12.
朝の会社前。
でっかい車が一台止まった。
そこから出てくる人物を見るなり、一美が言う。

「ほ、ほら!Jrよ!蜜柑、ちゃんと頭下げなさい!」

そう、車から出てきたのは、ここの会社社長ご子息さま。

飯島明久…。

飯島明久は、野島さんとともに会社のビルに入っていった。

「…いつも偉そうだこと」

あたしは呟いた。
家でも。会社でも。
なんであんな顔してんの?
怖いし。偉そうだし。

「あんたねー…」

一美が溜息交じりに言う。

「あのひと怖いよ。きっと家でもあんな顔してんの。で、もう皺になっちゃってるのよ。あの眉間とこ」

そうよ。
ははは、ざまーみろ!
って何に…?

「そこが格好いいんじゃない」

一美はおかしなことを言う。

「どこが」
「蜜柑、目がおかしいわよ」

それは一美のほうよ!

そう言いたいけど、これ以上言うと何かおかしいと思われそうで。
だからあたしは我慢して言葉を飲み込んだ。

ただですら、秘密をするのが性に合わないのに…。
ホントに辛い。

なんであたしがこんな目に…?

あたしがなにかしましたか?
神様…。