『大切なもの』
第9話(最終話)『大切なもの』
0. 約1年半後。 3月 ――北海道。 私は、冬の寒い朝、ポストの前に立っていた。 郵便局のバイクが、目の前で止まる。 「おはよっ。知野ちゃん」 郵便局員のおじさんが、そう言って笑った。 「おはようございます」 「はい」 そう言われて、手紙の山を受け取った。 「どうも」 私は、そう言っておじさんを見送ると、早速手紙の山をかきわけた。 1つの封筒を見つけて、早速封を切る。 私は、その中身を見た瞬間、 「お父さん!!」 と、叫ぶと、家に走って入った. 1. 4月。 ――神奈川 三枝は、警察署に届いた郵便物の山を加納に渡した。 その中に1つ。 加納宛の白い封筒。 加納は、それを三枝から受け取ると、すぐに封を切って読み出した。 「誰から…ですか?」 「あ、あぁ…昔ちょっと…な」 加納は少し戸惑って言う。 「そうですか…」 三枝はそう言うと、ため息を1つついた。 「どうした?元気無いぞ?また、知野ちゃんの事でも思い出したか?」 加納がたばこを取り出して言う。 「…あぁっ…もう!そ〜なんですよっ!1年以上経ってるのに …俺って進歩無いですよね?自分で自分が嫌になる」 三枝は頭をかきむしった。 「まぁ、そのうちど〜にかなるさ」 そう言うと、加納は、はっはっは、と笑った。 「何、笑ってるんですか?」 「あぁ、すまんすまん。それより、早くパトロールに行ってこい! 知野ちゃんに言ったんだろ?『平和な街』ってやつにするって」 「はい。そ〜ですね…。じゃぁ、いってきます」 三枝は、そう言うと、いつもの通り、自転車に乗った。 「なぁに。良い事なんてすぐやってくるさ」 加納は、手紙をもう1度読み返しながら、そう言った。 2. 「はぁ…」 ため息混じりに自転車をこぐ。 「こんにちは」 道行く人々に声をかけられる。 「あぁ、こんにちは」 やっと、このあたりの人々にも、顔を覚えてもらい親しみも湧いてきた。 この街が、好きだ。 穏やかで、時間がゆっくり過ぎていくような、この町が。 アイツがいつか、戻ってきた時、自慢できるくらい…。 でも、足りないなにかを感じていた。 それが、何かってことは、自分でもよく承知だった。 3. 突然、後方で、バタン!と、音がした。 振り返ってみると、近くにある進学校の高等部の制服を着た女の子が倒れていた…。 というより…、こけた…のか…。 ドジな子も居るもんだ。 「大丈夫か!?」 三枝は、その子の腕を持って、立たせた。 「知野!!?」 その子は、前より…髪の伸びた知野だったのだ。 4. 「えへへ」 「何やって…」 三枝さんが、明らかに驚いている。 『あちゃぁ…まさかコケるなんて…情けないっ!』 当初の計画では、後から、 『三枝さん!』って、声をかけよてびっくりさせようと思っていたのに…。 大失敗をしたようだ。 まぁ、びっくりはしてるけど…。 「あははっ!お久しぶりっ!」 私は、頭を掻きながら言った。 「久しぶりって…お前…」 「驚かそうと思ってね」 私は、ニッコリ笑った。 「…」 「今日、加納さんには、手紙送ったの。 『この手紙が着く日に帰るから、三枝さんには内緒にしてて』ってね。へへっ」 「…」 「あれ?どーしたの?嬉しくないの?」 「嬉しいよ…そりゃ」 「じゃぁ、何でそんな顔してるのよ?」 三枝さんは、驚いた顔を変えない。 「どうして知野が…ここに?もしかして、夢か?」 「なぁに言ってるのよ!?私は私よ」 「どうして?」 「高校、この近くの所、受けたのよ?勉強、大変だったんだから〜!!合格したよ!! で、今日が入学式だったの。少しは変わったかな?制服似合う??」 私は、1回転して見せた。 三枝さんは、そんな私をすぐに私を抱きしめた。 5. 私は腕の中で目を閉じた。 体温。 だきしめた腕。 全てが、心地よい。 あぁ、この感じ。 安心感がある。 「知野っ!会いたかった…!!」 「うん。私も」 私は、背伸びをすると、三枝さんにキスをした。 「…んっ」 三枝さんの腕に力が入る。 6. 「あのね…。もう、会わないって思ってたの。あの時。 でも、あっちに行ってからも、三枝さんのことばっかり…思っちゃうのよね…。 似た人見ると、つい目で追ったりなんかして…さ」 そう言うと、三枝さんは、目だけでフっと笑った。 「でね……!会いたくなっちゃって…帰ってきちゃった!」 「お父さんは?」 「一緒。一緒に戻ってきたの」 父は、タクシーの運転手の仕事に就いたのだった。 「そうか…」 「うん!……あ、そーだ!加納さんにも中塚さんにも挨拶しに行かなきゃね。 どうしてる?2人とも」 「2人とも全然変わって無い。元気だよ」 「そっか…。三枝さんは…?どうして…た?」 「毎日考えてた。今度会えたら、どう話そうとか…」 「ふふっ」 「笑うなよ」 「だって…」 「なんだよ」 「嬉しくて」 「そうか」 もう1度キスをしかけた時、急に音楽が鳴り出した。 「んぐ!?」 「ごめん…携帯」 三枝さんは、携帯を取り出すと言った。 「へー、持ったの?昔は持ってなかったでしょ?」 「加納さんが、持っておけって…な」 「ははっ」 「もしもし…あぁ!はい。わかりました」 「誰?」 「加納さん。じゃぁ、俺の家でも行くか」 「し、仕事は!?」 「今日は、代打を加納さんが緊急に用意してくれたらしい」 7. 「知野ちゃん!!おかえり〜〜!!!」 三枝さんの家に着くと、クッラカ〜音とともに、中塚さんと加納さんが出迎えてくれた。 「用意して待ってたんだ!」 中塚さんが、嬉しそうに言う。 「あはは!嬉しいー!」 私は、本当に嬉しかった。 こっちには、待ってくれてた人が、居る。 「そうだろう?」 「さぁさぁ、主役は座って」 中塚さんに、席に案内される。 加納さんが椅子を引く。 なんだか、そんなことまで嬉しい。 「どうも」 中塚さんは、グラスを持って、 「じゃ、…ごほん。知野ちゃんの帰還を祝して!!かんぱぁ〜い!!」 と、言った。 その瞬間、皆も 「かんぱ〜い!」 と、大きな声で言った。 「まさか、知野ちゃんがこんなに早く戻ってくるとはね。 そんなに、三枝のこと好きなのかっ」 中塚さんがからかうように言う。 「そーだもん!もう、決めたの。我慢しない!会いたくなったら、会うんだからっ!」 私は、キッパリ言った。 「知野ちゃん、変わったねー?北海道は良かった?」 「うん!良かったよ!でもね…一番は…」 「ん?」 「…これ」 私は、手紙を見せた。 「誰から?」 「コウ…高田さん」 「高田!?」 中塚さんと三枝さんが身を乗り出した。 「そう…」 私は笑った。 そんな私を見て、加納さんも、微笑んだ。 「今日ね、会ってきた。やっと、会えたの。この手紙ね…半年前くらいに届いた…」 「何が書いてあったんだ?」 と、中塚さん。 「ありがとうって…。全部罪を償って、やりなおすって…」 「そうか…」 三枝さんは、ニッコリ笑った。 「私ね…自分が、人には、必要にされてないんじゃぁないかって…。 あの時、ずっと思ってた…。でも、違ったんだよね」 「そうさ!」 「良かった!生きてて…コウさんにも、皆にも会えて! このこと、今日、コウさんにも伝えてきたの」 「そうか」 私は、やっと、何か胸のつかえみたいなものが、取れた気がしていた。 8. 加納さんと、中塚さんが帰った後、私は三枝さんと一緒に話していた。 「それにしても…そこの、高校。よく入れたなぁ!」 三枝さんが、私の制服姿を見つめてそう言った。 白のワイシャツ、紺のブレザ〜に、赤のリボン。 スカ〜トは、プリ〜ツの多いチェック。 ――ここらで、一番の進学校の制服。 「頑張ったんだよ?私だって…」 「だろうな。どうしたんだ?急に…勉強に力入れたりなんかして…」 「へへっ…。将来…ね。弁護士になりたくて…。弱い立場の人を守れるような」 「頑張れよ!…お前ならできるさ」 「うん。ありがと」 私がそう言うと、三枝さんの顔が接近してきた。 「んむっ…」 小さいキスの連続。 今までの時間を埋めるタメの。 「いいか?」 「ん…」 私は、なんだか、恥ずかしかった。 9. キスの合間に、上手く制服を脱がされる。 「ふぁっ…あっ……」 「あっ……あ、あのねっ」 「ん?」 「いや、えっと…」 なんで、私、止めてるんだろ…? 「で、電気!消して…」 「だ・め!」 「うっ…ど〜してよ〜…」 「電気消したら、見えないだろ?」 「み、見ないでいいじゃない!」 「嫌だね」 三枝さんは、至近距離でニッコリ笑った。 「わ、わがまま!!」 「どこが!?普通、見たいって」 「だって…」 言いかけた口を塞がれる。 「んぐっ…」 「ふぁっ……んっ…」 手が直接胸に触れた。 「やぁっ…あっ……あん……っぁぁあっ!」 私は、つい手で覆ってしまう。 「隠すなよ。見せろ」 「やだっ…ぁ」 「嫌じゃないだろ?」 「うぐぅっ……」 確かに…嫌じゃないんだけど…。 でも、でも… 顔から、火が出そうなほど熱い。 ペロっと、軽く胸を舐められる。 何度も何度も…。 ピチャピチャと音が響く。 「やぁっ…あっ……」 三枝さんの手は、私の太股にさし入れられた。 ぐっと、両脚を開かれる。 私は、反射的に脚を閉じた。 しかし、脚の間に、三枝さんが居て、閉じれない。 そうすると、次は、腰を引いてしまう。 しかし、三枝さんに、しっかり腰に手を回される。 う…動けない…。 「知野。ダメだよ」 「ごっ、ごめ…」 「謝らなくて良いよ」 「ごめん」 私は、また謝ってしまう。 三枝さんは、クスっと笑うと、手を下着の上に置いた。 「ひゃぁっ!」 線をなぞられると、熱いものがこみ上げてくる。 じわっと、何かが溢れるのが…わかる。 「濡れてる」 「やだっ…!言わないでよ…」 「『言わないで』って、ことは、自分でも分かってるんだろ?」 「しっ、しらないっ!!」 「うそ」 そう言うと、指が下着の横から侵入してくる。 直接触れられるのには、抵抗感がある。 そのままで… つまり、シャワ〜も浴びていないのに… 色々、気になるものだ。 「んっ…!」 内部に異物感がある。 三枝さんの指が内壁に触れる。 それと同時に、突起にも指が触れる。 その瞬間、びくっと、体が震えた。 「あっ……あぁっ……!」 「かわいい」 そう言った、三枝さんの唇が、私の大事な部分に触れる。 「んっ!」 ペロペロと、まるで楽しんでいる様に舐められる。 サラサラの髪が、太股にあたって、くすぐったい。 「ふぁっ…んっ……!!」 「知野」 「んっ…」 「いいか?」 「う、うん」 私は、歯を少し食いしばった。 ぐっと、押し入ってくる。 「くっ…うん!」 三枝さんが、動くたびに、グチュグチュっと、音が漏れる。 その音が、余計に、恥ずかしさと快感をもたらした。 「知野っ」 「んっ…あっ……」 「さ、さえ…ぐさ……さんっ」 「もう…んっぐ!こんなことするの…三枝…さ…んだけだから…!」 「んっ…。分かってるよ。他の男にこんな、い〜思いはさせるわけにはいかないね」 三枝さんは、ニッコリ笑った。 「もうっ…」 「知野っ」 三枝さんが、髪を触る。 私は、安心して、絶頂に達した。 「あっ…うぐっ………ひゃぁぁああんっ!!!」 「俺ももう…!!!」 10. 「三枝さん。私ね…」 私は、ベッドの中で、三枝さんの胸を見ながら言った。 「ん?」 「もし…ね、こっちに帰って来た時、三枝さんに、他に好きな人が居たら嫌だなぁ… って思ったら、なんだか悲しくなってね…」 「うん」 「本当に、凄く好きだったんだ…って思った」 「『だった』?過去形か?」 「『好き』だね。現在進行形。今も…だから」 私は顔をあげ、三枝さんと目線を合わした。 「俺も『好き』だ。これからも、ずっと…な」 三枝さんが、私の髪を優しく撫でる。 「うんっ!」 私は、笑って答えた。