『大切なもの』
第4話『3年前』
0. 「もしもし?中塚!元気か?」 三枝は、次の日、昔の親友に電話をかけた。 『あぁ、三枝か…。珍しいな。お前がかけてくるなんて。何か事件か?』 中塚は、某新聞の記者だ。 いつも、『ネタがあれば、クレ!!絶対だぞ!!』 と、言っている。 「なぁ、ちょっと、聞きたいんだけど…」 『何だ?』 「お前、3年前、ここらで起きた「一家殺傷事件」、覚えてるか?」 『覚えてるも何も…。まだ、調査中だよ』 「え!?だって…」 『あの、事件な…ここだけの話、まだ、裏があるぜ?』 「ど、ど〜ゆ〜事だ!!?」 『まだ、調査中の段階だから、何とも言えない。特に、お前にはな』 と言うと、中塚は笑った。 「お前には…って、どーゆー事だ?」 『そのまんまの、意味だよ。じゃぁ、俺は、これから、取材いかなきゃならんから。 何か面白いネタがあったら、教えてくれよな!じゃあ…』 そう言うと、電話は切られた。 「あぁ!ちょっと…!」 と、言ったが、もう、むなしく ≪ツ〜ツ〜≫ という音が響いていた。 「相変わらず、せわしないヤツだ…」 三枝は、受話器に向かって言った。 「今日は、非番だし…。見舞いでも行く…かな」 三枝は、そう言って、自宅を出た。 1. 私は、その時、もう病院にはいなかった。 退院じゃなく、『抜け出した』のだ。 今日は、インタ〜ネットカフェに向かった。 「調べ物」 が、あるからだ。 あの、事件の…。 あの事件を調べ出して、かれこれ、3年になる。 早くしないと…。 裁判で、刑が確定してしまったら、取り返しのつかないことになる。 今は、まだ、否認しているが… いつ、人生に諦めて言ってしまうかも分からない。 だから、私は先を急がなければならないのだ。 私は1つのパソコンの前に座ると、キーボードをたたきはじめた。 2. 三枝は、病院の一室の前で躊躇していた。 そして、1つ大きく咳き込んでから、 「入るぞ」 と、言って部屋に入った。 しかし、そこには、知野の姿は無かった。 「へっ!?」 そうしていると、看護婦さんが後ろを通りかかり、 「あ!村岡さんの知り合いの方ですか!?まだ、安静にしてなきゃいけないのに、 病院から、抜け出したんですよ!?」 「えっ!?」 「加納さんには、もう連絡しましたけど…」 「そ、それで、どこに行ったんですか!?」 「それは、こっちが聞きたいですよ!」 と、看護婦さんは、一喝した。 その勢いに、三枝は戸惑ってしまった。 3. 「ったく、どこに行ったんだ。心配かけすぎだ。アイツは…」 三枝は、病院からの帰り道、車を運転しながら、ブツクサ文句を言っていた。 「とにかく、付近一帯捜してみよう」 と、言うと、三枝は車をいつもより速く走らせた。 4. 「今日も…たいした情報はつかめなかったな…」 私は、2時間後、ガッカリしつつ歩いていた。 すると、携帯が鳴り出した。 着信相手の番号を見ると、コウさんだった。 「もしもし?コウさん?」 『あぁ、そうだよ。今日…どうかな?』 「うん…いいよ」 『良かった。じゃあ、これから、前と同じ喫茶店で』 「うん」 と言うと、私は電話を切った。 5. それから、コウさんと会うと、そのままホテルに直行した。 Hの途中、 私は、コウさんの肩に、傷があることを発見した。 随分、昔の傷みたいだ。 「……どうしたの…?コレ?」 「昔、ちょっとね」 「危ない商売でも、やってるの?」 「確かに、危ないかも」 「えー?」 そう言うと、私はクスクス笑った。 「コウさんって、何やってるの?」 「それは、言えないよ」 コウさんは、笑った。 「大丈夫、私ってば口硬いの」 というと、コウさんにキスをした。 そして、コウさんの全身にキスをして、コウさんのモノにも、小さくキスをした。 「んっ…」 「気持ちイイ?」 「う………うん」 それから、私はソレを口の中に入れて、素早く絶頂までもっていった。 「どう?」 「イ…イクよ…・」 「いいよ」 私は、ニッコリ商売スマイルをした。 私は、その後、 「ね〜?コウさんって何してるの?一体?気になるなぁ」 と、甘えた声を出した。 「う〜ん。教えてあげようか?」 「うん。うん」 「警察」 「えっ!?嘘っ…」 私は、 つい身を乗り出してしまった。 「本当だよ」 この顔は…たぶん、嘘はついていないだろう。 「へ…へぇー。凄いなぁ」 警察官は嫌い。 でも、うまくいけば…あの事件の事だって…わかるかもしれない。 「ヒラ…じゃないよねぇ?」 そう。 ヒラじゃ、給料あんまりないでしょ? こんなことに、金を使えるって事は…。 「一応官僚ってやつだよ」 と、自慢気に言った。 ヤッパリ!! 「へぇ〜!!凄いんだ!」 私は、凄く驚いて見せた。 やった…! こんな、偶然もあるの? 私は、小躍りをしてしまいそうなほど、嬉しくなったのだった。 「ね、ね…。私、すっごく!!アナタのこと気に入ったの。 お金…ちょっと、割引してあげるから、もっと、多く会えない?」 と言って、首筋にキスをした。 「いいよ」 顔がゆるんでるコウさん。 これだから、やりやすいのよ。 「やったぁ!!」 私は、大げさに喜んで見せた。 うん、本当に嬉しいんだけどね。 6. 私は、ルンルンと、夜の街をスキップしていた。 (コウさんとは、今しがた別れた) コウさんが、警察の官僚だったことに、喜びが隠せない。 上手くいけば、事件のことも、もうちょっと、分かるのだ。 すると、 「機嫌がい〜ね〜。お嬢さん♪」 と、声をかけられる。 1. 変態さん 2. 警察? 3. 酔っ払い 私は、振り向かず、その正体の可能性を頭の中で考えた。 どれにしたって、嫌だわ…。 そう思い、私は、全力疾走で駆け抜けた。 「あ、おい!!」 と、何やら呼んでいるけど、無視無視。 もし、変態さんか何かだったら、タダでヤらせてあげるわけでしょ? そんな、勿体無い事できないわ。 7. 私が、全力疾走で走っていると、何やら、前方からやってくる人にぶつかった。 「いたっ!ゴメン…ナサイ…って、えっっ!?」 私は、そのぶつかった相手が、三枝さんだったことに驚いた。 「な、何やってるのよ!?こんなところで!!」 「そっちこそ」 三枝さんは、そう言うと、私を近くに停めてあった、車に押しこんだのだった。 「ちょっと!何するのよ!?」 「助けてやったんだろ?」 三枝さんが、そう言うと、車は発進した。 「別に助けてなんて言って無い!!」 私は、怒って言った。 しかし、三枝さんは、 「まぁ、いいじゃないか。それより、シートベルトしめろよ。危ないから」 と、別に気にもして無いように言った。 「ところで…あんなところで、何やってんだ。しかも、こんな時間に…」 「やること?そんなの、1つしか無いわねぇ。Hしてたの。援交相手と」 「病院を抜け出してまで…そんなことやってたのか?」 「そうよ」 「なぁ、聞きたいことがあるんだ」 三枝さんは、急に車を停め、少し真剣な顔をした。 「何よ?」 「お前が、昨日、会おうとしてたのって、まさか…中塚浩一って奴じゃないだろうな?」 「やっぱり、あの時、聞いてたのね!?」 「そうか…やっぱりそうか…」 三枝さんは、何か納得したような感じだ。 「な、何で…知ってるのよ?」 「ちょっと、古い親友でね」 「へ、へー」 「それで、アイツとは、3年前の事件のことで知り合った」 「えっ!?何で…聞いたのね?中塚さんから」 「…そうだよ」 「なんだ…。じゃあ、話は早いじゃない。もう、アナタと会うこともなさそうね」 「どーゆー事だ?」 「…私の父親は、あなたの仲間に、犯人にされたのよ!? どーして…そんな人と一緒にいなくちゃいけないのよ!!」 私は、普段あまり出さないような声で怒鳴った。 「ど…ど〜ゆ〜事だ…?」 三枝さんは、明らかに戸惑っている。 「……もしかして…聞いて無いの…?」 私は、つい声が低くなってしまった。 「あぁ、ハッタリかけただけだ」 三枝さんは、サラっと言ったのだった。 ハ…ハッタリだと〜〜〜!? 私は、頭が真っ白になっていくのが分かった。 8. 「もう、そこまで、言ったら、話しても良いんじゃないか?」 「…どうして…アンタなんかに…」 「俺は…君の『助け』になりたんだ」 「…」 「1人で考えてるより…マシだろ?」 「でも、三枝さんは…」 「警官だよ…でも、心配してる。誰よりも…」 目が…本気…? やめて。 見ないで。 「心配なんて…されたくない。警察に…」 私は、唇をかんだ。 「君の父親は、村岡峻…だろ?警察に犯人にされたって…どーゆー意味だ?」 「だから、そのままの意味よ」 「犯人…じゃないのか?」 ハンニン…。 私、その言葉嫌いなのよ。 罪を犯した人。 違う。 ソウジャナイ。 頭がグルグルまわる。 私は、気がつくと、 「違うわよ!!あの時…あの事件が起きた時…。父は私と居たの!!一緒に…家に!!」 と、叫んでいた。 「どーして…、それを…言わないんだよ…!」 「言ったわよ。警察には。でも、親類なんかの証言は、ダメなんだって。 それに、父と居たのは、私だけ。小学生だった…私だけなのよ? 他は、誰一人見て無い。そんなの、アリバイにもならない…」 「それは…そうだけど…」 「父は、上手く使われたのよ!?警察に…。信じてた会社にまで裏切られて!!」 「どーして…」 「あ〜!もー、いーでしょ!?何の役にも立たないクセに、イチイチ、しゃしゃり出て 来ないで!!アンタが居なかったら、もっとうまくやってるわよ!私1人で!!」 「そんな事言われても…!こっちは、気になって、どうしょうも無いんだよ!!」 そう言うと、三枝さんは、キツク抱きしめてきた。 「離してよ!」 「嫌だ!」 そう言うと、さらにキツク抱きしめてきた。 「全く…どーかしてるんじゃない?こんな事に、首突っ込もうなんて…」 私は、三枝さんに抱きしめられて、どんどん、落ち着いていくのが分かった。 「俺も…自分でもどうかしてると、思ってる…。でも、勝手に体が動く。 家がつくと、君のことばっかり、頭をよぎるんだよ!」 「…は?………それって、『愛の告白』ってやつ?古いよ…それ」 私は、そう言うと、笑い出した。 「笑うなよ…」 三枝さんは、少し照れたように言った。 「三枝さん??」 「抱きしめてたら、したくなった…」 と、真顔で言われる。 「へっ?…あっ!ちょっと!」 三枝さんの手は、私にお構いなしであった。 急に手を止め、 「いや?」 と、三枝さんが、目の前に顔を出して聞いてきた。 「…………いいよ」 私は、そう言った。 いや、正しくは、 『言ってしまった』 のだ。 9. 「へっ?」 意外な返事に、拍子抜けな顔をしている、三枝さん。 「あぁっ…!!違うよ…。あの…そ〜ゆ〜意味じゃなくて…。 えっと、何て言うか…ちょっと、して『あげようか』なんて… ちょっと、ちょ〜〜〜〜っと思っただけよ?」 私は、少ししどろもどろになりながら言った。 言ってから気付いたけど…… 『私、一体…何てこと言ってんだ!!?この口が勝手に!!』 私は、口を塞いだ。 「あ、嘘。今のナシ。いや〜、口が勝手に動いたのよ!!!本当に…」 と、言い訳がましく、弁解してしまう。 ううう…。 バカか…。 私は。 本当に、一体何言ってんだか…。だわ。 「そうだね。許可も下りたことだし。しようか」 三枝さんは、満面の笑みを浮かべると、重くのしかかってきた。 「ちょ、ちょっと」 「そっちが、誘ったんだよ?」 「いや、それは、えっと、ただ、口が勝手に動いて…間違った発言を…! ほら、あるでしょ?思っても無いことが、口に出たっての」 「思っても無かったら、普通、口には出ないよね?」 「私は、出るの!!」 「まぁ…良いね?」 「うっ……ちゃ、ちゃんと、これは、援交だからね!お金はシッカリ貰うよ!」 「いいよ。それくらい」 と、言うと、三枝さんは微笑んだ。 「…分かった。分かったわよ。でも、でも!!ここは…嫌だ…」 私が、そう言うと、三枝さんは笑い出した。 「な、何よ!?」 「ゴメン、ゴメン。じゃあ、俺の家、行く?」 三枝さんは、今にもくっつきそうな至近距離で聞いてきた。 私は、目を合わせられず、目をそらしてから、 「うん」 と、答えた。 10. 三枝さんの家の前に着くと、私には、妙に緊張感が走った。 「入らないの?」 三枝さんが、後から、後押しするように言う。 「あ〜。うん…入るよ」 私はそう言うと、靴を脱いで、急いで部屋に入った。 部屋に入ると、落ち着かなく、ウロウロしてしまう。 「どうしたんだ?」 三枝さんが、少しからかうように聞いてくる。 いや、自分でもどうして、こんなに、落ち着かないのか分からなかった。 心は落ち着こうとするのだけど、体は焦る。 そして、心まで焦ってくる。 今更ながら、あんな事を言ってしまった自分を恨んですらいた。 11. ふいに、後から、キュっと抱きしめられる。 それから、首筋に何階もキスされる。 「ちょっ…!」 「何?」 「『何?』って、え〜っと…、そう、私がスルよ!」 「へ!?」 「だって、これは…援助交際でしょ?だから、私が三枝さんにしてあげなきゃ…」 「俺は、されるより、スルほうが好きだから」 「…三枝さんSだったの…?」 私がそう言うと、 「ぶはっ」 と、三枝さんは急に吹き出した。 「な、なんてことをっ…」 「だって、スルほうが好きなんでしょぉ?」 「はー。ム〜ドってものが無いね。君は…」 と、三枝さんは、大きなため息をついた。 「し、失礼ね〜!!私だって、そんくらいあるわよ!これを、商売にしてるんだから!!」 「じゃあ、おとなしく、される通りにしてて。分かった?」 何だか、説教されてる気分だわ。 「うぅ。分かったわよ」 「じゃ…」 そう言うと、三枝さんは作業再開。 私から『スル』って言ったのは、私、どうも、三枝さんに『される』のは、苦手なのよ。 何だか、ポ〜っとなって、おかしいし…。 こんな事、今まで無かったのに。 三枝さんだけ…トクベツ…ってこと!? いや、まさか。 「あっ…」 三枝さんは、上着を脱がして、肩筋にキスをする。 「ここ、キスマ〜クついてる」 三枝さんは、急に動きを止めてそう言った。 「へっ!?…あぁ…」 私は、ついさっきのことを思い出していた。 そういえば、コウさんと、今しがたしたところだっけ…。 「最近のだね。もしかして、さっき会ってたっていう人?」 「たぶん…」 三枝さんの眉毛が少し動く。 そして、 「へー」 と、言うと、三枝さんはその上に軽く噛みついた。 「いたっ…!」 「俺以外とはして欲しく無いんだけどな…」 「へ?何?」 「いや…なんでもないよ」 三枝さんはそう言った。 でも、私の耳には、シッカリ聞こえていたのだ。 オレイガイトハ、シテホシクナイ…? 三枝さんって、こーゆー事を言う人に見えないから… だから…私は少し戸惑ってしまったのだ。 少し嬉しい気持ちもあった。 今まで、そんな事言われたことないし… それに、言われた相手が…三枝さんだったから。 私は、もう少しで、自分の中に出てくる『答え』を、思いっきり頭を振って、考えない様にした。 もう、半分以上わかってる。 …私は、三枝さんに、惹かれているんだ。 「どうした?」 「いや、何でも無いよ」 「そうか」 そう言うと、三枝さんは、優しく胸を触った。 「あっ…ぅんっ!」 「気持ち良い?」 「わ…わかん…無い」 「嘘」 「だって…!」 「黙って」 と、唇をふさがれて、三枝さんの舌が私の唇をなめる。 「んむっ…」 とっさに唇を固く閉じたら、三枝さんは満足そうに目だけで笑った。 舌が、私の唇をこじ開けようと動きまわってる。 「ん…」 そのまま、右手は私の下着の中へ。 「ダメ…」 私の言うことなんか無視して、嫌な音が部屋に響く。 指が中に入ると、ヌチャ、と粘着質な音が響いた。 「あっ…やだっ!…はっ……」 自分で自分が恥ずかしい。 頭がグラグラする。 体に変なふうに力が入る。 「力、抜きなよ」 と、三枝さんは、少しからかうように言った。 「む……無理ぃ…」 力…抜こうとすればするほど、力が入るんだもん。 もう、頭と体が別々の生き物みたいで…。 と、急に下半身に痛みが走った。 「いたっ!!」 私は、ついつい、三枝さんに蹴り…をいれてしまっていた。 「何だ!?いきなり…良い感じだったのに」 「だ、だってすっごい痛かった!!」 と、私が言うと、三枝さんはニヤリと笑った。 「へぇ。何回ヤってても、痛いんだ」 「なっ!!?」 「ソレほど、俺のは…でかい…と」 「ただ…急に…だったから!!」 「ホントに?」 三枝さんの手が私の内股に触れる。 「やだっ…ま、まだやるの?」 「まだ、何もやってないだろ?」 というと、おでこにおでこをくっつけてきた。 「うっ…」 ホントは気を失いそうな程ドキドキしてる。 三枝さんの顔、見れない。 「いれるよ?」 「…」 私は、無言で居た。 というよりは、何も言えなかったのだ。 三枝さんは、返事もないのに、お構いナシのようだった。 次は、ユックリ入れてくる。 「ふぁっ!いっ……ぁんんっ!!」 「ほら、もっと声出していいよ」 そう言って、口に指を入れてきた。 「やぁっ…」 「動くよ」 三枝さんは、そう言って、始めはユックリ動き出したが、次第に動きが速くなる。 「ふっ…あっ…もう、やだぁっ…」 私は、手を顔におしつけていた。 「こらっ。何で顔隠すの?」 三枝さんは、それが気にくわないのか、手を無理矢理はがしてくる。 「見…ないで…」 「どうして?」 「やだっ…!やなの!…私……父を…助けなきゃ…いけないって分かってるのに! …三枝さんが…」 「何?」 「三枝さんが…こんな事ばっか……するから……そんな目で見るから!! もう、三枝さんのことが頭を回って駄目なの!!全部…上手くいかなくなる!!」 「それって……俺のことが好きだから気になるんじゃない?」 「えっ!?」 三枝さんは、私の中で出そうで出なかった答えを、いとも簡単に口にした。 「イクよ」 三枝さんは、そう言うと、そのまま果てた。 12. 「ねぇ、さっき言ってたこと。もう1回言って?」 三枝さんが、服を着替える私に向かって、そう言った。 「何?」 「俺のことしか…考えられなくなるってやつ」 「私…もう、三枝さんとは、会わない」 「会うよ。絶対」 「会わない!!」 「そーやって、逃げるから、全部うまくいかなくなるんだよ」 「…違う。私は…三枝さんとは違うの。三枝さんみたいに…キレイじゃない」 「どーゆー意味?」 「私は、今まで何人とヤったか知ってる!?知らないでしょ? それに、この年で、2回も中絶したのよ!赤ちゃんを…人を2人も殺した! 三枝さんは…今まで回りに、私みたいな子が居なかったから、気になるだけよ」 「違うよ」 「違わない!!私は…三枝さんと居ると、全部上手くいかなくなるの。本当よ? だから…もう、会わない。私には、やらなきゃいけないことがあるの」 「父親のことか?」 「…そうよ。だから、これで、『サヨナラ』…」 私は静かにそう告げた。