18.


それから数日は何事もなかったように過ぎていった。


飯島明久は、さいきん帰りが更に遅くなってて。
それでも、あたしは飯島明久のことばかり考えて日々を過ごしていた。



飯島明久はあたしを婚約者だと言った。
たぶん、嫌われてはいないと思う。


もしかしたら、飯島明久もあたしのこと…。


なんて勝手な考えが出ては消していた。
一人の時間は、勝手な考えが一人歩きして困るっ!!


本当に恥ずかしいっっ!!
こんなこと考えてるなんて知られたら生きていけないわ…。



「ね、ねぇ野島さん」
「はい?」
あたしはその時、家で仕事をしていた野島さんに話し掛けた。


「飯島明久は、どうしてあたしのこと婚約者だなんて言ったのかな」



返って来たのは、思ってもない答えだった。


「今、会社がいろいろありますからね」



「…え?どういうこと?」


意味がわからない。


その時、タイミングよく飯島明久が帰って来てて。

「野島」

と、低い声で言った。

「す、すみません」
「なによ、さっきの」
「蜜柑には関係無いことだ」

飯島明久は冷たく言い放つ。

それが凄くショックだった。



「な、によ」



「なによ!関係無いって!あたしはっ…!」


あたしは…。
やっぱり。



「蜜柑?」



次の瞬間、あたしは走り出していた。




「蜜柑!?」