『幸せの扉』
第8話『わたしの気持ち』
0.
その日は、静かな静かな夜だった。
「せんせ…」
私は、先生を見る。
先生は、辛そうな顔をすると、
「嫌なんだよ…もう!もう、大事な人を失いたくない。恭子は…君と同じ…精神病だった」
と、言った。
「え…」
私は戸惑っていた。
先生がこんな風に取り乱すところなんて…見たことない…。
「俺は…救えなかった。病室から抜け出した恭子が…」
先生は言いかけて、涙を流す。
「泣かないで…」
私は、先生の涙を手で拭った。
「えっ…?」
先生は少し戸惑っている。
そして、自分の涙を手ですくって見ると、
「俺…何で泣いて…」
と、言った。
「先生…」
私は先生をギュッと抱きしめた。
抱きしめなきゃならないと、思った。
先生が…
いつも、大人な先生が…
小さな子供に見えたから…。
1.
「おかしいね。私達…」
私は少し笑った。
「支えたり支えてもらったり…」
「そうだな…」
先生は静かに相槌を打った。
「先生…?」
「なんだ?」
「ありがとう…」
私は繰り返す。
「助けてくれて、ありがとう」
「俺は何も…」
「なんか…こんな事言うとアレかもしれないけど…先生の涙見て…、スッキリした気分」
「なんだそりゃ」
先生はそう言うと笑った。
「そうとしか、言えないのよ…本当…、スッキリ」
「それは、良かった…」
私達は、顔を見合わせて笑った。
2.
「ビックリしたよ」
先生はポツリと話し出した。
「新井健一…。どこかで、聞いた名前だと思った」
「うん」
「ただの、患者だと思ってた。…まさか、あの事故の犠牲者だったなんて…」
「変な縁だね」
「もう、大丈夫なのか…?」
「え?」
「健ちゃん…のこと…」
「分からない…分からないけど…。なんだか、す〜っと、受けとめられるの。今なら」
今のは本心。
なんでかな…。
受けとめたくなかったこと。
す〜っと…受けとめられる。
これって…
先生となら……?
って…こと…!?
3.
「先生…!」
私は、先生の目を見て大きな声で言った。
「なんだ?」
先生はビックリしたように聞く。
「なんで…Hしたの?」
私がそう聞くと、先生は、余計にビックリした顔になった。
「…ふ、普通聞くか?そういうこと。しかも、ハッキリと」
「むっ…!私は聞くの!」
なんでだろう…
気になる。
気になりすぎて…
こんな恥ずかしいこと、面と向って聞いてしまった私。
「そうだなぁ…」
先生は腕を組んで考えるそぶりをした。
「好き…だからかな。それに、さっき…抱いておかないと…
どっかに、行っちゃいそうだったから…」
面と向って…
ちゃんとした状態で…
先生に『好き』何て言葉言われたもんだから、
私は急に、聞いた事を後悔しつつも、
恥ずかしいような…
嬉しいような……?
気分になっていた。
「…な、なにそれ!?」
「なに…って、『好き』って事」
「は!?だ、誰が!?」
「俺が苺ちゃんを」
先生は、ニッコリして不敵な笑いを浮かべた。
先生は、すっかり、元の状態に戻っている…。
さっき見た先生は幻か…!?
私は下を向くと、自分の手を見ながら、
「先生さ…他の女の人とも、同時進行だし…。なんかそれって…。嫌だ…」
と、言っていた。
「それは…どういう意味?」
先生の嬉しそうな声。
「別に…意味なんて…」
私は顔を上げた。
そこには、不敵な笑いを浮かべた先生…。
目が合うと、もう、目線は離せられない。
「俺のこと、好きになった?」
先生は、笑いを含んだ声で聞いてくる。
「ち、ちがっ…!」
「本当に?」
「うぐっ…」
「………わ、分からない…」
4.
先生の顔が近づいてくる。
私は、ギュっと目を瞑っていた。
「んっ…」
唇に、先生の唇の感触。
フワフワしてくる気持ち…。
始めての…健ちゃんとの…
キスのときみたいな…。
いや…もしかしたら…
あの時より…。
「告白していいか?」
先生は唇を離してからそう言った。
「なにそれ…」
「あのな〜…俺は、恭子を亡くしてから、誰の好きになら無いと思ってた。
恭子が死んでから…心に隙間ができたみたいで…何人もの女と寝たんだ」
先生は続けた。
「でも、君が来て…君が俺を健ちゃんと間違えて、セックスした時があったろ?」
「う…。忘れてよ…」
「忘れられないよ。あの時から、他の女と…誰一人とも、セックスできなくなったんだ。
誘われて、途中までやっても、全然…俺の身体が反応しない」
先生がそう言うと、顔が熱くなってきた。
なんで…!?
先生が…そんな恥ずかしいこと…言うから…。
きっと、そう。
「ちょ、ちょっと、待て…。そんなに、赤くならないでくれよ」
先生は、困った様に言った。
「だ、だ、だって…そんなこと、普通に言わないでよ!!」
「お前が言わせる雰囲気にしたんだろ!?」
「ちがうわよ!!」
私がそう叫ぶと、先生は私の顔をぐっと引き寄せて、また、キスをした。
「んむっ…」
だめだ…。
ぼ〜っと…する。
気持ちいい…。
先生が…慣れてるから…?
私が…先生のこと……
答えが出そうになった時、先生の顔が離れる。
「ふぁっ…」
もうちょっと、していたかった………。
私は、ぼ〜っとした頭でそう考えて、我に返ると、頭を振って、その考えをなくそうとする。
でも…なくならない。
5.
私は自然と、口を開いていた。
「…こんな事いうと…健ちゃん…怒るかな…?」
「何を?」
「先生のキスは…嫌じゃない…」
私がそう言うと、先生は、困ったようなうれしそうな顔で下を向いた。
そして、少しすると、顔を少し赤くして、私の目を見て。
「お前なぁ〜…頼むから、俺を欲情させるようなことを言うな」
と、言う。
「な、な…!そんなことない!」
私は真っ赤になって否定。
「俺は充分反応してるんだけど?」
先生はニヤっと笑った。
「なっ…」
先生は、私の腕を2本とも簡単に掴む。
「ちょ、と、待ってよ!」
「苺ちゃん、残酷…。俺をこのまま放っておくんだ?」
「なにそれ!先生が勝手にっ…!」
先生は、簡単に私の口まで封じこめた。
「んぐっ…」
先生の手が動く。
「先生……だめ…」
「いいでしょ?」
「やだっ」
6.
「好きだから」
先生は不意にそう言った。
私は、その言葉を聞いて、つい脱力してしまう。
先生は、それを見計らう様に、簡単に私の服を脱がせた。
「せんせ……。卑怯…」
私は、恨めしい目で先生を見た。
「俺のこと、好きかどうかわからないんだろ?」
「へっ…?え…あ…うん」
「じゃぁ、簡単にわかる方法で行こうよ」
「なにそれ…」
「分かって聞いてるのか?それ。この状況で他に何するの?」
先生は続けた。
「セックスだよ。決まってるだろ?」
そして、当たり前のことの様にそう言い放ったのであった。
「は!?」
7.
先生の唇が胸に触れる。
「んっ…」
チュっと、音がするくらい、きつく…吸われる。
「あっ…あんっ」
「随分、いい声だね。苺ちゃん」
先生はそう言うと笑う。
私は、真っ赤になって否定しようとした。
「や、やだっ…。ちがっ…!!んっ…!」
しかし、ちゃんと否定する前に、また、刺激を与えられて、身体は簡単に反応してしまう。
先生の唇がどんどん下に移動する。
私はもう、溢れているのを感じていた。
内股は、愛液で、もう濡れている。
「やめっ…嫌っ…」
私は、それに気付いて先生に言う。
「『嫌』?本当に?」
先生はそう言うと、内股に伝っている愛液を指ですくいあげて舐めた。
「あっ…!」
「やめて欲しい?こういう事」
先生は自分の指についている…私の愛液を綺麗に舐めとりながら言った。
身体の中が、ビクっと反応する。
胸がドキドキ言っている。
「………やだっ…やめ……・ないで…」
私は声を振り絞って言う。
しかし、先生は、
「そんなに、小さい声じゃ、聞こえないなぁ」
と、言って嬉しそうに笑った。
私は一呼吸おくと、顔を真っ赤にして、
「…やめないで…」
と、もう1度言う。
「正直でよろしい」
先生はそう言うと、中心に触った。
「あんっ…!」
ピクっと、身体が反応する。
先生はクチュクチュと、わざと音を立てる。
この人は意地悪だ…。
でも…嫌じゃない…。
本当に…私は…先生のこと…?
8.
「せんせい…」
私は先生を呼んでいた。
先生は呼ばれると、返事変わりに、指を入れる。
「ぁん…」
「気持ちいい?」
私の中で先生の指がうごめく。
頭が…まっしろになりそうなほど…
…キモチイイ。
「んっ…はぁ…」
「よさそうな顔、してるね」
先生はそう言うと、また笑った。
「んっ…先生…せんせっ………お願いっ」
私は、先生自身を求めていた。
殆ど無意識に。
「まだだよ?苺ちゃんが、自分で自分の気持ちに気付くまで」
先生は、意地悪くそう言う。
私はもう、気付いている。
私は…
「やぁ…せんせ…」
「俺が欲しい?」
でも…これを言ってしまったら…
かろうじて残っている思考を振り絞って考える。
先生は、指を2本に増やした。
「んっ…あ…・せ…んせ」
「なに?」
先生は顔を寄せる。
もう…
「私…せんせ…いが、…スキ…」
私は、そう言った。
9.
「ありがと」
先生は、そう言って笑うと、簡単にゴムを先生自身に装着させ
ユックリと私の中に侵入してくる。
「んくっ………いたっ」
急に痛みが走る。
「やっぱり、キツイな」
「やっ…せんせ…そんなことばっかり…」
先生は私の髪を優しく撫でた。
そして、一気に入ってくる。
「んんっ!!…」
「動くよ?」
「ちょ、ちょっと…待って…」
「ダメだよ。俺が我慢できない」
先生はそう言うと、私にキスをした。
私は、それに安心していることに気付く。
「んっ…!」
「はっ…・」
「あっ…あっん!…あっ…」
二人の声が混ざる。
息も全てが…混ざって行く。
「やっ…あっ…せんせ!」
「…いきそう?ほら、いいよ」
先生はそう言うと、もう1度深く突き上げてきた。
「あっ……!あぁぁっん!」
私はそれで簡単に絶頂達してしまったのだった。
10.
健ちゃん…。
健ちゃん…ごめんね。
私…
今は、先生が…好き…。
こんな事、言ったら健ちゃんは怒る?
それとも、『いいよ』って…笑ってくれる?
ねぇ…健ちゃん…。
つづく
