シンデレラ。
彼女は、よく知りもしない王子さまの元へ嫁いで。
本当に幸せだったのでしょうか?

もしかしたら、お金に釣られたの?
なんて思ってしまうあたしは、ひねくれものでしょうか。


50万HIT記念作品『蜜柑色のシンデレラ』


1.

「うぁ〜〜〜…」

顔をデスクにくっつけて、唸っているあたしを見て、親友の白石一美は溜息をついた。
あたしは、それにむっとすると、顔をあげる。

「ためいきつかないでくれる?」
「つきたくもなるわよ。ずっとその調子。課長怒ってたよ」
「しょうがないでしょ」

あたしはむくれると、また定位置に顔をもどした。

「健一君に振られたくらいで。もともと不釣合いだったのよね」

一美はぐさっと来ることを、さらっと言う奴だ。

「うぐっ…」

あぁ。
また思い出すと、涙が出てきた。

「泣かないでよ。鬱陶しいなぁ」
「うっとうしい、って漢字で言った!酷い…!!」

更に泣き出したあたしを見て、
一美は痺れを切らすのだった。

悪循環…。

一美は、私の顔に人差し指を向けると、
「しょうがない。私がいい話してやろう!」
と言った。「今度、社長の息子がNYから帰って来るんだって!32歳、独身!」
そんなこと言われても、あたしは、ふーん、としか返せない。

実際関係ないしさぁ…。

「もー!そんなだから、蜜柑は振られるんだよ!」

一美が怒るのも無理は無い。
そして、あたしを振った元彼氏の健一も…。


 あたしの名前は、北村蜜柑。
可愛い娘に、蜜柑なんて名つけた親の気が知れない。
あたしは、一美と同じ飯島商事経理部。
あたしたちの勤める飯島商事は、結構名の知れてる会社。
飯島グループの一端、株式一部上場企業であり一流企業の仲間である。
しかし、その中でも、経理部は女子の溜まり場的存在。
一流企業といえども、上と下じゃ全く関わりないし、格も全然違うわけで…。

そして、先日まで付き合ってた彼氏は、同じ会社の花形とも言える企画・開発部の山崎健一。
あたしたちは、1年も付き合ってたわけで。
でも、あたしは振られたわけで。
その理由と言うのは…。

あたしは健一とHできなかったというだけのことである。

そう、それだけなのよ。
なのに…。