この子の七つのお祝いに
許してね、れい子、、、
ストーリー
ある古びたアパートに母と娘が暮らしていた。
貧しい暮らしをし、寒い生活を送るその親子、、、。母、真弓は自分達を捨て他の女の下に走った夫への復讐の為に毎日毎晩、娘・マヤに「お父さんを憎みなさい、もしお母さんが死んだら、お父さんを探し出してきっと復讐してね」と言う恨みの言葉を心に植え付けさせ、マヤの7歳の誕生日に自ら頚動脈、手首を切り自殺した、、、。
それから数十年後、マンションの1室で鋭い刃物によって引き裂かれた女性の死体が発見された。
被害者の女は青峨(せいが)と呼ばれる女占い師と関わりを持っており、青峨の秘密を知ってしまった為に暗殺されたとの観方をされていた。
事件に興味を持ったオモタと言うルポライターは、往来(ゆき)と言う小さいバーに立ち寄る。
オモタは始めて見たバーの女マスター・雪子に一目惚れをしてゆくのだった、、、。
やがて事件の手掛かりを掴んだオモタは、その現地に赴こうとするが後輩の須藤に「危険です、被害者の女は青峨の秘密を知った為に殺されたんです。もし、オモタさんが秘密を知った事を知れば、今度はオモタさんが命の危険にさらされる」と引き留められるが、それでも強行するオモタであった。
数日後、自宅のマンションでオモタの死体が発見された。
癌を患っていたオモタは、その苦痛ゆえに自ら自殺したのだとの見方がされていた。
後輩・須藤は「オモタは秘密を知った為に殺されたのだ」と疑いを持ち、オモタの後任としてルポライターを務める事になったのだった。
須藤はオモタが秘密を知った現地へと赴き、そこで新たな真相を知る事になる。
青峨と言う女は偽占いしであると同時に、実は青峨を操る謎の人物の存在が浮かび上がってきた。
その人物の名は「マヤ」と言い、手形占いをさせれば百発百中の天才的な女性である事が判った。
須藤はマヤと言う人物の過去を知る1人の女性の下に赴く。その女性はマヤの母・真弓が自殺をする前に後を託した人物であった。
その女性は、真弓、マヤ2人の過去を須藤に語る「マヤちゃんは学生の頃から手形に対して異常なほどの執着を示していました。マヤちゃんは母と自分を不幸のどん底に陥れた父の手形を持って、その手形に似た人物を探し出すんだと言ってました」と聞かされる。
そして女性は須藤にマヤの学生時代の写真を見せる。
須藤の心に衝撃が走る、、、。写真の女性はバーのママ・雪子であった。
この子の七つのお祝いにについて
この映画、初めて観た時は金田一シーリーズなのかと思っていた。
話の展開的には金田一耕助が出てきてもおかしく無さそうである。金田一とも言えないが、それらしい役を根津甚八が演じている。
序盤の方では警部の役に今は亡き室田日出男さんが演じてます。
この映画が作られた時期が、あの鹿賀版「悪霊島」と近いのもポイントの1つ。
注目はやはり真弓役の岸田今日子さん、マヤ役の岩下志麻さんだろう。岸田さんって若い頃は「お嬢様」系の女優だったと言うのを知ってる人はどのぐらい居るのだろう(笑)
今思うと、この「子のこの七つのお祝いに」から岸田今日子さんの今の演技が確立されたといっても良いんじゃないかと思う。
不思議とこの映画のリメイク版と言うのを聞いた事も観た事も無いが、おそらく真弓役を誰がやっても岸田さんには敵わないだろうと思う。それだけ象徴的な存在と言える。
岩下志麻さんは、さすがに美人でした。
狂ったマヤの姿が「悪霊島」の巴御寮人とダブりました。この作品以降「極道の妻達」のイメージが焼きついてくるんじゃないでしょうか。
どこかのHPで岩下志麻さんは悲劇的な過去を持つ女性役が抜群に似合っていると書かれてたんですが、確かに自分もそう思います。
岩下さんは現在はもう還暦を過ぎてると思うんですが、この映画は82年度の作品なので単純に計算しても40近いと言う事に、、、全然40近くには見えない所が凄い。

金田一映画のほとんどが、昔TBSの夜9時から放送してた荻さんの「月曜ロードショウ」でやってたんですが、この映画も2〜3回見た記憶があります。不思議な事に御寮人が今観たい映画のほとんどが月曜ロードショウでやってたりします(笑)例えば悪霊島、少林寺36房とか。
ストーリーについてはとにかく怖いです。
自分を捨てた夫への復讐の為に娘を使うと言った所がこの映画の怖い所です。ましてや小さい頃から「お父さんを恨みなさい、憎みなさい、仕返しをしてね」なんて事を耳元で囁かれたらどんな風に成長してゆくのか?
現実問題として本当にありそうな話ではないだろうか。
しかも娘の誕生日に、これほどの物はないだろうと言うようなプレゼントを贈る。それは「母の自殺」である。
はっきり言って怖すぎますな。「この子の七つのお祝いに」と言うタイトルは名タイトルと言えるかも。

後半に話が進んでいくに従って、段々と「真弓」というキャラに同情したくなってくる場面もあり、一概に真弓が全て悪いとも思えなくなってくる。捨てる男、捨てられる女のリアリティーがよく表現されているのではないかと思います。


金田一の部屋へ
真弓とマヤ
先輩と後輩