「My wish・・・」
第20話 「練 習 試 合」
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G.Wに末賀高校との練習試合がある。これには、その年のインターハイ県代
表になりそうな高校が相手に選ばれていた。それに男女ともきらめき高校が
選ばれ、今日はその試合のレギュラーが発表された。
「やったな公。スタメンだぞ」
「ああ、よろしく頼むよ木本」
新人戦でコーチに認められた公は、とうとうスタメンを獲得した。入部して
1年と1ヶ月、自主トレの成果もあるだろうが、高校から正式に始めたのだか
ら大したものであろう。
自主トレを始める前にこのことを報告したら、沙希は自分のことのように喜ん
だ。自分の目に間違いはなかった。そんな思いもあったかもしれない。
「やったね、公くん」
「ありがとう、沙希ちゃん」
手を取り合って喜ぶ。
「自主トレの成果ね」
「うん。沙希ちゃんにもお世話になったし」
「私のしたことなんて、大したことないよ」
「そんなことないよ、出来たらこれからもよろしく」
「もちろんよ。こちらこそよろしくね」
自主トレ場所が公園に戻ってきて1ヶ月以上経った。体育館の人に頼み込んで
使い古しのボールと籠をもらってきたので、道具は結構充実している。普段は
公園の隅にある茂みに隠してある。それをゴールの所まで持ってきて、今日も
沙希と二人で過ごす時間が始まった。
試合が近づいてきたある日。
昼休みに教室で詩織と話していると、好雄が叫びながら騒々しく教室に入って
きた。
「大ニュース、大ニュース」
「なんだ好雄、うるさいぞ」
せっかくの詩織とのお喋りを中断させられたので、思わずそう言ってしまった。
「なに〜。お前に関係あることだから急いできたのに。そんな奴には教えてやらん」
「うっ」
「何かあったの、早乙女君」
「そうだ、詩織ちゃんにも関係あるか。何かあったなんてもんじゃないよ」
「だから何だってぇーの」
公のことは無視をして、詩織に向かって続ける。
「GWのバスケ部の練習試合あるだろ。それがTV中継されるっていうんだよ、
詩織ちゃん」
「なに?」
「本当なの早乙女君」
「ああ、伊集院が言い出したらしいんだ。まあローカルなんだけど、それでも
TVだもんな」
「そうなの。伊集院君がそんなことを」
「伊集院がなぁ。でもよくTV局がOKしたな」」
「・・・それはね、詩織ちゃん」
詩織は困った顔をしているが、あくまで公を無視する。
「わかったわかった。ごめん好雄。教えて下さい」
「わかれば、よろしい」
勝った!と言わんばかりの顔で公に教えてやる。
「今年のインターハイ出場が、うちか末賀かって噂だから、TV局も了承した
らしいんだ。でも司会は伊集院がするらしいぞ」
「僕がどうかしたかね?」
「わっ!!伊集院」
突然後ろから声をかけられたので驚く。
「あっ、伊集院君。いま好雄君からTV中継のことを聞いたんだけど、本当なの?」
「ああ、そのことかね。本当だよ藤崎君」
「なんで急にそんなことになったんだ?」
公が口を挟むと、ちらっと公を見て言い放つ。
「決まっているだろう。君の無様な姿を、沢山の人に見てもらうためだよ庶民」
「なにお〜」
「そうそう、時間の都合上中継するのは男子だけなんだ。すまないね藤崎君」
「私は別にいいけど」
「それと、外出してTVが見られない人のために、駅前に大型マルチビジョンも
5台用意して中継するから、せいぜい頑張ってくれたまえ。ハーーハハハハハ」
いつもの高笑いを残して自分の席に戻っていく。
「大型マルチビジョンだって?」
「公。おまえ伊集院に何かしたのか?」
「う〜ん。そんな覚えはないんだけどなぁ。それにしても伊集院の奴め」
「まあまあ公くん。伊集院君の言うとおり頑張りましょう」
「ああ」
その時席に戻ったレイは、本当のことを言えず、公に対してああいう態度しか
取れない自分の立場に自己嫌悪していた。
放課後の部活では、やはりTV中継のことが話題になった。
「なんで女子は中継しないんだろう。ねえ先輩」
「そんなに出たかったの、優美ちゃん」
「うんっ!もちろんですよ。あっ、でも優美はレギュラーじゃないから応援席が
写らなきゃダメなんだよね。う〜ん、どうやって目立とうかなぁ」
腕を組んで真剣に悩んでいるようだ。
「おいおい」
「集合〜」
女子のマネージャーが叫んでいる。
「う〜ん、う〜ん」
「優美ちゃん。集まれッてさ」
「えっ?は、はい。う〜ん」
向こうに歩き出しながら、それでも一生懸命悩んでいる優美だった。
「ははは」
そんな優美を見て笑っていると木本が話しかけてきた。
「よう、聞いたかTVのこと」
「ああ」
「活躍すれば一躍有名人だぞ、公」
「おまえもか。目立つの好きだな」
「当然。それにインターハイ出場のためには避けては通れないチームだし、絶好
の実力試しだな」
「そうだな」
仮入部の時から目立っていた新入部員の1年センター石崎司は、残念ながら
ベンチ入り出来なかった。しかし、いずれはスタメン入りするだろうと、木本
と公は思っている。
「石崎は残念だったな」
「ああ。まだまだ3年の方が上だしな」
「そうだな。身長は少し低いけど跳躍力でカバーしているし、石崎は良いの
を持ってるよ。これからだな、あいつは」
「だろ?」
木本は、うんうんと頷いている。
「おまえはスタメン定着のために頑張らないとな」
「ああ。分かってるさ」
体育館の外には、そんな二人の会話をドア越しに聞いている沙希の姿があった。
『TV中継?』
沙希は嫌な予感がしていた。そこで公が活躍したとしたら、その後女子がどう
いう反応をするのか。公に活躍して欲しいのは当たり前だが、そのことを考え
ると胸が苦しくなる。
「大丈夫かなぁ・・・。あっ!!早く戻らないと。みのりちゃんが待ってるわ」
部室に戻る途中だったことを思い出し駆け出す。
「応援に行きたいなぁ。確か5日よね」
5月3日にはサッカー部も練習試合があるが、5日は何もないはずだ。末賀
までは電車で30分位で行ける。
「よしっ!決〜めたっと」
5月5日の当日、学校に集合したバスケ部員は、きらめき高校運動部専用バス
で、末賀高校を目指して車を走らせた。まんまと公の隣をゲットした優美が、
駅前を通ったとき何か大きなものを指差した。
「先輩、あそこにおっきなTVがありますよ」
「あれか、伊集院が言ってたマルチビジョンて」
「いいなぁ〜、先輩。あれに映るんですよ〜」
「ははは。んっ?」
優美と楽しそうに?話していると、なんだか背中に冷たいモノが走った。
後ろを振り向くと、詩織が奈津江と楽しそうに話しているのが見える。
「気のせいか?」
再び前を向いた公を、視界のはじで見ていた視線がまた元に戻る。公が振り
返る一瞬前まで、ジトーーーッと見ていた詩織の視線だ。
「しおり〜、やめなさいよ」
詩織の公への思いを知っている、数少ない友人である奈津江が忠告する。
「だって〜」
「だって〜、じゃないよ。卒業式まで恋人同士にはなれないんだから、彼を束縛
することなんて出来ないのよ」
「分かってるけど〜」
「大変ね〜、伝説を実行するのは」
そう。頭では分かっているのだが、身体が言うことを効かない。それだけ公の
ことを思っているのだ。詩織にこんな思いをさせているとは、公には知る由も
ない。
「いいわね〜、芹澤君とラブラブの奈津江は」
「な、なにを」
顔を赤くしてあたふたする奈津江はそのままにして、ムッとして黙り込む。
末賀に着くと、一同は早速体育館に向かう。
「うわ、でけーーーーー」
さすが全国大会常連の名門校、バスケット部専用の体育館があり、コートが
4面とれる広さがあった。毎年のようにバスケ部志望の新入生が多数入学する
末賀だと、これでも狭いかもしれない。
「おう、来たな」
末賀の選手とは顔見知りである。新人戦で惜敗した決勝の相手であり、イン
ターハイ予選では一番の強敵だ。それに中学から有名だった木本には、中学時
代の同級生も数人いた。
「久しぶり、ヒデ」
「おう、明か」
ヒデこと橋本英之は、木本(木本明)の同級生で末賀のスタメンのセンターだ。
「そうそう明、新人戦の準決の時にラスト5分間だけ出た奴がいたよな」
「ああ、公のことか。おーい、公」
「なんだ木本」
木本に呼ばれて二人の所に来る。
「そうそう、おまえおまえ」
「なんだ?」
「お前なかなかやるな」
公の肩をバンバン叩く。
「わっ!!」
「こいつ俺の中学時代の同期でさ。この間の新人戦のお前を見たらしいんだ」
「なんだそうか」
「公だっけ?今日は出られるのか?」
「ああ。今日はスタメンだ」
「そうか。これはますます強敵になりそうだな、きらめきは」
ここにも公を認めた人間がいた。
最近のバスケ人気からか、専用体育館には5百人以上の観客が集まった。
中にはきらめき高校の生徒もいた。そして中継のTVカメラは3台もあり、
どんなプレーも撮り逃さないように万全の体制がとられた。
試合は女子から行われ、きらめきが僅差で競り勝った。
「やったな、詩織」
「うん!!」
詩織の活躍もあり、宿敵末賀に勝つことが出来た。
「今度はあなたの番よ。頑張ってね」
「ああ。精一杯やるよ」
と二人が話しているところに、上の方から声が掛かる。
「公く〜ん。がんばって〜」
観客席を見ると、沙希が手を振っているのが見えた。詩織もそっちを見る。
『こんな所までくるなんて、これで虹野さんの公への思いは決定的だわ』
「あっ、沙希ちゃん。お〜い」
公は手を振って答える。
「来てくれたんだ」
「おもてになるのね〜」
「そんなんじゃないって」
そんな言い訳なんて耳に入らないように詩織はムッとした顔で、スタスタと
2階の応援席に行ってしまった。
「なに怒ってるんだ詩織の奴」
相変わらず鈍感な公だった。
詩織が席に戻ると、優美がゴソゴソと鞄から何かを出していた。どうやら紙性
の横断幕を作ってきたらしい。壁に貼るために、手すりから身を乗り出していた。
「ちょっと、そっち持ってて」
裏から透けて見える文字を見ると、「ダンクだ!主人公」と書かれていた。
「早乙女さんたら」
恋敵であるからこのような行動は苦々しく思うが、同時に、素直に自分を表現
している優美のことを羨ましくも思う詩織だった。
いよいよ試合が始まる。公は背番号7番でスタメン出場だ。
(ここで伊集院のコメントが20分程入るのですが、省略いたします)
アナウンスに紹介されて一人ずつコートに入っていく。
「ゼッケン7番、主人公君」
「はい!」
観客席と審判席に礼をし、コート内ではスタメンの選手とハイタッチをして
声を掛け合う。全員揃ったところで気合いを入れ、ジャンプボールを見守る。
ピッ!
両校のセンターが跳び、ボールがタップされて試合が始まった。
弾かれたボールが木本の方に向かうのを見て、公は素早くゴールに走り出す。
「よしっ!!」
木本がボールを捕りゴール方向を見たときには、ゴールまですぐの所にいた。
「ファーストブレイクだ、公」
ゴオッ!
空気を切り裂くようなパスが出る。それを受け取った公がドリブルなしの
2ステップでジャンプする。
「ダーーーーーンク!!」
応援席で優美が手を振り上げて大声を上げる。
ガコーーーン。
「やったーーー」(優美)
「すごーーーい」(沙希)
「よしっ!」(詩織)
ダンクをしそうにない選手である公のダンクで、一気に盛り上がった会場が
歓声に包まれる
前半終了間際19分が過ぎた頃、試合は26−45ときらめきがリードされて
いた。流石は末賀というもの、新人戦できらめきに苦戦したことでディフェン
スをかなり強化してきたようだ。
さらにきらめきの誤算は、末賀に去年の全中にも出た1年が入部していて、
この1年がなかなかのプレーヤーだったことだ。ハーフコートのマンツーマン
ディフェンスをとった末賀は、ディフェンスに定評のあるこの1年生を公につ
けた。マークを受けた公は大分手こずっていた。試合が始まってからまだ8点
しか取っていないことからも、それが分かる。
「くっ」
キュキュキュ!
かなりドリブルも巧くなったつもりでいた公だが、なかなかリズムをつかめな
いでいた。
「先輩の邪魔するなーーー」
これまた手作りの旗を振り回している優美は、かなりエキサイトしていた。
「根性よーーーーーーーー」
口に手を当てて叫んでいる沙希の姿もあった。
3人の中では詩織だけが、周りの目を気にしてか黙って見守っていた。
「無理するな公、いったん戻せ」
木本にボールを戻して機会をうかがう。
『あの1年やるな。公ばっかり使ってたんじゃダメだ。もっと3年を使うか』
あの新人戦を機に変わったのは公だけではない。3年生達も木本に「自分の
パスを取れるのは公だけ」と言われたことで発憤し、この2ヶ月間猛特訓をした。
もともと才能がある選手達であるから、今ではだいぶ良くなってきた。
「おっ」
ゴール下に隙が出来るのが見えたので、パワーフォワードの3年に目配せして
走らせる。そして、3ポイントライン近くからゴール目がけてパスを出す。
「リバンド!」
3ポイントシューターではない木本の、苦し紛れのシュートと勘違いした元同
僚であるセンター橋本は、当然外れるのを待った。
そこにきらめきの選手が走り込んできて跳ぶ。
「しまった」
時既に遅く、空中でボールを掴みそのままシュート。
ガンッ!
見事にアリウープが決まり、28ー45と17点差にしたところで前半終了の
ブザーが鳴る。
ビーーーーー。
パチパチパチ。
ベンチに戻ってきた選手に拍手が送られる。
選手達は、いったん控え室に入って休憩と後半の作戦を立てるために、体育館
から出る。
「公くんは・・・」
詩織はその中の公を見る。すると顔を下にして、なんだか少し落ち込んでいる
ようだ。
「くそっ。このままじゃダメだ」
一番点を取らないといけない自分が、高校生になったばかりの1年にたったの
8点に抑えられたのだから落ち込みもする。予想外とは言え不甲斐なくて情け
ない。
「大丈夫かなぁ、公くん」
少し心配になった詩織だった。
そんな公の変化に沙希も気付いていた。
「なんだか落ち込んでるみたいだったなぁ、公くん」
応援しか出来ない自分が、何だかじれったいと思っていると、危ない考えが
浮かぶ。
「そうだ!!あの末賀の人のドリンクに下剤を・・・・・、ハッ!いけないわ、
こんなこと考えちゃ。そんなことしても公くんは喜ばないわ。やっぱり根性で
倒すのよ」
頭をブンブンと振って、そんなお茶目なことは振り払う。
一方優美はと言えば、さらに危ないことを考えていた。
「あーーーん、先輩不調だなぁ。もうっ!なによあの末賀の1年」
末賀側を見て、公をマークしていた1年を睨み付ける。
「う〜ん。控え室の前に行って、出てきたところを優美ボンバーでKOしちゃ
おうかなぁ。う〜ん」
などととんでも無いことを口走っていた。
「あっ、でも背が高かったなぁ。ジャンプすれば届くかな?」
しかもかなり真剣に悩んでいるようです。
その頃控え室では、ベンチに座った選手達が前半を振り返っていた。
「あいつらだいぶ鍛えてきたな」
「ああ、ハーフマンツーでくるなんて」
今まではゾーンでしかやってこなかったので、かなり戸惑った。点数差以上
に精神的な所でダメージを受けている。
「公に付いていた1年もやるな。公のフットワークについていくなんて大した
奴だ」
今では中心的な存在になっている公は、3年からも頼りにされていた。その公
を押さえ込んでるのだから侮れない。なんだかマイナス要素ばかり口にしてい
るところにコーチが口を開く。
「いや大丈夫だ。あのハーフマンツーが最後まで続くとは思えない。始まったば
かりの頃はだいぶ押さえ込まれていたが、15分を過ぎた当たりから疲れが見
え始めていた。末賀のオフェンスにもミスがあった」
「そうですね。ラスト5分はそれほどでもなかった気がします」
「確かに。あの1年も少しチェックが甘くなっていたかな」
公は前半のことを思い出してみる。
「そうだ。だから後半は相手を疲れさせるためにオフェンスを変えるぞ」
「はい」
「ゾーンからフリーオフェンスにする。動いて木本のパスを引き出せよ」
「はい」
「よしっ、勝つぞ」
「よっしゃーーーーー」
気合いを入れて控え室を出る。
体育館に行く途中に伊集院が立っていた。それを見た公は思わず身構えてしま
う。前半は伊集院の言うとおり、みっともない姿をさらしてしまったからだ。
嫌味の一つでも言われると思ったから、そのまま通り過ぎようとした。
すると、伊集院に呼び止められ、他の選手が先に行った後廊下で二人きりになる。
「主人君」
「なんだよ伊集院。嫌味なら・・・・・主人君?」
自分のことを庶民ではなく「主人」と言い、更にその口からは公には想像も
できなかった言葉が発せられた。
「頑張りたまえ」
「えっ?」
「それだけだ」
「ああ」
伊集院からエールをもらうなんて、天変地異でも起こるのかと思った公は、
唖然としてそれだけしか言えなかった。
詩織は入ってくる選手の中から早速公の姿を探した。
「いないなぁ・・・・・・・・。あっ、出てきた」
遅れて入ってきた公を見つけ、もう1度顔色を確認する。
「あっ、大丈夫みたいね」
コーチからのアドバイスで気を取り直した公は、先ほどとは違い顔を上げて
堂々としている。
「頑張って、公くん」
ピーーー!
後半が始まった。
後半が始まって5分位すると、コーチの言っていたことが的中した。それまで
機能していた末賀のディフェンスが、徐々に甘くなってきたのが目に見えた。
きらめきのフリーオフェンスに翻弄された末賀は、いつも以上に体力が削られ、
だんだんと足が動かなくなってきていた。
残り10分で50−58。17点差もつけられた前半に対して、8点差に詰
め寄っているのを見ても明らかだ。末賀の疲労はオフェンスにも影響している。
ここは一気に攻めて逆転するチャンスだ。
「いけ、公!!」
マークが甘くなった公は、今までの鬱憤を晴らすかのよな攻めを見せ始める。
途中でマンツーマンをやめてゾーンディフェンスに切り替えた末賀だったが、
公に加えて、木本のパスに反応できるようになった3年生の攻撃を、疲労が
溜まった今となっては抑えることなど出来なかった。選手を交代するが、それ
も無駄だった。
縦横無尽の公の活躍に会場も盛り上がる。残り6分で63−64と1点差まで
詰め寄った。
キュキュキュ!
前半よりも鋭いんじゃないかというフェイントで、足が止まった末賀選手を
抜き去る。
「そこだーーー、いけーーー」
「あっ、危ない。うまい!レッグスルーね」
ディフェンスを同時に二人抜いてシュートする。
「シュートーーー」
優美の声が響く。
ザシュ!!
「ナイシューーー」
ついに逆転したきらめきは、更に猛攻を続ける。
そして、試合が終了してみれば83−73の大勝利だった。
「やられたよ」
試合後、橋本が木本と公の所に来た。
「まだまだスタミナ不足なんじゃないか」
「ああ。明日から鍛え直しだ」
「あの1年にもよろしく。今度は最初から負けないって、言っておいてくれ」
「ははは、分かったよ」
「じゃあなヒデ、予選で会おう」
握手をして、決勝トーナメントでの再会を誓う。
「途中でこけんなよ」
「お互いな」
三人の笑い声が重なる。
そして、この試合で活躍した公の名前は一気に有名になる。きらめきの生徒は
もとより、駅前のマルチビジョンを見ていた他の高校の生徒にさえも広まって
いた。沙希の予感は奇しくも当たってしまった。
つづく
あとがき
第20話でした。
なんか最近文章量が多いです。
一回長い話を書いたら、なんか足りない気がしてしまって。
う〜む。これじゃあ、頭が保たない。
大活躍した公。
沙希の不安は的中してしまいます。
噂が流れる高校に、名前だけでもひびきの高校を
出そうかなぁなんて考えちゃった。
(ひびききの高校とは、ときめきメモリアル2の舞台です)
それでは、これからもよろしくお願いします。