『それぞれのそれぞれ』

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次の日多加子はご機嫌だった。

「みてみてー」

多加子の右の薬指に石のついたプラチナの指輪がはまっている。

「あたし家崎さんとつきあうことになっちゃった。

それでどうしても自分のものだって証が欲しいって、指輪をプレゼントさせてほしいって」

「わぁ家崎さん多加子によっぽど夢中なんだね。

高そうな指輪。お金用意してきてたんだね。それともカードかな」

葉枯さん家崎さんのこと悪く考えすぎだよ。

ふたりはうまくいってるじゃん。

ちょっとかっこつけすぎだなぁとは思うけど。

「それがねー、はじめから私に告るつもりだったらしいんだけど、

カード忘れちゃったらしくって抜けてるよねぇ。

現金じゃ足りなくて、私のカードがあったからよかったんだけどね」

「は?」

「どうしても今日プレゼントしたいって。

指輪ひとつでしばろうとしてるみたい。かわいいとこあるよね。中途半端にするのもおかしいから

私のカードで全額立て替えといた」

「はぁ・・・?」

「どうせすぐ返してくれるし、気持ちが嬉しかったからいいの!」



私と葉枯はなんとなく会わないまま、たまにメールがきてもほおっておいた。

そんなで1ヶ月が過ぎようとする頃、最近外見にも更に磨きがかかった多加子が予鈴ぎりぎりで教室に入ってきた。

両手いっぱいの買い物袋。 どれもブランドのロゴが入っている。

「また、昼休みに買い物?」

「まぁね、学校終わったら彼と約束もあるし」

買い物袋の中にはどうみても男性物を扱ったショップのものもある。

「時計?高そう」

「あ、これねこないだの指輪のお礼」

「あーお金戻ってきたんだ。よかったね」

「えー、もうお金お金って言わないでよ。ムードない月絵!

この指輪はねぇ彼の気持ちなんだから、お金なんていつでもいいの」

「そこ、喋りたいなら教室をでなさい」

あまりにも私たちは喋りすぎて叱られてしまった。

それから私たちはおとなしくしていたけど、私の頭の中は授業どころじゃなかった。

多加子に何を言っても今は無駄だろう。

それより葉枯から家崎に言ってもらって、なんとか家崎に対する多加子の暴走を止めてもらわなければ

と言うことばかりが頭の中をぐるぐる回っていた。



次の週末私は葉枯と大きな公園にきていた。

コンビニで買ったカラアゲを食べながら、青空の下にいた。

葉枯は男友達の恋愛のやり方に口を出すのは好きじゃないけど、そんなに私が多加子を心配するなら

私の友達だからという理由で今回だけ家崎に忠告してもいいと言った。

「まぁ家崎だけじゃないと思うよ。そういう男って他にもいるから。」「葉枯さんもってこと?」

「俺はそういうのは好きじゃないけど、そういう男にハマる女っているから、

そういう女がいるかぎりそういう男もいるってこと。分かる?」

「家崎のうちって弁護士って嘘じゃないけどさ、何人も弁護士抱えて大きな事務所やってる。

その業界じゃ有名だよ。だけどさ、あいつ親のこと嫌ってて1人で事務所開いて成功させてやるって言ってるんだよ。」 葉枯は冷たい缶コーヒーをすすった。

「遊びたいし、ブランドものも嫌いじゃない。けど、大学卒業するまでに金もためたい。」

「え?じゃあ多加子はパトロン?」

私が言うと葉枯はコーヒーを鼻の奥につまらせてむせた。

「多加子さんくらいじゃパトロンって言わないの。せいぜい高価なプレゼント買ってくれる都合のいい女程度かな」

「な・・・」

「家崎って何人か女いるよ。事務所開く資金なんて大学に在学中たまるわけないから、その時足りない分出資してくれそうな女もいる。」

葉枯は何でもないことのように言う。