの声がこだました。
春の甲子園に出場したひびきの高校の春夏連続出場の夢が断たれた瞬間であった。
風も無く暑い午後だった。
これが春の大会からエースナンバーを背負った主人公ニの最後の公式戦であった。
My wish・・・ 2周年記念競作SS
Love Destinyfeaturing Hikari Hinomoto
Presented by 詩緒 倫
秋が訪れると、光は公ニから意外な事実を聞かされた。
公ニは、卒業後渡米するというのである。
「どうしてアメリカじゃないとダメなのよ?」
中央公園でのデート中に、突然切り出された光には冷静さはなかった。
「アメリカがいいんだ!」
公ニも感情的な反応を見せてしまう。
「日本だっていいじゃない」
「日本では、声もかからないさ」
「そんなの分からないじゃない」
春の甲子園に出場したとはいえ、初出場初戦敗退のひびきの高校のエースがドラフトにかかるはずもなかった。ドラフト外、契約金無しが妥当なところだった。
「大学野球とかノンプロという選択肢だってあるじゃない」
「俺はプロになりたいんだ!!」
「大学行ってからでもいいじゃない」
「今すぐなりたいんだ」
「どうして、そんなに焦る必要があるのよ」
「焦ってなんかいない」
「焦っているよ〜」
「もう何処にも行って欲しくないの」
光の脳裏には、幼き日の突然の別れが浮かぶ。
泣きながら、公ニを乗せた車を追いかけた辛い記憶・・・・・・・
あの時と同じだ。
そう思ったのだろう。
でも、小学生の頃と違って、自分の力で別れを防げるかもしれない。
光はそう感じていた。
「ずっと、私と一緒にいて欲しいの」
はっきり言って告白しているも同然であった。
「光、俺はお前が好きだよ」
光の言葉に応えるかの如く、公ニは自分の気持ちを正直に話した。
でも、ドサクサに紛れて告白したようなもんである。
「・・・・・・・こんな時に、そんな事言うのズルいよ」
光はもちろん嬉しかったけれど、戸惑いもまた大きかったのである。
「正直なところ一緒にアメリカに行って欲しいぐらいさ」
「私もアメリカに行くよ。それならいいでしょう」
光も勢いなのか調子の良いセリフを続けてしまう。
「今はダメだ」
「どうして?だって離れたくないよ」
「・・・・・・・・一緒に行ってもお互いの為にならないから」
「そんな事ない」
光はもどかしかった。
どうして、公ニが自分の言葉を否定ばかりするのか理解できなかったのである。
「じゃあ一つ聞くけど、光は卒業後何をしたいんだ?」
「・・・・・・大学に行く」
一瞬だけ悩んだけれど、はっきりと答えた。
「その後は?」
「その後なんて、まだ考えていないよ」
「陸上はどうするんだ?」
「・・・・・・特に決めてないわよ」
陸上部に所属する光の成績は、かなりのレベルで、陸上で推薦入学を狙えるポジションにいたのである。
「・・・・・・そうか」
公ニは、もうそれ以上訊かなかった。
その時、見せた公ニの寂しそうな表情の意味が分からなかった。
気まずい事はなかったけれど、もどかしかった。
「君は・・・・・・私がいなくても平気なんだ・・・・・・そんなのなんか寂しいよ」
お互いの気持ちを確認し合ったにもかかわらず、二人の会話はすれ違うばかりであった。
結論が出ない会話が何度も繰り返されていった。
しかし、結論を出さなければならなかった。
ある日の放課後の教室
少しニヤついた感じで匠が公ニに声をかけた。
「聞いたぞ、公ニ」
「?」
「オマエ、光ちゃんを捨ててアメリカに行くんだってな」
匠の口調はどう見てもからかい半分である。
しかし、匠の口ぶりから公ニのアメリカ行きが、ちょっとした話題になっている事がうかがえた。
「アメリカに行くと決まったわけじゃないし、光を捨ててなんていないよ」
公ニは、不機嫌そうにセリフを吐き捨てて、その場を離れようとした。
「悪かったよ」
公ニの過剰反応にやや驚いた匠はボソッというが、公ニは何の反応を見せずに、匠の視界から消えていった。
「匠、今のはオマエが悪い」
様子を見ていた純一郎が、匠の肩をたたいてそう言った。
「それくらい分かっているさ」
「だったら、言うな」
純一郎は、いつも以上の真面目な表情で匠を一喝した。
さすがの匠も、多少へこんでしまった。
「光、そんな膨れっ面だと、公ニ君に嫌われるわよ」
親友の琴子に相談しても、そんな答えしか返って来なかった。
「もう嫌われているからいいもん」
意地になっている自分には気づいていた。
でも、いまさら素直になんかなれない。
「公ニ君の将来の設計図に自分の姿がないのが寂しいんでしょう?」
「そんな事・・・・・・・・」
琴子の言葉は図星であった。
でも、それを認めたくない自分がいた。
「光ちゃんの希望は、公ニ君の夢を壊す事なの?」
二人の担任である華澄にも相談した光を待っていたのは、そんな言葉であった。
光の期待していた言葉からは遠かった。
「そんな事ないよ。日本だっていいじゃない!同じ野球じゃない!違うの?」
「あのね、日本の球団に入っても、ひびきのにいるわけじゃないのよ」
「それはそうだけど、日本ならいつだって会いに行ける」
「アメリカだって、その気になれば行けるわよ」
「遠過ぎるわよ!」
華澄の言葉を素直に聞き入れる事が出来なかった。
感情的になっていくのが自覚できたけれど、それはもう止められない感情である。
そして、ドラフト会議当日
TVに映る華やかなスポットライト
指名された選手の嬉しそうなコメントと笑顔
その全てが眩しかった。
当然ながら、公ニの元には球団関係者もマスコミ関係者も誰も来なかった。
それが現実である。
公ニは、予想通り日本のドラフトにはかからなった。そして、ドラフト外の入団の誘いすらなかったのである。大学の推薦入学やノンプロからの誘いは、いくつかあったようだったけれど、公ニの返事はいつも決まっていた。
「誘って下さるのは嬉しいですが、お断りします」
「どうして、断るのよ・・・・・・良い話じゃない」
光の望んだ僅かな希望は、全て崩れていった。
それでも、時は確実に流れていく・・・・・・・
「華澄さんだけには言うけれど、私、公ニ君が好きなの!離れたくないの!」
「きっと公ニ君は光ちゃんに自分の夢を認めて欲しいと思っているはずよ」
「じゃあ、私の夢だって認めてくれてもいいじゃない」
華澄との会話もあまり変化がなかった。
「アメリカの野球のどんなところがいいの?」
光は、デートで喫茶店に入った時、そんな質問をしてみた。
自分がいる日本を離れてまで、メジャーに行きたい理由を知りたかったのである。
「そうだな、すっきりしている事だな」
コーヒーを一口飲んでから、公ニは答えた。
「妙な小細工とか、記録のためのプレーが少ないんだよ」
「例えば?」
「点差が開いた時に盗塁しても、盗塁と記録されないんだ」
「へー、そうなんだ」
「打者の記録がかかっていても、ピッチャーはそれだけで敬遠なんてしないんだ」
「日本なら敬遠合戦だよね」
「ファインプレーをすると、ファンは敵味方関係なく称賛してくれる。そんなところが好きなんだ」
「うんうん」
「野茂がノーヒットノーランを達成した時も、ビジターだったのに全ての観客がスタンディング・オベーションで野茂を称えたんだ」
「日本ならありえないわね。どんな勝ち方だってヒイキのチームが勝てばいい・・・・・だもんね」
「まあ、文化の違いなんで、どっちが良いとか悪いなんて言えないかもしれないけれど、俺はアメリカの方が好きだよ」
光が化粧室に行こうとして席を立つと、声をかけてくる女性がいた。
「あら、光ちゃんじゃない?」
「咲耶ちゃん」
咲耶は、光の中学時代の同級生で、それなりに仲が良かった。
今でも、たまには会う程度の付き合いはある。
咲耶は、ツインテールのオシャレな娘で、いつも2〜3歳年上に見られていたけれど、極度のブラコンで有名であった。
「私、お兄様と来ているの」
咲耶は、お兄様が座っている席を見ながら答えた。
「へ〜、あれが咲耶ちゃん自慢のお兄様なんだ」
初めて見る咲耶のお兄様だったけれど、咲耶が自慢したくなるのが理解できるくらい格好良かった。
オシャレな咲耶と並んでも全く見劣りしないセンスは流石というべきである。
「どう、いいでしょう」
「そうね」
もちろん、相槌を打つ以外に選択肢はなかった。
「光ちゃんも、彼氏と一緒みたいね」
咲耶は、光が座っていたテーブルにいる公ニを値踏みするかの如くチラリと見た。
「お兄様程ではないけれど、いい線いっているわよ」
「それはどうも」
光は苦笑するしかなかった。
「あっ、そうだ・・・・・一つだけ訊いていい?」
「もちろん、いいわよ」
「もし、お兄様がアメリカに行っちゃうとしたら?」
光は誰にでも同じような質問をしていた。自分の気持ちに共感してくれる人を探していたのかもしれなかった。
「???? ・・・・・・・・もちろん、一緒に行くわよ」
光の唐突な質問に戸惑いながらも、咲耶は優雅な感じで答えた。
「でも、来るなと言われたら?」
「お兄様はそんな事は言わないわ」
「だから、もしもの話よ」
「そうね〜、私、お兄様のためになるんだったら、少しくらいなら待つわ。アメリカに行くのがお兄様の希望なら、私はそれを応援したいしね」
「うん、そうだよね」
「そろそろ行くわ。お兄様が待っているから・・・・・・・じゃあね、光ちゃん」
「うん、咲耶ちゃん」
この時、交わした咲耶との会話が、意外な程心に残っていた。
”アメリカに行くのがお兄様の希望なら、私はそれを応援したいしね”
咲耶がサラリと答えてみせた言葉・・・・・・・
そんなセリフが言えない自分に気がついた。
「私には、そんな事・・・・・・・言えない」
数日後、光は久々に公ニの家に遊びに行った。
最後に行ったのは、確か高校1年生の時だった。
正直なところお互いの家を訪問し合う事はほとんど無かった。
でも、なんとなく行ってみたくなったのである。
公ニの母親はもちろん快く迎えてくれた。
光は公ニの母親にとっても親しみ深く、懐かしい存在であった。
幼い頃いつも一緒に遊んでいた公ニと光
その事実を一番知っている大人であった。
久々に公ニの部屋に入った光が目撃したもの
それは、メジャーリーグの試合のビデオ、本、資料
雑然とした雰囲気の部屋のあちらこちらに散らばっていた。
そして、何より目立ったのが野茂英雄のポスターだった。
近鉄にドラフト1位で入団し、新人賞、沢村賞、連続最多賞を受賞しながら、アメリカに渡った日本人ピッチャー
メジャーでオールスターに出場し、新人賞を獲得。ノーヒットノーランさえ達成した。
ある意味、野球の歴史を変えた男である。
野茂がいなければ、これほど多くの日本人がメジャーリーグでプレイする事などなかったはずである。
「そっか・・・・・・、公ニ君・・・・・・野球が好きなんだ」
公ニの母親が持ってきてくれたジュースに口をつけた後、光はこう言った。
「なんだよ、いまさら」
「ごめん」
「何で謝るんだ?」
「私、ヒドイこと言っていたんだね。私、もうアメリカ行きを止めないよ」
「光」
「だって、それが君の夢なんだよね。だったら、私、君の夢を壊す事なんてできないよ」
「焦っていたのは、私の方だったんだ」
「・・・・・・・・光」
「私、帰るね」
「送っていくよ」
「いい、一人で帰るから」
光は、逃げ出すように走った。
自分が恥ずかしかったのである。
「私の夢は、私の押し付けだったんだ・・・・・・・・・」
光のわだかまりが、少しづつだけど消え始めていた。
クリスマス・イブ
街にはイルミネーションが輝き、クリスマスソングが溢れていた。
色とりどりの光のページェントが、恋人たちを照らし出す。
キレイにデコレーションされたクリスマスツリーの前で、公ニは光に今後の予定を告げた。
「1月中旬にアメリカに行く」
「そうなんだ」
公ニは、マイナー契約で1Aからのスタートである。当然ながら契約金などあるはずもない。身分の保証などなく、いつクビになっても仕方なかった。あるのは弱肉強食の勝負の世界である。負けは夢の終わりを意味していた。
「卒業式はどうするの?」
「でない」
「そうだよね」
二人は無言のまま、手を繋ぎ冬の並木道を歩いた。
何か喋り出すと止まらないような気がしたし、”この時間がずっと続けばいいのに”と思えたのであった。
これが、二人にとって最後のデートになった。
公ニは直前に迫った渡米の準備に追われたのである。
年が明けて、公ニがひびきの高校に登校する最後の日がきた。明日には日本を離れてしまう。
その日は、降り始めた雪が校庭を少しづつ白く染めて行く、寒い日だった。
光は昼休みに公ニを伝説の鐘が見える中庭に呼び出した。
公ニは昼休みが終わると成田空港に向かう電車に乗る予定だったので、これが最後のチャンスだった。
数年前から壊れて鳴るはずもない伝説の鐘を見上げながら、公ニを待つ光
傘もささずに立つその姿は、少し痛々しい。
辺りには光以外誰もいない。
「鐘・・・・・・・鳴らないかな・・・・・・・なんてね」
少し乙女チックな想像が頭をかすめていく・・・・・・・・
しばらくして、公ニが姿を現すと、光の表情は見る見るうちに笑顔に変わっていった。
光が立つ場所に、そっと近づく公ニの表情は、意外なほどさっぱりしていた。
「ごめんなさい、こんなところに呼び出したりして・・・・・」
「・・・・・・そんな事ないさ」
光はじっと公ニの目を見ながら、自分の言葉で語り始める。
「あのね、最後に私の気持ちを聞いて欲しいの」
「・・・・・・・・・・」
「私・・・・・・、君と一緒にいたい・・・・・・・それが私の夢なの」
「君の夢に比べると比較にならないくらい小さな夢かもしれない・・・・・・・・・でも、それが私の正直な気持ちなの」
「何年か経って、君の横にいるのは私だと信じている」
「私、信じているから・・・・・・・・・君が私の運命の人だって」
「・・・・・・・光」
「だからね、私、君に相応しい女性になるの」
「君がメジャーリーガーになって、オールスターに出れるくらいなっても、私の事が好きと言わせたい」
「大学で自分のやりたい事を見つけるの」
「陸上かもしれないし、教職かもしれない」
「先生ってガラじゃないな」
「どうせ、私は華澄さんとは違うわよ」
「その直ぐに拗ねるところなんて、先生には向かないじゃない?」
「悪かったわね」
「悪くはないさ・・・・・・だって、俺、光のそういったところを含めて好きなんだ」
「ありがとう。嬉しい言葉だよ」
「あのね、私、ゆっくりと自分のペースで自分のやりたい事を見つけるわ」
「きっと見つかるさ」
「君は、私より早くやりたい事を見つけた。そうだよね?」
「そうだな」
「公ニ君、応援するから」
「電話とかするから」
「手紙も書くから」
「俺からも連絡する」
「うん、待っている」
光は泣きたい気持ちを必死に抑えていた。
無理矢理作ったような笑顔だった。
感情を抑えに抑えてきた光ではあったけれど、ついに限界を超えてしまう。
光は、黙って公ニの胸に飛び込んでしまった。
当然のように光を受け止める公ニは、光の身体の重みを感じている。
公ニの胸にすがりつく光の肩は小さく震えていた。
公ニは、そんな光を抱き寄せた。
光は少し驚いたような仕草を見せたけれど、それは一瞬だけで、直ぐに公ニの胸に顔を埋めた。
公ニの腕の中にいる光は、想像以上に小さく、そして柔らかかった。
公ニは、光の髪を撫でて雪をはらった。
光の髪からは石鹸の香が僅かにした。
いつまでもこうしていたかった。
交わす言葉もなく雪の中で抱き合う二人・・・・・・・・
「公ニ君」
少し甘えたような声が公ニの耳元をくすぐる。
「・・・・・光」
公ニは、光の左の頬に軽くキスをした。
光の身体がピクリと反応するが、公ニは光が自分を抱きしめる力が強くなったのを感じていた。
やがて、光の瞳からは涙が流れ始めた。
「もう泣かないって決めていたのに・・・・・・」
そっと目を閉じる光
光の肩に腕を回して、さらに抱き寄せる公ニ
光の肩が僅かに震えているのが分かった。
光の鼓動と公ニの鼓動が呼応し合うように早くなっていく・・・・・・・
もはや、二人には雪の寒さなど感じていなかったのかもしれない。
お互いの吐息が、とても身近に感じられた・・・・・・・
少し上向き、つま先をそっと立てる光
少しづつ近づく二人の顔
やがて、そっと触れ合う唇
風もなく白い雪が静かに舞い降りる中、二人は初めて唇を重ね合った。
でも、直ぐに離れてしまった。
不器用なキスだった。
初めてなんだから当たり前である。
どちらからともなく、再び触れ合う唇と唇
さっきより長く、そして上手くできた。
二人は、熱さと柔らかさを全身で感じている。
やがて、名残惜しそうに離れる唇と唇
しばらく、余韻に浸るかの如く、黙ってお互いを抱きしめ合う。
光の瞳から流れていた涙もいつのまにか止まっていた。
・
・
・
・
・
・
「ファーストキスだったんだよ」
顔を赤らめて照れくさそうに言う光の姿は、とても愛しく感じられた。
「俺もだよ」
光を見る公ニの瞳は、とてもやさしい・・・・・・
お互いの身体は離れても、心が繋がっている感じがするのが嬉しい。
「また会えるよね」
そういう光の顔は、いつもの笑顔だった。
いつものと言いながら、久しぶりに見たような感じさえした。
「もちろん」
公ニも意識して元気良くはっきりとした口調で応える。
「光」
「何?」
「光はやっぱり笑顔が一番だよ」
「ありがとう」
いつまでも絡み合うかのような視線ではあったけれど、いつもでもそうしているわけにはいかなかった。
公ニは光に背を向けて、校門に向かって歩き始める。
光は黙ってその後ろ姿を見送る。
視界から公ニの姿が消えても、しばらくその方向を見ていた。
まるで公ニの姿がまだ見えている。
そんな感じである。
主人公ニ、陽ノ下光 二度目の別れは笑顔であった。
きっと、二人の心の中では伝説の鐘が鳴り響いていたに違いない。
〜fin〜
後書き
伝説の鐘が鳴らない。卒業式すら迎えない。結果的に別れてしまうエンディング。告白シーンどころかキスシーンがある。もしかしたら、ときめきメモリアル2の光エンドに対するアンチテーゼなのかもしれません。でも、これが自分が考え出した光エンドです。
さて、このSSのタイトル、Love Destiny どっかで聞いた事あるようなタイトルですよね。そう、TV版シスタープリンセスのOP曲そのままです。という事で咲耶ちゃんにゲスト出演してもらいました。もちろん、なんとなく出したわけではないです。あのセリフを言えるキャラが「ときメモ2」にはいなかったからです。
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