3.
 「あははは!!」
次の日。
会社のお昼休みにあたしの話を聞いて爆笑したのは一美。

「で、そのまま片足靴なしで電車乗って帰ったってわけ」

だから、肩が震えてるって!!
あたしだって、凄く恥ずかしかったんだから!!

「うぅぅぅぅ…」

あたしは泣きながら、一美を睨んだ。

「靴忘れるなんてシンデレラじゃあるまいし」
一美は、やっと落ち着くと言う。「ありえないよ」
「う、うるさいなぁ!」
あたしは、言うんじゃなかったと後悔。
「でも、その人が蜜柑の王子さまだったりしてね」
一美は、茶化すように言った。

――それこそ、ありえねぇ…。

それに…。
「本当に怖かったんだから。ヤクザかなんかだよ。あの人」
あたしは続けた。「王子さまって言うのはねぇ、背も高くて格好よくて…優しくて」

「そんな人間いる筈ないでしょ」
一美からのつっこみ。
「知ってる」
あたしは溜息をついて窓の外を見た。

まだ街を歩く人たちは、コートやマフラーをして。
真冬と言う季節を身近に感じさせる。



春は…まだまだだ。