『それぞれのそれぞれ』

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居酒屋からでると慣れないお酒のために、急に酔いがまわり

足元がふらつく。

駅まで向かう道がぐねぐねと曲がってみえる。


今日は大学生になってはじめて誘われた合コンに参加したのだ。

企画した子たちは私が今年から通い始めたS女子学院大学の

付属高校出身だった。

彼女達は小学校から大学まで名門の女子校とよばれているS女学院付属の高校出身とはいえ

・・・だからこそ、裏ではコンパやパーティなど密かにやってきたくちである。

もちろん公立高校の生徒が遊んでないわけではないが、どちらかというと私は真面目だった方である。

でなければ外部から入るのは難しいと言われているS女子学院大学の生徒になれるわけがない。

合コンの相手はおぼっちゃまで有名な私大の学生だった。


午後10時になって、さてこれからカラオケだという時になって、私ひとりが帰ると言い出したのだ。

我が家の門限11時に間に合わなければいけない。

付属あがりの3人は「あらそうなの?」と他人ごとだったが、私を誘った外部入学組の多加子は一応私を気にかけた。

私を誘った時は付属あがりと首尾よく友達になった為にまぜてもらえたのだと得意になっていた。

それと男性陣から1人、葉枯(はこ)という名字の人がすごく気にかけてくれて、

ほんの数分のところにある駅まで送ると言う。

これから駅とは逆方面にあるカラオケボックスに行くつもりの彼にそんなことまでしてもらわなくても、

という気持ちがあって、「平気よ、1人で行けるわ」と愛想よく断って、

「多加子また明日学校でね」と手を振って居酒屋をでた。



駅までの道が曲がってみえた後すぐぐわんと一瞬風景がよじれて気がつくと私はその場にしゃがみこんでいた。

慣れないかかとの高いミュールが片方脱げて転がった。

大学に入った時にこんな機会もあるだろうと用意しておいた肩ひもの細い、薄地の桃色のワンピースのおしりの部分が

アスファルトに冷たかった。

奮発して1つだけ買った12000円のサマンサタバサのブランドバックを膝に抱えたまま

気分の悪さにしばらく立つ気がしなかった。

「田中? 田中月絵だろ?」

都心の繁華街のど真ん中で私の名前を呼ぶものの声がした。

都内でもはずれの方に住む私を知っていてこんなところで声をかけてくるのは、さっきの合コンのメンバーくらいしか思いつかなかった。

がんがん鳴る頭を声のする方にむけるとそこには懐かしい顔があった。