『嫌い!好き!大嫌い!!』

第3話『席替えパニック』


0.
私はその後、2年C組の教室にかけこんだ。
もちろん、山下には怒られたけど…。


「大丈夫?」
前の席の、多香子が心配そうにこっちを見た。

「え!??え、え、何が?」
「秋本よ…。置いてきたの?」
「あ、秋本ぉ!?」
私はつい、叫んでしまう。

今はその名前…。
禁句よ。

「こら!水島!!うるせーぞ!!」
山下からの注意。
「すいません!!」
私は慌てて謝った。


1.
「すいませーん。遅れました」
と、言いながら、秋本が帰ってきた。

一部、	女子は、コソコソ話しては、私と秋本をこうごうに見る。

やめて〜〜!!
私は…こう、変に、他人の興味の対象になるのは、嫌なのよ…。


秋本が、隣の席に座る。
私は、妙に居心地が悪かった。

そりゃそうだ。
これで、落ち着いていろって方が無理なんだよね…。


「じゃぁ、HRの続きすんぞー」
山下が何やら説明をしだした。
私は、そんなの、左耳から入って、右耳から抜けていた、


くそ…。
だめだ…。

秋本が…
気になる…!!!!

いやだいやだいやだいやだいやだ!!!

秋本が好きになったんじゃない!
秋本は、嫌い。
大嫌いなんだ!!

席が…
この席が悪いのよぅ!!

妙に、近いから…。





秋本は、私のほうを向くと、嬉しそうに、ヒラヒラ〜っと、手を振った。
私は、プイっと、違う方向を向く。

それが、私にできる、唯一の反抗だったのだから。




2.
「それじゃ、くじ引きすんぞ」
山下がそう叫ぶ。

「くじ?」
「席替えだってよ、聞いてなかったの?」
多香子が振り向いてそう言う。
「せきがえ?」


席替えって、あの?
あの!!!?
あの、席替え!?

やったぁい!!!!
まだ、神様は、私を見捨ててはなかったのね?
そうなのね!?

秋本と離れれば!!
そうよ!秋本の隣になる確率は、40人クラスだから、絶対低いはず!!
滅多に、隣なんてならない!!

神様…。
寒い廊下側。
ううん。
教卓の前だって良いですから、秋本の隣にはしないで下さい。
お願いします…!!
本気で!!!



3.
くじ引きの結果。
席は最高!!
だって…
ポカポカ窓際の一番後、

秋本はと言うと、教卓の前!!
ざまぁみろってんだ!!!

私にキスした罰よ〜〜〜っだ!!



4.
「じゃぁ、2ヶ月はこの席な」
山下がそう言う。

2ヶ月どころか、3ヶ月でも、4ヶ月でも…!!
この席でお願いします〜。
って、気分です!!



5.
しかし、私の平和は、そんなに長くは続かなかった。


隣の席の、委員長の澤田が手を上げた。
「ん?」
私は、澤田を見る。

「先生、俺、目が悪いんですけど」
「あ、そうだったっか…。誰か、代わってやってくれ」
山下は、前の席の人を見た。
皆、それなりに、来たそうな顔をしている。

「あ、俺、行きます。俺、背も高いし、ここじゃ、皆、黒板見えないでしょ?」
秋本が、素早く名乗り出る。
「そうか。そうだな、秋本。どうもな」
「いえいえ」

「じゃぁ、澤田、秋本。席替われ」
山下の声。


6.
ふふふ。
そうよね〜…
目が悪いから…って…

…

え〜〜〜〜!!????


ふふふ。
これは、夢?

って、ちが〜〜〜う!!!
なに、現実逃避しちゃってんのかしら?
私…。



7.
私は席を立つと、
「先生!!!私の最近目が悪くて!!!!」
と、言った。
「なぁに、言ってんだ。水島!つい1ヶ月ほど前の健康診断の時、お前、
2.0だったろ!?このクラスで、一番、目が良かったくせに。アホなこと言ってるな!!」
と、一喝されてしまう。

「本当なんです!!たった、今!!悪くなっちゃって!!!」
「なに、寝ぼけとるか!!席に着け!水島!!」
山下に、また、怒られ、私はしぶしぶ席に着いた、



8.
「また、よろしくね!ミキちゃん♪」
秋本が隣の席で、ニッコリ微笑む。
「……!!」



あぁ…。
一瞬だったけど、幸せな時間よ。
さようなら…。



つづく