ストーリー
信州の巨人と言われた犬神佐兵衛翁が遂にこの世を去った。そして後に残ったのは物議をかもす遺言状であった。その中身とは野々宮珠世がすべての決定権を握ると言う内容の物であった。この遺言状に異を唱える犬神家の一族の間に血生臭い殺人が行われてゆく。斧、琴、菊、良き事を聴くとゆう祝いの言葉がかつての因縁の如く呪いの言葉として利用されようとしていた。遺言状に只ならぬ不安を感じた犬神家の顧問弁護士である若林は金田一耕助に調査を依頼する。しかし、時既に遅し、既に殺人は開始されていた。金田一は落ち合うはずの旅館で死体となった若林と面会してしまうのだった。雇い主を失った金田一は古舘と言う弁護士から改めて調査を依頼される事になった。これから始まる恐ろしい事件に金田一は立ち向かっていくのだった。
犬神家の一族について
市川監督の記念すべく金田一映画シリーズの一作目。小説版も読み終えての感想はほとんど内容は一緒で違和感無く読めた。大きく違っていた点は、琴の師匠で原作では彼女の正体は○沼○乃だったのは驚きました。これまで映画版しか見てこなかったので、この展開にはビックリ。宮川香琴と言う名があるのだが映画版では名も無きお琴の師匠さんでした。今更ながら何故この設定を変えてしまったのか不思議。2時間半とゆう制限の為削られてしまったんでしょうかねー。あとは猿蔵が映画では無口なのに原作では驚くほど喋ってました。猿象と言えば名台詞の「今度やったら殺す」とラストの「あの人の事、忘れられない」のたった二言にインパクトがありました。そういえば犬神佐兵衛翁を演じてたのが三國連太郎さんだった事を知ったのが最近の事で以外でした。この映画に限らず他の市川版金田一も必ず笑わせてくれる箇所があったりほのぼのとさせてくれる場面があったりで楽しいです。梅子役の草笛さんが橘警部と言い争うシーン等や金田一とお春のほのぼの会話等が典型です。
終わってみると一連の事件は佐清が戦争から帰ってきて真っ直ぐ犬神家へ帰っていれば起きなかったと思われる。佐兵衛翁は玉世と佐清が相思相愛である事を知ってる上で遺言状に策を施している。それは犬神家の全財産は玉世に譲られる。しかし、条件が付いており犬神家の3佐の中から一人、夫となる男を選ばなければならない。当然玉世は佐清を間違いなく選ぶ筈なので無事に相続は終わっていた筈だった。ただ、佐兵衛翁のゆういつの失敗は青沼静馬の存在で、まさか彼が偽佐清になって潜り込んで来るとは計算に無かったろうと思われる。しかし静馬は佐兵衛翁の直系の息子に当たるので遺言でもまったくは無視されてはいない。微妙な立場であった事が覗える。事件の特徴は真犯人が殺人を犯し、その犯人をかばう者が影ながら後始末をしている。ネタバレのようになってしまうがこの映画は親子の愛情と言うか絆のような部分を感じる。若林弁護士は別に殺される必要はなかったのではないかと思いました。これも犯人の繊細かつ神経質な性格ゆえに殺さなければならない対象だったんでしょう。あと、殺人に関しては菊畑の生首、有名な逆さま死体は原作と同じなんですが佐智の場合だけはビックリ箱のような見せ方に変えられてます。市川監督は同シリーズで必ず原作の殺人にプラスアルファーをしているのが特徴で悪魔の手毬歌での文子の殺し方にも工夫を施しており、獄門島の冑の下のキリギリスにも細工してます。でも、個人的にこれらの良い意味での変更は大歓迎です。市川金田一の凄みはこの残酷さが売りの一つになってるとも言えると思います。