『危ない恋愛!?』 第4弾『危ないバイト!?』




0.

「優」


「なんですか?」
「何か欲しいものとか、ある?」


私は、朝食のパンを、ほおばりながら言った。

朝の三嶋家。
食卓には、私と一輝。そして、優がいた。

「欲しいもの…ですか?」
「そう」


「そりゃ、奈美だろ」


優が言う前に、一輝が口を挟んだ。
一輝は、何故か満足そうな表情をしている。

「か、一輝〜〜!!!何言ってるのよ?ばかっ!」

兄のクセに、少し危ない発言をする奴だ…。
しかも、知っているみたい…ね。

私は、つい周りを見渡した。
丁度、メイドさんは、調理場に食器を下げに行っていて、誰もいなくて、一安心。

「何でだよ?未来のだんな様に向って、そんな事言って良いと思ってるのか?」
「何が、『未来のだんな様』よ!バカ教師!フミ先生にばらすよ!?」
「奈美〜!いつから、そんな口をきく子になったんだよ?」
兄妹ケンカの勃発。

ケンカもするけど、一輝とは仲の良い兄妹。
一輝は、私のこと好きだし、私も一輝の事は、大好き!
兄妹としてだけどね。

…と、フミ先生というのは、一輝の恋人。
本名、井上 典子(フミコ)。
最近、付き合い出した。
フミ先生は、古典担当の先生なのよ。
美人で、優しい。
一輝が選ぶのも、無理無いか。
二人は、秘密で付き合っている。
だって、母に知れたら、大変。
その点では、私もね。


母は、「私の婿が見つからなかった時の、策」として、一輝を婿候補にしたんだから…。


1.
それより…今は…


「ね〜!優ってば!」


「欲しいものは特に無いですけど…」
「けど?」
「強いて言うなら、奈美さんがもうちょっと、面倒をかけない子になってくれれば…」
「なっ!?面倒!?いつかけたのよ!?」

「もう、お忘れですか?昨日、一輝さんと、遊園地に遊びに行ったのは良いけど、
迷子になったのはドコのどなたですか?」

「あ、あれはね〜…人ごみで…」

「あれは、ビックリしたよな〜?隣に居ると思ったら居ないんだから。
それから、ウサギに連れられて…」

一輝は、そう言うと、笑い出した。

「ウサギの人にも面倒かけて…。可哀想に…。まだ、ありますよ?…」
「あぁっ!もう、良いわよ!!」


「そうですか?」
優は、そう言うと微笑んだ。


「う〜〜〜」


くそぅ。
話しが違う方向に…。

「早くして下さい。お二人とも、遅刻しますよ?」


「はいはい」
私は、重い腰を上げた。


「『はい』は…」
優の鋭いというか、毎度毎度の、チェックが入る。


「1回ね!はい!」


そう言うと、3人で家を出た。




2.
一輝は、産休の担任の代わりに、私の高校に来たのだが、妙に人気が出たため、
採用になった。
普通の公立高校じゃあ、こんな事、起こらないけど、さすが私立!!
って、思ったけど、やはり、『三嶋家』って名前が聞いてるみたい。
多額の寄付金も出してるしね。

まぁ、一輝の授業は、本当に分かりやすいけど。

それにしても…
一輝が、来てからというもの、優と2人で、居る時間が減る減る…。
行きは、3人だし、それに、一輝ってば優を私と兼用(?)ボディ〜ガ〜ド兼世話役
にするって言うし…。

最悪。

優と一輝は、何やら良く話してるみたいだし!

あ〜ぁ、そんな事にヤキモチ。


も、もしかして…


私とフミ先生はフェイク!?
で…一輝と優ができてたりして…。

「そんなの。嫌過ぎる!!」

私は、つい、声に出していた。

「なにがですか?」
優が聞いてくる。


「へ?…あっ!!ちがうのよ〜?あはは!」


私は、とにかく、笑って誤魔化した。



あぁ〜…絶対そんなこと無いわよ!!
優に限って!!


それより…


来週の日曜は優の誕生日なのよ。
しかも、恋人になってから、初めての優の誕生日。

今日が月曜だから…今日入れて、14日。

あぁ。
何か、あげたいなぁ。
やっぱり、おこずかいからじゃ、ダメよね…。

ってことは、やっぱり…
自分で稼ぐしか無いか!!

とにかく、稼いでから何あげるか考えよう。

私は、小さく微笑んだ。



3.
夜になると、私は自分の部屋に戻っていた。
優と一緒に。

いつものように、キスをする。
と、優がそのまま抱きしめてきた。
そして、首筋にキスをされた。


「…んっ…ねぇ、優〜」
「なんですか?」


今日は、めずらしく、優のほうから誘って来て居た。
いつも、私のほうから『しよう』と、言う。

優はそんなこと言わないけど、
したいときは、そのまま、抱きしめてきて体中にキスをしてきたりする。

「あ、あの、今日は、ナシで」
「え?生理じゃないですよね?」
「ちっ、違うわよ!今日は〜、えっと、チョット調子が…ね?」


「そうですか?」
優が、疑わしげな目で見てくる。


いつもは、私は優から誘ってきた時は断らない。
とくに、生理が終わった時などは、優から誘ってくる。

なんだか、あんまりよくない空気が流れる。

「優〜!」
ふいに、優の部屋から、一輝の声がした。

「あ、ほら!一輝が呼んでるよ?優」
「じゃぁ、ちょっと、行ってきます」

「あっ!えっと、もう、寝るわ。私」

「そうですか?こんなに早く寝るなんて珍しいですね」
「とにかく、眠いのよ!じゃあね!おやすみ!」
私は、優を部屋から追い出すと、ドアの前に机やら、椅子やらを置いた。



4.
「よっし!行きますか!」
私は、ベッドの下に隠し持っていた、ロ〜プを、窓からつるして下に降りた。

いつもの如く、上手く抜け出せる。
なんだか、どんどん、運動神経が発達してきてるような気が…。




夜の町に出る。
「そ〜いや…バイトってどうやって見つけるのかなぁ?」
私は、とにかく、色々見て回った。

「ね〜、君」
「ん?私?」
振り向くと、黒いス〜ツの男の人が立っていた。
「そうそう。お金欲しく無い?」
「そりゃ、欲しいわよ」
「い〜バイトあるんだ」
「本当!?」
私は、その人の服を掴んだ。

「一緒に来て」

ラッキ〜!
バイトって、こうやって見つかるものなのね。
結構、簡単じゃない!

「何歳?」
「えっと〜…18…かな?」
本当は、16だけど。
でも、こんな時間に…ねぇ〜…。
私も、ソレくらいは頭、回るわよ?

「良かった」
「へ?」
「18以上でないとね」
「そ…そうなの」

良かった!
ウソも方便ってやつ?
いや、意味違ったかな?

まぁ、い〜や!
何より、なんとか、バイトが見つかったんだから。

「これくらいの時間からでもい〜の?」
「良いよ。コレからって時だから。門限とかは?」
「あ…ある…かな?一応」
「それでも、大丈夫だよ。しかも、ちゃんと、アリバイ対策までするんだ。うちは」
「へ〜?そうなの。凄いわね」
「送迎付だしね」
「へ〜!…で、どんな仕事なの?」
「接客。あ、ここだよ」


5.
そう言って、指差されたのは、なんだか、明るいライトだらけの店。

裏に連れて行かれて、オ〜ナ〜らしき人に挨拶する。
「よ、よろしくお願いします」
「そんなに、緊張しなくてもイ〜ヨ」
「はい」
「今日からいけるの?」
「あ、あの、2週間だけってダメですか?」
「全然、い〜よ。続けたくなったら続けて」
オ〜ナ〜はニッコリ微笑んだ。

あぁ、なんだかいい人そう。
本当、ラッキ〜。
優の誕生日までだから、頑張ろう!っと。

「アリサ」
オ〜ナ〜が、立ちあがって誰かを呼んだ。
「??」

走ってやってきたのは…
下着姿の女の子だった。
しかも、ナイスバディ〜ってやつ…?

「!?」
「なんですか〜?」
「新しい子。色々教えてあげて」
「は〜い」
アリサさんは、私の腕を取ると、グイグイ奥に引っ張って行った。


「え?え〜?」
一体何!?
「名前は?」
「奈…奈美です」
「そりゃ、本当の名前?」
「そう…です」
「じゃぁ、何か考えないとね?」
「へ?」
「仕事内容は聞いた?」
「へ?接客って…」

「あぁ〜!また、そんなことしか言ってないのね。あのバカは!!!」

「え?」
「ここはね!接客は接客でも、風俗店。本番ナシのね」
「ほ、本番!?」
「奈美ちゃん、もしかして、バ〜ジン?いや、違うか…」
「何で、分かるんですか?」
「首!」
「へ?」
「キスマ〜クついてるわよ〜?」

「えっ!?」
私は、ばっと首を手で覆った。

「い〜わよ〜!それくらい。でも、あんまり、目立たない様にね」
アリサさんは、ニッコリ笑った。

「はぁ…そ、それより、風俗って…一体…なにするんですか?」
「う〜ん…とにかく、簡単に言うと、手とか使って気持ち良くさしてあげるのよ」
「へ??」
「口でしたことある?」

「な、ないですっ」

「そ〜ゆのも、してもらわないと困るのよ」
「は!?」
「まぁ、基礎だけならたたきこんであげるから」
「はぁ…」

な、なんだか…
今更ながら、凄い店なんじゃ…。

「でも、時給は、良いから頑張りなさい」
アリサさんは、ニッコリ微笑んだ。
「はい」

そうよね。
短期間だし。
練習にもなって良いかも。

って…これじゃあ、ますますバレないようにしなきゃ!



6.
とにかく、1日目は色々教えてもらった。
頭が混乱…。
だって…、あんなことやこんなことや…

は、恥ずかしい!!

で、体力要るわよ。
これ。
普通にHするより…。

それでも、最後には、すぐお客様が付いた。
「ユウで〜す」
言われたとおり、ニッコリ笑って、お客様を見る。

名前は、ユウにしたの。
もちろん優からとったのよ?

「新人なんですよぉ」
「そうなの?」
「そうです。よろしくおねがいします」
そう言って、またニッコリ微笑む。

始めのお客様は、40くらいで、さっきから、鼻の下伸ばしすぎ…。
小さな一室に連れて行って、もう、すぐにズボンを脱ぎ始めた。

うう…。やっぱり、直視はできないわ…。



7.
それから、3時間ほどして、私は家の近くまで送ってもらっていた。
「じゃあ、明日もね?頑張ってね」
同乗していた、アリサさんが言った。

「どうも」
私は、小さく頭を下げると、家まで走った。

あぁ。時間は1時。
こんな時間に帰るのは、はじめてよ。

そ〜っと、また部屋に戻る。
と、同時に、私はそのまま眠ってしまった。



8.
「奈美さん!」

「へ!?あぁ…いらっしゃ………ん!?」
目の前に、優の顔があって、驚いた。
夢でもなんだか、バイトの夢を見てしまった。
それほど、強く印象に残ったのだ。

「どうしたんですか?服のまま寝て」
「へっ!?…あぁ…」
あのまま、寝ちゃったのね…。

「いや、しんどかったから…」
「でも、お風呂には入ったんでしょう?」
「へ?」
「石鹸の匂いがしてますよ」
「う…うん!そうなの!」
優は、少し疑わしげに私を見た後、

「朝食ですから、早く用意して下さい」
と、言った。
「はい」

どうにか…ばれてはない…わよね?



9.
授業中も、私はコックリコックリと、寝ていた。
ポカポカお日様の当たる窓際。
寝るのには最適…。
今日もバイトだし…。


「三嶋さん!!」
名前を急に呼ばれて、立ちあがる。


「えっ!?あの…どこからですか?」
英語の教科書をばっと掴んで立ちあがる。
「何言ってるんだ?寝てるから、注意しただけだぞ?それに、今は、数学!」
「あぁっ!!す、すいません」
教室の中で、くすくす笑い声が聞こえる。

う〜〜!!
恥ずかしいじゃない!
も〜!!
私のイメ〜ジぶち壊しよ!!

せっかく、学校では猫をかぶりまくってるのに…。



10.
それから、そんな日が続いた。
仕事も慣れれば、結構楽しい。
本当、良い練習にもなるし。

優とは、Hしてない。
誕生日に、ド〜〜ン!とね。

それまで、温存温存っと。



11.
そして、優の誕生日前日。

「おはようございます」
今日で仕事も終わり。
私は、いつもより、笑顔2倍増しだった。


「ユウちゃん。新しいお客様だよ。優ちゃん指名」
バイトの男のスタッフが言う。

「へ?指名…?」

「ユウちゃんも、指名されるまでになったか…。惜しいなぁ。今日で終わりなんて」
「あはは。そんなぁ」
私は、笑って言った。
やっと、スタッフともなじめてきたところだ。
ここは、猫かぶらなくて、楽だ。
学校より。

しかし、続ける気は…ない。

今日でやめるの。
そりゃ、キライじゃないけど、続けたいとも思わない。
そして何より、ただでさえも、優が最近不信がっているので、
これ以上続けるわけにはいかないのだ。



「ユウで〜す」
私は、小さな一室に入ると、笑顔でそう言った。



…が。
私は、この後、私の笑顔は消えることになる。




そこに居たのは、見なれた顔の優だったのだから。



12.
「ゆ、ゆ、優〜〜?」
「奈美さん!」
「何やって…」
「それは、こっちの台詞です!!!」
優は、怒りのためか、顔が青ざめている。


「…優だって…こんな所に来てるの?普段」
「そんなわけないでしょう?奈美さんの後を追っただけですよ!!」

気まずい…。
気まずいぞ〜〜!!

そして、こんなところでも怒られているなんて、なんだか情けない…。

「全く…。何やってるんですか!」
「だ、だって…」
「だっても何もありません!!!」
私が言い訳をし様とすると、そう遮られた。


聞いたくせに〜〜!


「そ、そんなに、怒んないでよ〜〜〜」
「これが、怒らないでいられるとお思いですか!?」
「思わないわよ」
「だったら!」
「分かってる。ゴメン。謝るよ。ごめんなさい!」
「謝って許せるなら、こんなに怒りません!!」

「じゃぁ、ど〜しろって言うのよ〜〜?」
「そ〜ゆ〜態度がいけないんです!反省の色なしです!!」
「反省してるわよ〜!本当に!!ゴメンって。ゴメン」
私は、何故か優に謝りつづけた。
優は、まだ、怒っている。



13.
謝りつづけても、優は反応を見せないので、私は、優の顔色をじっとうかがった。
「ゆ、優…?」

そう言葉を発すると同時に、目の前の景色が変わる。

押し倒されて、背中を打ったみたい…で、痛かった。
「いたっ!何するのよ!?優のバカっ!」
「まだ、分かって無いんですか?」
いつもの、何倍も冷たい声。
突き放された気分になる。

いきなり、下着越しに触られる。
「ひゃぁっ!」

そ〜いえば…今の格好は、ここで、貸してくれるエロ〜〜イ下着だけ。

「こんな格好してるから…ほら、濡れてるのが透けて見えますよ?」
完全に力で押さえこまれて、身動きが取れない。

「な、何言って…んっ、やだぁっ!」

その部分に視線があることを感じないわけにはいかなかった。
下着越しだとは言え、じっと見られるのは、凄く恥ずかしい。
「んっ!何っ…見てんのよ!?」
「私以外にも、こんな格好見せたんですよね?」

優の目は、完全に『目がすわっている』という、状態。
そんなこと今まで無かった。

優は、いつでも、私に優しいのに…。
もちろん、Hのときも。

「ちがっ…!何、言ってるのよ?ねぇっ、優っ!?やだっ…ちょっ、やめて…」
「駄目です」
そう言うと、いつもより乱暴に指を挿し入れてきた。


「ふぁっ…んぐっ!」
「今回は悪ふざけが過ぎます」


「ふ…っ…」
くちゅくちゅ、と音が響く。
自分でも、もう、溢れてくるのが分かる。

一方的にされるのは…嫌なのに…。
もっと、もっと、幸せに繋がりたいのに…。
それなのに、こんな風にされるのは…嫌じゃない。

むしろ、普段より感じてる…かも。

「どこが、どう違うんですか?こんな所で働いてたのは事実でしょう?」
「うっ…だっ、…って、んっ…!ちょっとぉ、やだっ…んっ!やめてっ…て、人の話も」

「聞きませんよ。言い訳でしかないですからね」
「ばかっ…優…!ちょっ…やめないと、怒るよ!」

私と優の主従関係。
普段は、私のほうが、「主」いわば、雇い主なのだ。

「どうぞご自由に」
そう、冷淡に言い放った。



優は分かっているのだろう。
私が怒ったところで、私が優をクビにはしないことを。

優は、表情を全く崩さない。
それどころか、冷静過ぎて、コワイくらい…。
…だから、私は、優が本当に怒っているのだということにすぐ気がついたのだ。



「ぐぅっ…!」
「今は、私のほうが怒ってます」

優はそう言うと、自身を押し当ててきた。
異物感がいっそう大きくなる。

「いたぁっ!くぅっ…!」
私は、つい腰をひいてしまったが、優はそれを許してはくれない。
「駄目ですよ」
そう言うと、腰を持って、一気に突き上げてきた。

「優、やだっ……んっ!」
「奈美さん」


「やんっ…あっ……くっ…っ」
頭が真っ白になる。


「はぁぁああああっ………!」
私は、一瞬ビクッと、体をふるわした。


あぁ…イったのね。




14.
「奈美さん?」
目の前に優の顔。

いつもの、顔に戻っていて、少し安心した。
「ふ…?ん?優…って!?ちょっ!?な、何してるのよ〜!?」
優はまた、指を挿しいれてきていた。
せっかく、冷めかけてたのに…、また、さっきの感覚がよみがえる。

「あっ…やだっ…」
「さっきは…中で出してしまいましたからね」
そう言って、内部で指がうごめく。

「…だから…って…やっ…だ。あっ……」
「おや?感じてるんですか?」
少し笑って、意地悪く聞いてくる。
「ちがっ…!!んっ…優…」
私は、優にギュっとしがみついた。

ドロっと、中から液体が出る感じがする。




15.
私は、優に連れられて歩いていた。
「どうして、あんなところでバイトなんて?おこずかいなら、
ちゃんと貰ってるでしょう?」

「優の…ね…、誕生日…プレゼントを…さ」

「私の!?」
「そう」

「何言ってるんですかっ!!」
優が急に怒鳴った。

「私は…そんなものより、あんなところでバイトして、他の男に、
奈美さんを見られるほうが嫌です」


それって、やきもちだよねぇ〜??

少し…いや、凄く嬉しい。

「私は、奈美さんが居てくれるだけで良いんですから…。
もう、2度と…あんなところでバイトするだなんて…考えないで下さい!!」



「ご…ごめんね〜?」
私はそう言うと、優の服の袖を掴んだ。
「は〜…。もう、いいですよ。とにかく早く帰りましょう。続きはそれから」
「まだ、怒るの〜〜!?」
「全然っ!怒り足りません!!」

「ふえ〜ん」

「下手な泣き真似しても、許しませんよ?」
「ちぇっ」
「何が『ちぇっ』ですか!ほら、帰りますよ!!」

「分かったわよ〜!優ってば、怒ると恐いんだも〜ん」
私がそう言うと、優は少し笑った。



16.
「で、結局、そのまま帰ってきたのか?」
時間は、12時少し前。


優と一輝はリビングに居た。


「そうです」
「奈美は?」
「部屋で少し休まれてますよ」
「しっかし、わが妹ながら、ビックリすることするよな〜」
一輝は、そう言って笑った。

「笑い事じゃありませんよ…こっちは、ヒヤヒヤさせられました」

一輝は時計に目をやると、
「あ、もうすぐ、誕生日だな。おめでとう」
と、言った。

「一輝さんに言われても嬉しくありませんね」



「うわっ。冷たい奴だなぁ!!そのうち本性ばれるぞ?」
優は、フッと笑うと席を立った。



「奈美のところか?」
「そうです」
そう言うと、優はリビングを抜けた。




「誕生日プレゼント…か」
一輝は、そう言うと小さく笑った。