『嫌い!好き!大嫌い!!』

第4話『告白』


0.
昼休み。
私は、多香子と一緒にご昼食。
パンをほおばっていた。

一番楽しい時間。

それなのに、目の前に秋本が現れる。
私は、明らかに笑顔をなくした。

「ミキちゃん♪」

「私の半径10m以内に近寄らないで!この、変態!!」
私は、後ずさりすると、そう言った。
「お褒めの言葉有難う。じゃぁ、ご期待に添えて…」
秋本が笑顔で近寄ってくる。
「ぎゃ〜〜!!近寄るな!」



1.
秋本は私の目の前に手を出すと、
「鍵貸して」
と、言った。
「鍵?」
「部室の」
「嫌」
私は即答。

秋本は少しムッとすると、
「どーしてだよー」
と、言った。
「だって、鍵、1つしかないもん!!秋本、前、かぎ開けっぱなしだったでしょ!?
私が怒られたんだから!」
「いーじゃん!!大事なもんが置いてあるんだよ!」
「じゃぁ、部室なんかに、忘れるな!!」
「今、必要なの!」
「やだ!貸さない」
フンっとばかりに、私は、そっぽを向いた。



「貸してよ。貸さないと、また、キスするよ?」
半分脅しに近い言葉(しかし、顔はマジ)に、私は、
鞄を素早く開けて鍵を取り出すと、秋本に渡した。



2.
秋本が、勝利の笑みを浮かべる。
「そ〜やって、はじめから渡せば良いじゃん」
「ぐっ…」

私は、かなり、くやしかった。
私は、コイツに、振りまわされている様な気がして、ムカツイテいるのだ。

秋本は、私の顔を見ると、
「そんなに、開けっ放しにされたくなけりゃ、一緒についてきたら?」
と、言う。
「へ?」
「部室に」
「あ〜、そっか!」

そりゃそうか…。
私がそう思った瞬間、
「じゃぁ、行きますか」
と、秋本が手を差し出した。

私は、その手を、叩いて払うと、
「近寄んないでよ!」
と、言う。

秋本は、そんな私を見て、嬉しそうに笑った。




どうして、そこで、笑えるのよ…。
バカにされてるみたいで…
ムカツク…!!




3.
部室について、数分も、探さないうちに、
「あれ?ないなぁ」
と、秋本が呟く。

「あったの?」
「ない…。諦めるか」
「はやっ!!ってか、ちゃんと、探しなよ!!せっかく、付いてきてあげたのにぃ!!」

一体、なんなのよ!!

「ないもんはないよ」
「バカ!!大事なものなんでしょ!そ〜ゆ〜もんは、早く諦めちゃダメなの!!!」
私は一喝してため息をついてから、
「ほら、一緒に探してあげるから」
と、言った。
「…」
「えっと…一体何だったっけ?」
私が探し始めると、秋本が動かなくなった。


「あのさ」
「何よ!!ちゃんと、探しなさいよ」
「大事なものって嘘なんだ」



…。



「はぁ!?」
私は思いっきり不機嫌な顔をした。

「秋本!!ふざけてんの!?なら、怒るよ!!」
「もう、怒ってるじゃん。ちゃんと…」
「そりゃそうだ!!」

秋本は、私の顔を見ると、
「分かってないみたいだから、ちゃんと、言っておこうと思ってね」
と言う。
「はい?」



真剣な顔で…。



4.
妙に緊張する。

ドキドキするんだよぉぉおお!!
別に、惚れた晴れたではなく…。


…たぶん。


「俺は、ミキちゃんが、本気で好きだよ」
秋本は、そう言う。
「…」
「ミキちゃん。信じてないでしょ?」
「好き…って、アンタ、私に惚れてるってこと?」
「それ以外に意味ある?」
「…からかってるんでしょ?」
「いや、全く。不本意ながら、本気で…」
「『不本意』…って何よ…」
私は不機嫌な声で言った。

「いや、だって…今まで付き合った子は、ミキちゃんみたいに、
強暴じゃないし、俺が何か言っても文句いわないし、俺にベタぼれって感じで…」
「何それ?文句言ってんの?あてつけ?それとも、自慢?」
私が腕を組んでそう言うと、

「違うって…」

と、秋本は呟いた。

そして、息を吸いこんだと思うと、
「今までの誰よりも、本気で好きなんだよ!!付き合ってくれ」
と、言った。
「嫌」
私は、顔をそむけ、即答。
「ふふ…。随分即答だね」

「嫌なもんは、嫌なんだもん」
そうは言ってはいたけど、心臓は破裂しそうなほど、ドキドキしている。


ドキドキドキドキドキ…。


心臓の音。
止まれ!!
いや…死ぬか…。

静まれ!!



5.
「ふ〜〜ん」
秋本が近寄ってくる。

私は、とっさに身を引くと、
「な、なによ」
と、言った。

ドキドキしているのを、バレないように、低い声で不機嫌そうに。



「赤くなるの、それ、クセ?」
秋本はそう言うと、微笑んだ。

私は、顔に手を当てる。
スゴク…熱い…!!

「げっ…」
「目を合わせないのも?」

次々と、痛いところを付いてくる。


「うぐぐ…」
「こっち、見て」
秋本が言う。
「ヤ…」
「ミキちゃん…」


1歩1歩。
近づいてくる。


私は絶えられなくなると、手を上げて、
「あ、私、資料取りにいかなかればならなかったのデス。それでは、また…」
と、言うと、走り出した。



「俺、本気だからね」
秋本の横を通りすぎる瞬間。
秋本は、私の耳にそう呟いた。

本気な声で。



6.
私は、秋本が、大嫌いだった。

でも、今は、
ドキドキが止まらん。



…奴は、『告白』なんぞ、してきやがった。



これって、両思い?
…って、ちが〜〜〜う!!

嫌だ。
嫌だ…。
嫌だ嫌だ!!!

秋本と、両思いだなんて、私は、認めない!!


私は赤くなる顔を押さえて、廊下を走っていた。



7.
その頃の、秋本。
「動揺してたなぁ」
そう言って、クスっと、笑っていたのだった。



つづく