『カフェ』
僕はほどよく客のいるカフェでアメリカンコーヒーとサンドイッチを食べていた
怪しくない程度にあたりを見渡す
女友達どうし、買い物途中で足を休めつつお喋りを楽しむもの
コーヒーを飲みつつ煙草をふかすスーツ姿の営業マン
ルーズリーフと分厚いテキストで勉強する大学生
大抵はふたりで、時にグループで、またはひとりの時間を楽しむもの
しかし、ほとんどの場合カフェにいるもの同士の交流はない
夕方のカフェでは今どきの女子高生を今どきの男子高生や大学生が声をかけたりしているのを
見かけたことはあるけれど
僕は去年大学を卒業して半年がたつけれど、就職はしなかった
大きな会社を経営してる父の勧めで、何か事業をしてみることになっていた
資金は父親が全面的に出すが口は一切挟まない
何をやるのも僕の自由だという
僕はそれでこの半年間ふらふらしながら考えていた
平日の昼間ともなると学生時代の友達はほとんどが就職をしていたから
仕事中だった
当然家の中で過ごすことも多くなり、学生時代おぼえたパソコンで
意味もなくネットサーフィンをしている時間も多くなった
チャットルームにもしばしば入室することもあった
不特定多数とのその場だけのお喋り
話題も雰囲気も日によって時間によって違う
顔馴染みも何人かできたりする「ひさしぶり」と打ち込むことも増えてきた
パソコンの中だけのお喋り
誰もが喋ることを欲している
職場や家庭や学校での決まった顔ぶれとの会話に疲れてなのか
現実があるにもかかわらずこのチャットサイトはどの部屋もピーク時には満室だ
僕はうまくいくか分からないけど、何をするか決めた
今までありそうでなかったカフェを作ろう
レンガ風の外観の3階建てのカフェ
各階のフロアには中央に大きなテーブルを置き
テーブルのまわりには30人分の椅子がある
僕のカフェにはちょっとした決まりごとがある
1.なるべくひとりで立ち寄ること(知人と同伴はひとりまで)
2.飲み物やお菓子などを入り口のカウンターで注文する
3.席につく際は必ず挨拶をする、挨拶を返す
4.誰もが会話に入っていける雰囲気を皆で作る努力をする
5.人数が10人以上になった場合は話題が共通するもの同士
席替えをして近くにまとまってよい
ただしなるべく1対1は避ける
6.ナンパ行為や、1対1が続く場合、いやらしい会話を好むものは
強制的にカフェから出ること
7.以上のことに反対のあるものはこのカフェに入ることを禁じる
この看板はカフェの入り口の一番よく見えるとこに置いた
僕が出入りしていたチャットルームからヒントをもらった
少し生意気なカフェだと思うかもしれないが試してみる価値はある
構想から半年、カフェは各フロアーにカウンター担当のバイト従業員を数人雇ってオープンした
このカフェのこの先はみなさんの想像にお任せしたい
なぜってこのカフェはお客様ひとりひとりが作っていくものだから
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続編としてこのカフェからはじまるさまざまなすとーりぃを
書くかもしれません
こんなカフェあってもいいと思いませんか?