9.
 次の日。
一美が、あたしの顔を見て、驚いた。
「ちょっ!蜜柑、疲れすぎよ。昨日休んだクセに。なに、その顔。すごいクマ…」
頼み込んだあたしを見た野島さんの計らいで、会社にはまだJrとのことは知られていない。
「いや、ちょっとね…」
あたしは苦笑して言った。

そうよ、おちおち寝てられないわよ。
ベッドが広すぎて落ち着かないんだもん。
…あぁ、自分の小市民さってステキ。

まだ野島さんがいてくれるから安心出来るけど。
あんなよくわからん男と二人にされたら死ぬわよ。

あたしの中で、野島さんが理想の王子さまにとても近かったりする。
まるで絵本に出てくる王子さまみたい。
優しい物腰で、身長も高くて。顔キレイで。優しくて、優しくて、優しくて。
…飯島明久とは、大違い。

飯島明久。
怖いし、怖いし、怖いし。
身長はあたしより高いけど、男としては低いほう。
顔も怖いし。

あの眉間の皺がなければ少しマシなんだろうケド…。