21. 抱きついてから気付いた。 あたし。 な、なにやってんの?! 「え、えっと。これはっ!」 慌てて手を身体の前で左右に振る。 「蜜柑」 呼ばれた名前が甘い響きを持って。 はじめて自分の名前が「蜜柑」でよかったなぁ、なんて見当はずれなことを考えてしまった。 キスされて。 「んくっ…」 飯島明久があたしの身体を撫でるとあたしは身をよじった。 「やっ…あたしっ」 「お前がこういうこと、凄く嫌がるから、不安になる」 「でも…あたし全然そういうのっ、知らなくて」 「は?」 「だ、だからっ。あたし、全然そういう事。え、エッチとかわかんなくて。 わからないから怖くて。 さ、最後って何されるのかわかんなくて。怖くて」 「…」 飯島明久が口元を手で覆って。 少し考えてから。 「死なないから安心しろ」 「当たり前ですっ!!!」 死んでたまりますかっっっ。 「好きだから。知りたいって思うんだろ、全部」 何この人。 卑怯。卑怯すぎる…。 そうやって、あたしの意思なんてぶち壊していくんだわ。 「よく見ろよ。俺は誰だ?」 「…飯島明久」 「そうだ。ここにいるのは、俺だろ」 「…ん」 「…嫌か?」 「嫌じゃ…ない、です、…んむっ!」 言った瞬間またキスされた。 なによって顔あげると、嬉そうに笑った顔の飯島明久。 どうしてこの人はこう…。 卑怯なタイミングで優しい笑顔で笑ったりするの?![]()
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