0. 台風の後は、大きな被害と寂しさだけが残る。 ≪またもや、警察の不祥事!!≫ ≪全面的に自認≫ ≪精神鑑定の疑い≫ マスコミは、好き勝手に報道する。 テレビの中では、警察について、討論なんてやっている。 私はその報道に、妙に腹が立った。 1. ―――――あの時… 「いいよ」 そう言って、私は、目を閉じた。 もちろん、覚悟なんて、会う前からしていた。 しかし、諦めた気持ちなんかではなく、本当に…心の底から、私と一緒だったコウさんを助けたかった。 そして、こうすることが、一番なのだろうと判断したのだ。 一瞬、頭の中を三枝さんの顔がよぎった時、本人がドアを叩き開けた。 「知野!」 走ってきたのだろう…。 息も切れて、髪も乱れていた。 「さ、えぐさ…さん?」 「てめぇっ!」 三枝さんが、殴りかかりそうな勢いで、コウさんに近づく。 「待って!やめて!!」 私は、走ると、三枝さんを止めた。 必死で…。 「なんでっ…」 「お願い!!!コウさん救えなきゃ…私も救われない…」 「何、言ってるんだ?」 「コウさん…」 私は、自然と足がコウさんのほうに向いた。 そして、コウさんを力強く抱きしめていた。 「えっ……」 「好きなら…これだけで十分伝わるの……」 「………」 「私は、こうやって三枝さんに教えてもらった。『好き』っていう気持ちと、 愛し方…全部…」 どうしてだか、涙が出てくる。 コウさんに向けている言葉が、自分に言い聞かせている言葉に感じる。 「知野…?」 三枝さんは、少し戸惑った様に言った。 「ごめん…」 何で、気付かなかったんだろう。 「コウさんが、私のこと、好きになってくれたのは…嬉しい。本当に…ありがとう…」 「今度は、私が助ける番なの。コウさん…。…だから、いいよ。 コウさんが、これで救われるなら…私……」 心の底から…そう思った。 キレイ事なんかじゃない。 商売で使う言葉なんかじゃない。 私は…! 2. 「…君は」 コウさんが口を開いた。 抱きしめたままなので、表情は見えない。 …でも、声が…少し…少しだけ変わった気がした。 「何?」 「変わったね」 「え?」 「…俺が、初めて君を見た時とは、全然違う」 「…うん」 「ずっと、ずっと…好きだったんだよ!」 そう言ったコウさんの言葉に、また涙が溢れた。 「うん…分かってる」 コウさんは、 「………もうちょっと、このままでいいかな…?」 と、落ち着きを取り戻して言った。 「いいよ」 「ありがとう」 コウさんは、絞り出すかのような声でそう言った。 3. そして、すぐに、加納さんと中塚さんとともに、何人か警察がやってきた。 「高田充。村岡篠殺害、村岡知野殺人未遂の容疑で逮捕する」 ス〜ツを着た刑事さんがそう言う。 「…」 コウさんは黙って私から離れた。 「…?」 「…ありがとう」 コウさんは、笑ってそう言った。 私は、連れて行かれるコウさんの背中を見ながら…何も…ただの一言も声をかけることができなかった。 「…」 私は、涙が止まり、放心状態だった。 なにか、言わなきゃ! コウさんに…。 そうは、思うけど、言葉が思いつかない。 日本語を…忘れてしまったみたいだ。 「知野…」 三枝さんは、私の背中をさすってくれた。 4. 「……三枝さん…良かったのかなぁ…こんな『結末』で…」 私は、コウさんが見えなくなって、やっと口を開いた。 「良かったんだよ。高田さんの、顔。笑ってただろう?」 「…だけど…私…なんだか胸がモヤモヤしてるんだ」 「そうか…」 そう言った三枝さんの顔に心配している影が見え、私は笑おうとした。 しかし、うまく笑うことができない。 それどころか、また、涙が出てくる。 「あれ?変だなぁ。笑おうと思ったら…勝手に…」 そう言った私を、三枝さんは優しく抱きしめてきた。 その瞬間、気持ちが、言葉として溢れ出てくる。 「コウさんにとってね…『大切なもの』は、私だったんだよ…ずっと。 全部、違う方向に行っちゃったけど、私のためだけを考えて、 あんな行動に出ちゃったんだよ。決して、悪気があったわけじゃ、なかった! あの時、一緒に死んであげてた方が、コウさんは満たされたんじゃぁって…」 「知野っ!」 私を抱きしめる腕に力が入った。 痛いくらい…。 「…っ」 「お前が…そんなこと言うなっ…!俺は、お前無しなんて考えられないっ!」 「…」 私は複雑な気分で居た。 嬉しいのもあるし… それでいて、どことなく寂しい。 現実なのに…まるで、夢のような出来事。 ――――― 5. 「明日…か」 私は、三枝さんと一緒に居た。 二人で並んで、部屋のソファ〜で、座っていた。 「うん」 「そうか…」 「寂しい?」 「当たり前」 「あはは…遠いもんね…」 「いつ帰ってくるんだ?」 「分からない。父次第。もう、この町には帰って来ない…かもしれない。 父にとっては、つらい記憶しか無いから…ね」 6. ――父は、あの後、何日かで出所し、 私は、父の実家の北海道へ行くことになった。 コウさんが、全部…話してくれたらしい。 私は、何度もコウさんに会いに行こうとした。 しかし、直前で足が動かないのだ。 そして、会うことも果たせないまま、引っ越すことになった。 7. 「『待ってて』なんて言わない。いつ戻るかも分からないから…」 私は、そう言った。 三枝さんは、 「会いに行く」 と、言っていたが、私は、それを断固として断った。 会ったら、よけいに悲しくなる。 寂しくなる。 別れ際なんて、特に。 それならあわないで居たほうが…。 会わないということで、三枝さんが私を忘れたとしたら、 お互い、それはそれで幸せになれるのかもしれない…。 私はそう思っていた。 8. 「…好きだ」 三枝さんは、急にそんなことを言った。 「へっ?」 「会えない年月分。全部言う。好きだ、好きだ。好きだ……」 そう言うと、キスをしてきた。 「んっ!」 三枝さんの顔は下に降りてくる。 首筋についばむようなキスをされた。 「はっ……。あっ…」 「知野…好きだ」 手が服の下を動く。 簡単に服は脱がされる。 「あっ、あんっ……」 「全部、好きだ。この胸も」 ブラを上にずらされて、乳首を軽く噛まれる。 それだけで、電気が走ったみたいになる。 「ひゃぁっ…」 三枝さんは、動きを止めることなくつづける。 腕にも足にも… 小さな、優しいキスを繰り返す。 「んっ!やだっ…ちょっと!」 「足も、手も…」 手がスカートの中に侵入してくる。 スカートの横のファスナーを降ろすと、 「少し、腰あげて」 と、要求してくる. 私は、その要求通りにした。 スカ〜トを取られると、私は大事な部分を覆う布地1枚になった。 その布地の上から、優しく線をなぞってくる。 「あっ…やだぁっ」 じわっと、その部分が熱くなって、しみだしてくるのが、自分でも良く分かる。 それが、余計に恥ずかしさをよんだ。 私は、つい三枝さんの動いている腕を掴んでしまった。 「ん?」 三枝さんは、少しびっくりしてこっちを見る。 「えっと…あの…」 何で、こんな行動に出たのか… 私は自分でも分かっていなかった。 「大丈夫だよ」 三枝さんは、そんな私を見ると、フっと笑った。 三枝さんの手が、簡単に下着を取り、その部分を触ると、 今度は分かるくらい、クチュッという音が響いた。 「濡れてるね」 三枝さんが、そんなことを耳元でささやく。 「や、やだっ…」 私は、顔を手で覆った。 しかし、私の手は簡単に押さえられて、私は三枝さんの顔を直視する状態になった。 「知野…この名前も」 三枝さんの手の動きは休むことを知らない。 「んっ…やっ……あぁっ……ふぁぁっ!」 「好きだからな。覚えておいてくれよ…」 そう言うと、何度かキスを繰り返した。 「あっ!くぅっ…はぁんっ」 三枝さんが、押し入ってくる。 私の…ナカ…に。 私は、何故か、安堵感に包まれていることに気付いた。 「やっぱりキツイな」 「なんでっ、そんな事ばっかり…」 私は手で顔を覆うことができなかったので、顔を横に振った。 「知野が恥ずかしがってるところも好きなんだよ」 そう言うと、三枝さんが動き出す。 繋がっている部分からは、休むことなくグチュ、グチュと恥ずかしい音が流れ出る。 「あっ…んくっ…」 「知野が、嫌がってる顔も…」 そう言って、顔をそっと触られる。 「はぁっ…んくぅっ……あぁっ…やぁっ」 「感じてる顔も…声も」 「んっ…あっ……」 「全部、好きだからな…」 「んんっ…」 優しく、激しいキス。 舌が口内に侵入してくる。 私は、その舌に自分の舌を絡め合わせた。 「はぁっ…」 合間から、吐息が漏れる。 「私も……好きだよ……んんっ…大好き!」 私は、少し涙目で笑った。 「知野…!!」 三枝さんが、一瞬、大きく動いた。 「あっ……!くっうぅ…!あぁぁぁんっ…!!」 私も、そのまま絶頂に辿りついたのだった。 9. 何分かして、私と三枝さんは、ベッドの上に座っていた。 「三枝さん」 「ん?」 「私は…たくさん、色んなものを三枝さんにもらった。ありがとう。幸せだった。 『好き』って気持ちも全部…」 私は、そう言うと、涙が出そうで、体をそむけた。 「知野?」 「……ったく、泣き虫」 そう言って、背後から抱きしめられる。 凄く居心地の良い場所。 大好きな場所。 「……うくっ…ひくっっ」 「…やだね。なんだろう。最近、泣いてばっかり」 「俺にくらい、弱いところも見せても良いよ」 「…うん…」 私は、それから、何分もそこで泣きつづけた。 まるで、子供みたいに。 10. 「ばいばい」 私は、その夜の帰り際、三枝さんに笑って言った。 「やっぱり、明日…見送りに」 「来ないで!お願い。別れられなくなる…」 「そうか…」 そう言った瞬間、三枝さんは私をきつく抱きしめた 「絶対、忘れるな。知野。俺のことも、皆のことも!」 「う、うん」 「俺は、知野が帰ってくるまでに、この仕事、頑張るよ。頑張ってつづける!! 知野が帰ってきた時、この街がもっと、平和である様に」 「でも…」 「だから!絶対、帰って来い!いつになっても良い。絶対だ」 「…うん」 私は、小さな声でそう言った。『大切なもの』 第8話『大好き』![]()
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