5.
静かな朝。
キレイな薄黄色のカーテンからは光が差し込んで、まるで違う世界にきたみたい。

違う…世界に。

「…」

あたしは、目を覚ますと、周りを見渡した。

――うちじゃ、…ない。

「何処!!??」
あたしは、焦った。

その部屋は凄くキレイで。
ここって、ここって…。

「ホテル〜〜〜!!??」

叫んだ所で、部屋のドアが開いた。
そこには、こぎれいなスーツを着込んだ男の人が一人。

「目覚められましたか?」

って、おい。
おいおいおいおいおいおいおいおい。

どーゆーことだっ!?

「落ち着け自分。落ち着けあたし。これは、夢。夢。ゆめ…」

あたしは、念じるように自分に言い聞かせ始めた。
「夢じゃないですけど」
男の人が冷静に言う。

「っだぁーーー!みなまで言うな!!」

夢であって欲しかった。
というか、夢であって欲しいのよ!!

「どうですか?気分は」
「ま、ま、ま、まさか、あたし、あなたと…」
あたしが黙ってその男を見ると、男は意味を理解したのか、慌てたように、
「滅相もございませんっ!」
と言った。

ほっと一安心。
そうよね、服もきちんと昨日のままだし。
しかし、のちに、疑問が湧く。

「っていうか、あなた誰?なんで…敬語なんて」

そうよ、この男の人。
あたしより、年上…。
なのに、なんで敬語?

そういう風に、使われると、まるで王女様になったようなんですけど。
うん、悪い気はしないけど。
気が引ける。

あたしってば、根っからの小市民なのよ…。

「私は、野島薫といいます」
その男の人は…野島さんは言った。
「カオル…」
女みたいな名前。
あたしがそう考えた時、野島さんは、あたしの考えていることが分かったかのように、
「女みたいですか?」
と、聞いた。

「いや!!そんなことはっ!!いい名前で!」

あたしは返す。
あたしも人のこと言えない名前ですからー…。

そんなあたしを見て、野島さんはにこりと笑った。
あたしは一瞬見とれてしまっていた。

睫、ながっ!!この人、あたしより遙にキレイ…。

「さぁ、行きましょうか」

手を差し出されて。
あたしは、驚いて身構えた。

「何!?」
「待ってますよ」
「はぁ?」

あたしが、聞くまもなく、野島さんはあたしを連れて部屋を出た。