2.
「健一のバッキャロー!!ヤらせるだけが愛じゃねぇよ!!」
あたしは、叫んだ。

一人で呑む会社の帰り道。
前は健一と一緒だったのにな…。
そう思うと悲しくなる。

『蜜柑、オレのこと、好きじゃないんだろ』

…そんなわけない。
本当に。
本当に…。

「本当に好きだったのよぅ!!!!」

道端の缶を思いっきり蹴った。
はっきり言って、酔っ払っていたわけで。

次の瞬間に起こることは、あたしにも予想できなかったこと。

「いでっ!!」

突如、そんな声が聞こえた。

「はりゃ?」

足元を見る。
蹴った筈の缶がある。

――なら、なんで痛いなんて…。

と考えた所で、あたしの足元には、あるべきはずのものがない。
右の…靴がなかったのだ。

人の気配がして、恐る恐る前を見ると。
涙目の男の人。

左手で、頭を抑え。
右手にはあたしの…靴。

「ずげぇ痛いんだけど?」

睨まれて。

こわ。もしかして、ヤクザさんとか?
…怖すぎる…。

「す、すみませんでした、すみませんでした、すみませんでしたーー!!」

謝り倒して、方向転換。
のち、逃走。

悪いことには悪いことが重なるのねーーーー!!??

裸足の右足の裏は、凄く冷たかった。
それとか全部ひっくるめて悲しくなった今日この頃。