☆★序章★☆

 そのころ天は、三つの国で成り立っていた。

 位の高い神々が住む白雉。三つの国で一番大きい国で、天界と下界の両方をとりしきり、悪事を裁き、弱者を助けるといった正義活動を行っていた。

 一般市民が住む国、朱鳥。下界の人間と同じような生活習慣をしていて、酒のもめごと以外なんら危険がないとても平和な国である。そんな朱鳥の国のはしのはしに、地図にのせてはならない場所がある。そこは、とても神聖な場所で、ふつうの者は近づくことも許されないという。

 闘志に満ちあふれた国、和銅。心身ともに鍛え、技術の向上をはかり、男のなかの男、もしくは女のなかの女になる、史上最強の道場、大宝道場のある国。今や、修行者の数は十万人となり、和銅の国民に大宝道場生は少なくない。

 天界の月日は長い。下界の一年が、天界の一日にあたるからだ。

 それを知らない下界の人間達は、神は、不老不死なのだと思った。自分達より、とてもえらい方なんだと。

 しかし実際は、神も人も変わらない。同じ人間なのだから。

 それを受けとめない神。

 何も知らず、知らされず、運命のままに生きる人。

 偏見や力に苦しめられる鬼。

 これは、そんな混沌とした時代の話である。