私が勤務する会社では、新人研修最終日に「1年後の私へ」といった非常に有り勝ちな手紙を書かされる。「有り勝ちだなぁ・・・」と思いつつも、勤務拾年選手のように「長い研修だったわ。フッ・・・。」なんて思いながら便箋一枚にびっしりと書いてしまう私である。
入社する少し前、実家の近所のダイエーの書店で、元風俗嬢のエッセイを買った。風俗嬢というのは一般のO Lと比較すると比べ物にならない様な高給とりであるが、やはり其れに見合う様な仕事をしている。体力仕事であるし、プライベートでは会話も御免という様な叔父様方のしょぼくれた息子を相手にしたりしなければならない。夏場に不潔極まりない男性を相手する事も屡。しかし、此の仕事を選択したのは自分な訳である。誰にも文句は言えないし、拒否する権利は無い。時間と自分を売って御金を戴いている訳ですから。
このエッセイを読んで一つの信念が私の心に芽生えた。嫌な仕事、厭な上司、厭な先輩、此の先仕事を続けて行く上で様々な事が起こるだろうけど、全ての事を笑顔でこなそう、そう思ったのである。どうせやらなきゃいけない仕事、どうせやるなら楽しんでやったほうが弐倍御得という感じがしないだろうか。嫌な事も笑顔で、失敗しても「よぅぉ〜し、も壱回頑張っちゃおっかなぁ〜」位の気持ちで取り組んだほうが、クヨクヨ人生を過ごして行くより数倍良い人生が送れるのではないだろうか。
そんな訳で、「1年後の私へ」には仕事を笑顔で楽しむことと、其の時交際していた男性に「お前の作った白味噌の御味噌汁が旨い」と言われたこと、其の人と1年後も楽しくやっていて、もしかして苗字が変わってたり?!なんてことも書いた。
それから1年の歳月が経ち、手紙の事などすっかり忘れていたが、悪夢は忘れた頃にやって来る物で、とある研修の場でこの手紙が返還された。開けてびっくり、味噌汁が旨いなんてぶっこいていた男とは当の昔に別れ、その後転々とした挙句に別の男性と交際をしている自分が居る事、苗字なんて生まれた時のままだし。むぅ〜、調子こいてこんな事を書かねば良かった、なんて思ってしまった。が、壱つだけ、「仕事を笑顔で楽しむこと」だけは未だに変わっていない。初心貫徹、まさに此の事。これからも適度に力をいれて仕事しようと、遠い近くを見ながら(ナースのお仕事4なんだけど)思う訳である。